Finance Records

上手く行っている企業は何が違うのか?目標に届かなかった理由は何だったのか?様々な企業を記録し、財務分析を発信します。

マネーゲームに興味があってもなくても、経営者がM&Aを検討しておくべき理由とは

目次

 

はじめに

 若手の経営者の中にM&A を知らない方は少ないと思いますが、実際に検討している事は少ないのではないでしょうか。しかし、現在はM&Aを検討する必要は大いにあると言えます。それは、日本の先輩企業を見ておくと、出口戦略の一つとしてM&Aを検討しておく必要が明らかにあるという実感を持っているからです。

 

 近年財務の側面で言うと金融検査マニュアルが廃止され、保証協会の制度も変更になったり、消費税が増税されたり、働き方改革が起こったりとPESTのPの環境変化が著しいです。

 

更に、日経新聞にはこのような記事が出ており、今後経済を活性化させるためにはM&Aの活性化が必要であり、その為に制度を設けることを示唆しています。

新事業への投資のうち、甘利氏が減税措置の有力候補に挙げたのはM&Aだ。これまで投資に関する減税は生産性向上につながる設備やソフトウエアなど償却可能な資産ばかりが対象だった。スタートアップ企業への投資に優遇措置を設けた例はあるがいまはない。M&Aの活性化は20年度改正の目玉になりそうだ。

甘利氏は日本企業の内部留保が18年度で463兆円と7年連続で過去最高を更新したと指摘した。「内部留保がたまっていく企業はイノベーションが起きていない」と述べ、米国企業に比べて日本の企業の自己資本利益率(ROE)が低い一因だと訴えた。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50371110Z20C19A9MM8000/

 

また、PESTの他の要素を見ても、日本国内は人口減少、高齢化により黒字の優良企業が次々と廃業するという事態が起こっています。この数は年々増加し、現在は倒産件数の約4倍程度。また、ITの発達により商圏が拡大し、近い経済圏の企業だけでなく、中小企業であっても九州の企業が北海道の企業をM&Aするというような事態が発生しています。

 

このように、Pの部分だけでなく、PESTの至る所において、大きな変革が起こりつつあることがよく分かります。こんな時に、何故若手の企業であってもM&Aを検討しておくべきなのか。それは、今の先輩方の事例を見ていくとよく分かります。

 

出口を検討していなくて起こる三重苦

 休廃業している企業。この中には黒字の企業も多くあります。有名な所で言うと羽衣文具というチョーク製造業の企業です。この羽衣文具の作るチョークは独自のノウハウに基づいて作られ、世界中に愛好家がいたそうです。

特に数学者には愛好家が多く、スタンフォード大学数学科のある教授は、羽衣文具廃業を聞き15年分のチョークを購入するほどまで、熱烈に愛されている商品でした、

 

が、経営者の高齢化に伴う体調の悪化、後継者不在問題、国内の環境の変化(学校などに卸していたが、入札制度なので品質より値段が優先されることが増えたことによる売上の減少。ホワイドボードや電子パッドの普及によるニーズの低下)などを抱えて、廃業を決意されました。

 

技術を真摯に伸ばし、世界に愛好家も多くいた企業が、経営者の高齢化、後継者不在、環境の変化という3つに対応できず、廃業してしまったのです。これは羽衣文具だけではありません。日本国内に限って言っても、毎年4万社近くの企業が休廃業していってしまっています。その中には黒字企業も多く存在しています。ここから学べることは、ただ利益を追い求めるのではなく、企業存続の為には一体何が必要なのだろうか?と確認していく思考ではないでしょうか。

 

正直、この事を知った時、大きな問題すぎて自分自身に課題感が生まれなかったことを良く覚えています。まだ年齢が若い私は、このような事は対岸の火事に思えてしまいます。もしかしたら、まだ廃業を考える年齢ではない経営者の方も同じかもしれません。しかし、何も動かなければ、何も検討していなければ、将来必ず起こりうる問題なのです。

 

問題は価値だという考え方があります。生じた問題、これから生じるであろう問題というのは、解決する事によって未来がより良い方向に代わっていくはずです。

 

ただ真摯に頑張った結果、どうしようもなくなってしまい廃業せざるを得ないのか。事前に準備し、問題を解決することによって望む未来を創るのか。この先輩企業に起こっている問題というのは、我々から見ると「すでに起こっている未来」です。

 

そして、この問題を解決する方法の一つとして、M&Aがあるのです。

 

この問題を解決する為には、出口戦略の策定が有効

 

これから何もしなければ将来我々に起こるであろう3重苦(高齢化、後継者不在、環境の変化)に対抗する為には、オーナーとしての出口戦略が必要です。

 

出口戦略とは、5つしかない企業の出口の、どこに向かっていくのかを決めること。「IPOするのか」「M&Aするのか」「事業承継するのか」「清算するのか」「倒産させるのか」どこを選ぶかは経営者の判断次第です。

 

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IPOは上場のこと。企業の成長性や内部監査の基準などの様々な条件を満たして、株式を「市場」に流通させることです。ここに行くと企業は優秀な人材を獲得しやすくなります。また別の側面の問題が表れることになるでしょうが、後継者の問題はこの段階に来ると「どうやって探すか?」から「誰を選ぶか?」に代わってきます。

 

次に事業承継。事業承継が可能なのは社内に後継者がいる幸運な企業です。しかし、この問題は「継がせるべき優良な企業にしようと思ったら、株価が上がりすぎることになる」という事です。この承継問題を解決しようとすると、数十年単位のスパンで未来を考え、事前に株を後継者に渡しておく必要があります。

 

ちなみに、事業を引き継ぐときには株価対策だけでは上手く行きません。後継者が従業員に認められるようになったり、取引先に認められるようになるために教育や準備が必要になります。この事からも分かる通り、後継者がいる幸運な企業は、更に早い段階から問題に対応していく必要があるのです。

 

清算は先ほどお伝えした通り、「上手く行っているのに・・・」という出口を決めておかないが故に起こりうる未来です。倒産は望んでやる人は誰もいないでしょう。IPOは実際にやる企業も少ないですし、事業承継はそもそも後継者がいないと話にならない。そんな時に、M&Aは、他に選択肢がない場合に、清算や倒産を逃れる受け皿になり得るのです。

 

私の所属している協会は士業を中心としたネットワークで、M&Aは結婚と同盟だと定義しています。その理由は、先ほどの三重苦を逃れ、自社を後世に残していく為に有効な手段だと考えるからです。

 

財団の理念

M&Aへの理解を深め、マーケットを創造し 日本経済の発展へ貢献すること

当財団は、「日本的M&Aの創造」を実践することで、3つのテーマを実現します。

① 各業界の再編成を加速させる ② 「文化」と「歴史」と「雇用」と「技術」を次世代に繋ぐ事に寄与 ③ 日本とアジアの架け橋となる

構想実現の『鍵』は、日本の隅々まで行きとどいている私達会計人のネットワークを活用し、全ての中小企業の情報を集約しうるか否か、更にその情報を知恵へと転換する事ができるか否かであります。 M&Aに踏み切った経営者のほとんどが、顧問税理士にM&Aの相談をしておりません。理由は「過去に相談したら反対された」「税理士に相談する内容ではない」という回答です。この現実は我々会計人が心から恥ずべき事態です。 さて、目の前の1件の顧問先とその地域を守る為に、今私達に何ができるのか?一事務所の限界を超えて、会計業界がどのような責任を果たすべきなのか?そのテーマと、私達が真剣に議論することが、業界への恩返しとなり、事務所を長く支えてくださった顧問先への恩返しになります。 是非、この趣旨にご賛同いただく多くの先生方と共に、日本の新たな未来を描く事に挑戦していきたいと思います。

https://jmap-ma.com/about/

 

この組織は、M&Aを、単純に企業の売買であると考えるのではなく、このようなネットワークを通じて企業の文化や技術を残し、本当に意味のあるM&Aを行う為に生まれました。現在のM&A担うM&Aセンターなどは基本的に大規模ディールを中心に取り扱います。

 

中小企業が相談に行っても、専任契約(専任契約を結ぶと、今後M&Aなどの相談については他の人間に口外できなくなります。)を結んだまま塩漬けになる可能性も高い。

 

この組織は、そのような事を防ぎ、中小企業の為に事前に準備し、より企業を発展させていく為に、経営者の周りにいる士業によって構成されている組織です。

 

若手経営者が早めにやっておくべきは、「自社の価値の定義」と、「現在のバリュエーションの算定」

 

M&Aは、IPO、事業承継が実質的に難しく、清算や倒産という避けるべき出口から出る実質的な受け皿になります。では、当面の事業承継や後継者育成などを考える必要がない段階の企業では一体何が必要か。これは、「自社の価値の定義」と「現在のバリュエーションの算定」の2つです。

 

「自社の価値の定義」とは、売上や利益の源泉となっている、自社の本来の価値を定義する事です。正直、この部分は私自身今何度も問い直している最中ですので堂々と書けること等多くはありません。ですが、自分自身も、この問題に向き合い、定義することによって新たな価値が生まれることになると信じています。

 

その他、自社の価値から生じる、SWOTを問い直すことも効果的です。この問いは、結局「自社は顧客にどのような効能、満足を与えるか?」という部分を問い直すことにつながります。これは銀行の融資の際にも有効に機能しますので、皆さんもぜひやってみてください。(相談相手が必要であればご連絡して頂いても構いません)

 

次にバリュエーションです。現在のバリュエーションの算定は、単純にいうと「現在の自社の価値はいくらだろう?」と計算してみることです。この計算をしておくと何がいいのかというと、企業価値を算定し、その算定の方法を知ることで、「これから自社が企業価値をあげていくには、一体どの部分を増やせばいいのか」が分かるという効果があるのです。

 

企業価値の計算方法には大きく分けて「インカムアプローチ」「ネットセットアプローチ」「マーケットアプローチ」の3つがあり、相続税などでよく使う計算方法は「マーケットアプローチ」の中の類似業種批准方式という、「似たような業績、業態の上場企業の株価を基準として計算する方法」もしくは、純資産価格方式という、「総資産から負債を引いた額」で計算する方法を取ります。これらの計算方法は誰もが同じ結果を求めることができます。

 

しかし、実際にM&Aをする際にこの計算方法は利用されません。税理士に依頼して行ってもらうマーケットアプローチは自社の評価にそぐわないのです。企業のM&Aで企業価値を算定する為には、インカムアプローチとネットセットアプローチを併用する方法が取られます。

 

インカムアプローチはPLから算定する方法ですが、「超過収益法」を利用する事が多いです。DCF法は将来のキャッシュフローを割り引く方法ですが、β値やWACCの計算が非常に曖昧な部分がある計算方法です(赤字やキャッシュアウトが続くベンチャー企業などでも利用される方法です。)。

 

ネットセットアプローチは時価純資産価格方式が採用されます。財務諸表のBSから算定する方法で、土地などの資産を時価に再計算した後の純資産を企業の価値にしています。

一度企業が解散した時に、もう一度すべて再調達したらどれくらいかかるのか?という事をベースに考えられる計算の方法になります。

 

BSは過去の積み重ね。PLから計算する方法は未来を予測して計算します。この両者を組み合わせることで、「今までの企業の対応と、これからの企業の計画が達成すると、企業価値はどれだけになるか」ということが分かります。

 

この現時点での企業価値を知ることによって、今後どこを伸ばせばより企業価値が伸びていくのかという事につながるのです。

 

企業価値の算定を無料でやってみませんか?

 

さて、M&Aは企業の出口を決めておく時に、非常に重要な手段の一つであることをお伝えしてきました。

目的は将来の問題に対して解決を図っていこうという部分になります。が、実際に企業の現在の価値はいくらだ?という部分を抜きにしてしまうと「今、ここからどうするのか?」という部分にフォーカスする事が難しいのではないかと思います。

 

そこで、メールでご連絡いただければ、一度面談させていただいて、私を信頼できると感じて頂ければ、無料で企業価値の算定をさせていただきます。

その現在の企業価値を元にし、ここからどのような方向性で頑張ればどれだけ企業価値が増えていくのか。そしてそこに付随するリスクを解消する為にはどのような戦略があるのか。考えるきっかけにして頂ければと思います。

 

必要があれば、私の人脈の範囲であれば支援できる部分は全力で支援していきます。

もちろん、企業価値を算定してほしいという要望だけでも構いません。

 

この記事が、何かの一つのきっかけになれば嬉しいなと思っています。