Finance Records

上手く行っている企業は何が違うのか?目標に届かなかった理由は何だったのか?様々な企業を記録し、財務分析を発信します。

AI融資って何か知ってる?「脱決算書」審査の時代が到来するようだ!

AI融資という話題が最近非常に多いですね。多くの経営者の方にとっても、このAI融資というのは非常に大きな関心ごとではないでしょうか。

 

今回は、そのAI融資というものがどういうものなのか。そして、どのように活用していくと経営者にとっていい物であるのかを書いていきたいと思います。

 

 

はじめに

 

近年、日本の銀行の融資において絶大な影響力を持っていたのが「金融検査マニュアル」という金融庁のガイドラインでした。

f:id:parrrrrao:20191204155147p:plain

このガイドラインは、金融庁が銀行に対して金融機関の検査をする際の手引書。実に300p以上もあります。目を通すのも正直一苦労です(笑)

 

これまで金融機関は、基本的にこの一律に定められたマニュアルに従って融資を行ってきたわけですね。この時の融資の鍵になってくるのは企業の決算書です。

f:id:parrrrrao:20191204155219p:plain

銀行は、企業の決算書を見ながら、どれくらい融資が可能なのか?という視点を持って融資を行ってきたのです。その為、審査の方法は店頭対応、保証や担保は案件次第(というか基本付く)、そして融資の審査に時間がかかるという特徴があります。

 

f:id:parrrrrao:20191204155234p:plain

銀行の融資が無くなるという訳ではないので、決算書を使って事業の状態を説明し、銀行に応援してもらうようにするというノウハウも今後も変わらず必要なのですが、重要なことは、AI融資はこれと考え方が180度異なるという事なのです。

 

AI融資はトランザクションレンディングである

 

 仕組みを解説

 

まず本質的な所として、AI融資の方法というのはトランザクションレンディングです。トランザクションというのは日本語で言うと取引の事。そうです、AI融資というのは、企業がそれぞれ行ってきた取引を基に融資を行うという仕組みの事なのです。

 

f:id:parrrrrao:20191204155250p:plain

取引のデータというのは、近年ITが発達してきたことにより急速にデータ化が進んでいます。取引データは現在はデジタル化され、データとして管理されるようになって来ています。

 

f:id:parrrrrao:20191204155305p:plain

このデータ化されているというのがキモで、AIはこのデータを基にして、その企業に対する融資額を算出してしまうのです。

 

特徴は書類無し、面談無し、時間かからずといいことづくめ!

 

その為、このAI融資は、先ほど銀行が行ってきた融資の方法と真逆の融資方法を取ります。

決算書などの書類の提出は必要ありません。対面で面談をする必要もありません。保証は無担保無保証です。そして翌日にも融資が下りる可能性があります。

 

f:id:parrrrrao:20191204155324p:plain

 

このように、AI融資は基本的に銀行融資と真逆の融資の手法なのです。その為、従来の銀行の融資とは全く違う対策が必要であるということに注意が必要なのです。

 

AI融資を引き出すための対策とは、取引データを蓄積する事

 

では、AI融資を引き出すために必要なことは一体何でしょうか?それはずばり、「取引データを蓄積する」ことです。

 

f:id:parrrrrao:20191204155354p:plain

取引はデータ化されていると言いましたが、当然このようなデータは誰でも握っている訳ではありません。

取引データを保有しているのは、「会計ソフト会社」「銀行」「ECサイト」などです。

つまり、AI融資を利用するためには、これらのサービスを利用し、取引履歴を蓄積していく必要があるのです。

 

f:id:parrrrrao:20191204155413p:plain

 

例えば、楽天ですと楽天スーパービジネスローンとしてこのような融資制度があります。

 

f:id:parrrrrao:20191204155435p:plain

AI融資は取引データを基に融資を実行するので、当然申し込みの対象者は楽天市場に出店している企業や個人事業者になります。

f:id:parrrrrao:20191204155447p:plain

https://www.rakuten-card.co.jp/bizloanSelect/?scid=wi_rkc_sbl_fintechportal_to_bizloanselect_01

 

この大枠の仕組みはどこも同じです。

みずほのリリース(https://www.mizuhobank.co.jp/release/pdf/20190416release_jp.pdf)を見てみても、基本的には①決算書が不要②非対面は明記されています。

 

f:id:parrrrrao:20191204155324p:plain

銀行ですら決算書が不要であるというのは結構衝撃ですよね。AI融資というのは、今までの銀行融資のルールとは根本的に異なるものであるという認識をしておく必要があります。

 

では、その根本と異なるという所からもう一つ注意が必要なのが、このAI融資の「使いどころ」です。

 

AI融資はその使いどころが非常に重要!?

 

AI融資は書類や対面での審査が必要とならず、融資のおりるスピードが非常に速い事。そして、AI融資は取引データが必要である為、その登場人物のサービスを利用している事が必要であることを確認してきました。

 

では次に、AI融資の使いどころ。AI融資は銀行融資に置き換わるようなものでは無い為、その使いどころが非常に重要であると言えます。

 

具体的な使いどころは、「ホワイトゾーン」と呼ばれるエリア。具体的には、創業後2~3年程度の、保証協会付の枠や公庫の枠を限度額まで使い切っているが、3年目まで決算書ができておらず、プロパー融資を出すことができないという、従来の融資の方法だと救い上げることができないエリアで利用するといいでしょう。

 

f:id:parrrrrao:20191204155524p:plain

その理由は複数ありますが、まず一点は融資がおりる金額が銀行融資と比べて少額であること。そして銀行融資に比べて金利が高い事が挙げられます。融資額はザックリですが10~500万円、金利は2~14.90%ということが多いようです。

 

f:id:parrrrrao:20191204155541p:plain

融資が多額に出ず、金利も高い為、銀行としっかりと付き合っていけるようなプロパー融資を出してもらえる企業はAI融資はむしろあまり使う必要性はないでしょう。重要なのは、「ホワイトゾーン」と呼ばれる、銀行では融資が出にくいような部分で上手く使っていくことなのです。

 

おまけ:額が少なく金利も高い理由は、調達コスト(だと思われる)

 

一応簡単に解説しておきましょう。これらAI融資は、なぜ融資額がこの程度で金利が高いのでしょうか。理由は、融資する企業にあります。

 

通常、銀行は預金を調達し、その調達資金を使って企業に融資を行います。日本においては預金は非常に利率が低いでしょう?普通預金に入金していて、利率が5%も10%もつくという事はまずあり得ません。

 

銀行の資金調達の際のコストは比較的低いのです。(もちろん銀行によって差がありますが)

f:id:parrrrrao:20191204155616p:plain

一方、AI融資に登場する企業は基本的にはノンバンクです。この時、資金を調達している先は上場企業であれば株式市場。大手がバックにいればその大手。もしくは事業で稼いだお金を利用します。

 

これらの資金調達のコストは銀行の預金者の利息より高いことは容易に想像がつくはずです。その為、AI融資は構造的な問題として、融資を多額に出すことはできませんし、金利も高くなってしまうのです。

f:id:parrrrrao:20191204155644p:plain

実際に、経営者がこれらの資金調達周りのコストを詳しく理解する必要はないかもしれませんが、理屈としては恐らくこういう事になります。

 

結果として、AI融資というのはどうしても金利が高くなる。しかし、融資は非常に早く、かつ無担保無保証になる可能性が高い。ホワイトゾーンにおける資金調達が有用だというのはそのような理由からなのです。

 

 

終わりに

 

AI融資の概要について書いてきましたがいかがでしたでしょうか。

これらの融資の形態は、ネットで申し込みができる為、飲食店業の方などであれば、例えば営業時間が終了した後などに融資の申し込みができたりします

 

つまり、使いどころをしっかりと押さえておけば、今後非常に有用な資金調達の一形態なのです。最後になりましたが、これらの取引データを使って企業がチェックしているのは「経常収支」。要は資金繰りの部分です。

 

資金繰り表は作成しておきましょう。今後どこかで書きますが、銀行の融資においては、今後は事業性評価が非常に重要なキーワードです。そしてその為には、資金繰り表は非常に重要な一手になってきます。私は財務モデルを組んで企業の資金繰りのシミュレーションまで行えるようにしますが、可能であればそのようなモデルを組んで事業性評価を行いながら銀行に融資に行くと、銀行からは通常の決算書を提出しただけでは出てこない融資を引き出すことも可能です。

 

融資は時代の流れに合わせて適切に知識と情報をアップデートしていく事をお勧めします。決算書の知識も重要ですので、こちらもぜひ読んでおいてくださいね!

 

www.finance-seisekihyo.com

 

 

www.finance-seisekihyo.com

 

 

www.finance-seisekihyo.com