Finance Records

上手く行っている企業は何が違うのか?目標に届かなかった理由は何だったのか?様々な企業を記録し、財務分析を発信します。

この度上場する24/7ワークアウトのビジネスモデルが素晴らしい②実際の数字を見てみると?

 

前回の記事の続きです。

 

www.finance-seisekihyo.com

 目次は以下の通りです。

 

では続きをどうぞ。

 

実際にトゥエンティーフォーセブンはどうなっている?

 

まずLTVの根拠です。

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(HPより)

24/7ワークアウトの最低価格です。このように、入会金と月額98,000円の2か月間のコースであることが分かります。現在の会員のプランはここがメインであるようです。

そして顧客獲得コストは2019年時点では広告宣伝費は約17億円。概算ですが、恐らく会員数は2万5千人ほどいるかと思います。

 

これらを統合すると、下記のような整理が可能です。

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24/7ワークアウトの料金設定で、現在の顧客獲得コストであれば、充分に元が取れる計算になっているのです。もちろんここから賃料や人件費、その他もろもろのコストを支払う必要があるのですが、現時点においては「下限の価格設定のプランにおいても、この広告コストを十分に吸収できる」と考えてよいと思います。

 

ここからプロテインの通販や継続コースなどの複数のアップセルがつきますが、24/7ワークアウトのビジネスモデルにおいて参考にするべきなのは、「一度顧客を獲得したら確実に回収できる」というモデルが整っている事なのではないでしょうか。

 

そんなモデルのトゥエンティーフォーセブンの財務内容は超優秀

 

さて、そんなモデルとなっているトゥエンティーフォーセブンの財務内容を見ていきましょう。

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トップラインである売上は伸び続けていますが、それ以上に重要なのが、純利益が継続して伸びている事です。

24/7ワークアウトのビジネスモデルは基本的に一回お客さんを獲得したら、「結果を出してもらって卒業してもらう」というビジネスモデルです。

 

という事は、サブスクリプションと異なり、「数か月という短い期間でしっかりと掛けたコストを回収できるようにしなければならない」という事でもあります。

その指標の一つとして、当期純利益が伸び続けているというのは非常に重要です。

 

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そして、もう一つ驚いたことに、24/7ワークアウトのビジネスモデルで行くと、貸借対照表が物凄くきれいになっているのです。

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これはトゥエンティーフォーセブンの貸借対照表ですが、皆さんご存知通り、BSの資産の部には企業がどんな資産を保有しているか、負債・純資産の部にはその投資の為の資金の源泉はどこか。が表示されています。

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資産構成を見てみると、トレーニング設備用の建物や機材はもちろんですが、現預金が資産の大部分を占めていることが分かります。これらを視覚的に見てみましょう。

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貸借対照表の流動資産と固定資産を、保有量の多寡でグラフ化したものです。

上場する前の段階の決算書なので、ここから更にエクイティが増えて現預金は潤沢になっていくことかと思います。

調達資金は新規店舗出店にあてるとの事でしたので、この現預金と建物は今後も24/7の貸借対照表に大きく計上されることになると思います。

 

では次に、それらの資金をどのように稼いでいるのかについて見てみましょう。

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最も資金を稼ぎ出しているのは「繰越利益剰余金」つまり、先ほど確認した純利益が積みあがっているという事です。これだけしっかりと利益を生むモデルは中々お目にかかる事はありません。

 

なんとトゥエンティーフォーセブンは創業以来無借金経営。通常企業は現預金をしっかりと確保して、潤沢な資金をもって投資を行うことにより業績を伸ばすというパターンが非常によく見られますが、トゥエンティーフォーセブンはそのような外部の資金調達に頼らずにここまで来たというのは、素晴らしいの一言ではないかと思います。

 

これを可能にしたのは、利益率の高さもさることながら、もう一つのポイントである前受金です。前受金とは、サービスを提供する前に受け取った資金の事。24/7ワークアウトは事前に銀行振込をするというルールになっています。

これの何がいいかというと、先にお金を受け取る事でその分多くのキャッシュを保有する事ができるのです。先に受け取りを済ませることで、従業員に支払う給料や家賃分のお金を先に受け取ることができるので、経営の余力資金が潤沢に得られることができます。

 

逆に、サービス終了後に受け取るモデルだとどうでしょうか?

3か月間の社員への給料と賃料を払ってからやっとその分のお金を回収という時間軸になります。支払回収にコストがかかることもあるかもしれません。このように、前受金という費目は売上にも費用にも、利益にも本質的には影響を及ぼしませんが、サイト管理という経営において重要な事が分かっていないと出てこないものなのです。

 

そのような意味で、トゥエンティーフォーセブンはビジネスモデルだけでなく、事前の財務戦略の構築も非常に優秀であると言えます。

 

今後トゥエンティーフォーセブンの営業利益を増大させるために必要な施策は?

 

ここからは私自身がトゥエンティーフォーセブンの営業利益を増やしていく為にどのような施策を打つだろうかと考えていきたいと思います。

 

まずは、出店戦略はこのまま継続でしょう。このようなトレーニングの市場はまだまだ大きい。出店するエリアを間違えずにいい出店を続けることができていれば、今後とも利益が増大していくと思います。

 

一方で、トゥエンティーフォーセブンのビジネスモデルの弱点として、あえて挙げる点があるとすれば「リピート性がある商品がない」ことが挙げられるのではないでしょうか。

 

トゥエンティーフォーセブンはある意味成功を確約するところが信頼性につながり集客を行うことができています。その為、ネットを見る限り満足度は非常に高いものの、その満足感は「2か月間で本当に変わることができた!」という所に裏打ちされているのではないでしょうか。なので、どうしても変身できたらそれでさよならにならざるを得ないのです。

結果として、リピート性はないに等しいという結果になってしまいます。24/7ワークアウトは累計会員数が6万人を超えるにも拘らず、です。

 

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そこで、専用のアプリを作って、アフターフォローの動画などのコンテンツを流すSaaSのサービスを始めるのはどうでしょうか。月額500円程度でしたら、いい感情を持っている卒業生は比較的参加してくれやすいかもしれません。

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しかし、仮に6万人の内30%が入会してくれたとすると、1万8千人×500円×12か月なので、1億円近い収益が年間で継続して見込めます。

トレーニング方法の開発はそんなに多額の資金もかからないでしょうし、卒業後すぐに勧誘すればいい感情を持っている熱い顧客なので顧客獲得コストもかかりません。

 

アプリ開発コストがかかりますが、それを差し引いても、今後継続的に会員も卒業会員も増えると考えると、これくらい低コストでキャッチアップし続けるのは安定的な収入を得るという意味では非常に有効なのではないかと思います。

 

今後どのような仕組みを構築していくのでしょうか。非常に楽しみに待ってみたいと思います。