Finance Records

上手く行っている企業は何が違うのか?目標に届かなかった理由は何だったのか?様々な企業を記録し、財務分析を発信します。

資金調達しやすい決算書の考え方 その②ただ営業利益を見るだけでなく、実質長期負債返済年数まで確認しよう。

はじめに

 

企業が成長したい!と思った時に、必要になってくるのは投資です。その為には経営者の皆さんが事業を磨き、利益を出して、その利益から投資に回すことも多いのではないでしょうか。

 

とは言っても利益を出すと税金が待っています。日本の税金は中々シビアですよね。「こんなに払えるか!」という思いをした方も少なくないかと思います。そんな方に、実はいい節税商品があります!

 

 

 

 

・・・という話ではありません。この記事は、「納税をして、いい決算書を作って、銀行に応援してもらえる体制を作りましょう」という記事です。

 

 

 

節税って中小企業が使うには実はローリターンハイリスクです。有名になる節税はたいてい数年で改正がかかります。しかも、大きな節税方法は時間軸で数年を要するので、そのスキームが完成するまでに改正が行われてしまうとアウトです。

上場企業並みに継続して利益が出まくっているのであれば話は異なりますが、 財務基盤が上場企業並みになっていない場合には、キャッシュが流出して、出口が見えない経営になってしまうことも少なくありません。

 

実際に近くで経営者を見ている経験上、納税をして、決算書を整えて、銀行に応援してもらえるような状態にした方が、結果的に損が少なくなるのです。

 

 

経営者の皆さんは能力も高く、自身の事業を磨くことに熱心である事が多いので、本気になって取り組み、利益を創出されている方も多いです。ただ、そんな経営者の方であっても、外部からの効果的な資金調達の方法を知らないと、知っている経営者に比べて成長速度が遅くなってしまうことがあるのです。

 

 

もちろん、経営者の皆さんであれば投資の為に資金調達する事が重要だということくらい十分承知しているでしょう。しかし悲しいかな、隣にいる税理士が知らないことも多いのです。

 

 

これは「銀行員は決算書をどう見ているのか?」という話。税理士の決算書の見方と銀行員の決算書の見方は違います。ここは私自身も結構苦労しました。税理士ってその決算書の見方が染みついているので、どうしても「税務的に決算書を作ると」という思考からスタートしていまうんですね。

 

しかし大前提として、銀行員は、決算書を「数字における当事者の考え方が反映される」と考えます。社長の意思をそこから読み取ろうとします。それに、税理士が作成している決算書の費目も見るそうです。

 

なので、経営者の皆さん組んでいる税理士が決算書を「税務申告のツールだ」としか見ていない税理士であれば、その決算書は銀行員から見てマイナスの印象を受けることすらあるという事です。

 

少なくとも、経営者にとっては決算書は資金調達の生命線であり、銀行との会話のツールであるということを認識してください

 

 前回は、「運転資金」と「貸した金が会社の外に出ていると思われないように気を付けて」というお話をさせて頂きました。今回は残りの2つ。「まずPLのどこを見るべきか」と「粉飾」についてです。

 

では、決算書をどう見るといいのか。そしてどこを重要視しているのかについて詳しく見ていく事にしたいと思います。

 

 

まず最初に確認するべきは、「営業利益が黒字かどうか」

 

PLにおいてまず銀行員が最初に確認する項目は、営業利益が黒字かどうかです。この営業利益が黒字かどうかで銀行員が何を見ているのかというと、「本業でちゃんと現金を創出できる下地があるのか」という所。

 

営業利益の中から金利を払ってもらったり、貸出資金を返済してもらう銀行にとって、この営業利益が赤字というのは貸した金が返ってこないという可能性もあるので大問題になります。

 

営業利益は黒字でしたか?黒字である場合には、簡単な計算方法ですが、まずは銀行が最も重要視する指標である「実質長期負債返済年数」を確認してみてください。

 

実質長期負債返済年数

「実質長期負債」÷「実質キャッシュフロー」=〇〇年

という計算式です。

分解してみましょう。

実質長期負債返済年数

「有利子負債残高ー正常な運転資金」÷「実質経常利益×70%(税引)+減価償却」=○○年*1

 

です。この年数が10年以内であればまだ借りられる余力がある可能性が高いです。

 式にすると難しそうですが、図にすると簡単です。

f:id:parrrrrao:20191108110605p:plain

こんな感じです。ようはBSとPLにまたがっているからややこしく感じるだけ。実際にお会いして話すと皆さん一瞬で理解されます。

 

ここは銀行の方が大きく注目している所。金融検査マニュアルが廃止になって、これからは事業性評価の時代です。が、この部分の重要さは変わらないので、 今後もここの指標は気を付けておきたいところです。

 

問題はこの営業利益が赤字だった場合。減価償却をいじって、償却不足の状態で銀行に提出しようとする税理士がいます。この提案が出たら注意してくださいね。これは銀行から一瞬でばれます。専門的な話をすると、固定資産台帳などからも分かりますし、法人税法の別表16の部分も当然見られます。しかも、そのような減価償却をいじっているということが分かると、銀行員の心象的に結構悪影響なようです。

 

 

もし減価償却を変更する必要があれば、計上基準を変えて資産の減価償却の基準を正当性をもって変更することなどが必要です。ちなみに、この資産の計上基準を変更すること自体は特に問題はありません。

 

「中小企業の会計に関する指針」という、中小企業の会計の計上ルールがあるのですが、この基準も「減価償却における耐用年数や残存価額は、その資産の性質、用途、使用状況 等に応じて合理的に決定しなければならない。」と書いており、償却方法については「みだりに変更してはならない」と記載がされるにとどまります。

f:id:parrrrrao:20191021104220p:plain

https://www.jcci.or.jp/sme/accounting/shishin/2_chyushoshishin170317.pdf

つまり、ちゃんと理由があって変更することは何の問題もないのです。昔話になりつつありますが、ゴーン元社長が日産に来た時に「リバイバルプラン」というものを提示して再建したのですが、このプランの中にも減価償却基準の変更は使われていました。

 

ルールに基づいて償却するのは、非常に強力な方法なので、営業利益を出そうとするときには一度検討してみることをお勧めします。

 

さて、ではどう頑張っても営業利益が赤字になってしまった。こんな場合にはどうすればいいのでしょうか。これは赤字が一過性のものであるかを説明できるかどうかが分水嶺になってきます。銀行は一過性の赤字は基本的に問題視はしません。

 

ここでも重要になってくるのが「銀行に対してちゃんと説明できるのか?」という点です。

 

経営者は当然ご自身の事業を十分理解されているでしょう。

 

ただ、この期がどうして赤字で、何故次の期では業績が回復するのか?という部分を説明する際には、数字で説明しない人が多い。銀行に対する説明は、「数字で行なう」ということが非常に重要です。

 

その為、銀行に対する資金調達の際には、税理士等に同席してもらうことも選択肢の一つに入れておくといいかもしれません。ただし、税務業務しか頭にない税理士が行くと話がかみ合わなくなって逆効果になる事もありますので、その辺りの事前確認は充分にやっておいてください。

 

私自身の周りでは、税理士がこのような財務周りの事を分かっておらず、こちらにご相談に来られる方が非常に多い印象を受けます。

 

係数感覚が分かっており、数字を使って説明できる人と組んで決算書を作っていってください。

 

4つ目のポイントの粉飾があるかどうかですが、これは簡単。そもそも粉飾は絶対にしないでください。もう言えるのはこれだけです。「ちょっと入金を忘れていたから決算前に入金したことにしよう」なども問題になるので注意です。

 

ここを疑われると話進まなくなるので、基本的にはBtoBの業種であれば現金取引なしにする動きを進めた方がいいかと思います。粉飾を疑われてしまった場合、企業の成長スピードも一気に鈍ってしまいます。絶対にやらないようにしてください。

 

基本的にまず確認しなければいけない決算書の4つの事項は以上です。

 

さて、前回の記事と合わせて、運転資金がちゃんと確認でき、社外流出費目が無く、営業利益が黒字になってくると銀行に応援される決算書になってきます。皆さんの決算書はどうなっていたでしょうか?

銀行に応援してもらえる決算書になっていたでしょうか?

 

応援される決算書になると、実は面白い事が起きるのですが、、、

 

この続きはまた書きたいと思います!

 

前回の記事はこちら

 

 

www.finance-seisekihyo.com

 

5年で85%の企業がつぶれる現状を何とかしようよ

 

今の日本は5年で85%の企業が潰れてしまいます。企業が潰れる理由はひとつだけ。現預金が尽きるから。お金が無くならないと会社は潰れない。でもお金に対する知識がないから潰れていってしまうのです。

 

しかし、現在の日本は調達天国です。調達の際の金利は数パーセント。

これは世界市場の資金調達コストに比べて倍近く低いコストです。

これは大きなチャンスなのに、うまく利用できていない企業が多いのは非常にもったいないと思います。

 

企業が成長する際にもお金が必要不可欠ですが、その成長の為の投資を行うにあたって、自社で儲けた利益のみで賄うのは日本の税制上不可能です。

 

節税は企業の体質を脆弱化させます。

 

そうなると、銀行からの資金調達を戦略的に利用することこそ、今の日本の企業に必要な思考です。

 

調達に成功し、大きな現預金を持つ企業は更に成長していきます。私はビジネスモデルがしっかりした企業が、資金を大きく調達して一気に成長していく姿を何度も見ています。このことからも分かる通り、経営を加速させるためには、ビジネスモデルと財務の両輪が必要なのだと実感しています。

 

「赤字の企業には銀行はお金を貸してくれない」

「借金は借りたら返さなくてはいけない」

「融資を受ける時には、保証や担保がとられるのは当たり前だ。」

「覚悟を示すために保証に入る」

 

これらは全て間違いです。

しかし、社長にはややこしい数字周りや銀行の勉強も、理解も必要ありません。最初に企業の状況、投資先、調達後のビジョンなどのヒアリングのお時間を頂けますと、その後は私が御社の財務戦略を支援します。

 

その間、あなたはご自身の事業に集中し、その磨いた事業であなたの顧客を幸せにして下さい。今やるべきは、資金調達の為に掛けている時間を買い、本業に集中することです。

そして、調達した資金を元に的確な投資を行い、更に顧客を幸せにしていただければと思います。

 

セミナー等もやっているので興味ある人はお声がけを

 

www.finance-seisekihyo.com

 

 

 

メールはこちら

financerecords.management@gmail.com

 

 

 

*1:営業利益に営業外損益を足したら経常利益です。ちなみに、実質とは何かというと、雑収入の内、一過性のものは控除されます。その時家賃収入も一緒に引かれるリスクがあるので、基本的には定款を変えて家賃収入を売上にして対応するのがいいかもしれません。