Finance Records

上手く行っている企業は何が違うのか?目標に届かなかった理由は何だったのか?様々な企業を記録し、財務分析を発信します。

この四半期のZOZOは明確に立て直し期。物流が構築される今後が楽しみか。

 ZOZOの記事の第二弾です。今回はZOZOの直近3カ月の業績について。

ZOZO離れなどといわれ、大きな社会現象になったZOZOですが、実際にはどうだったのでしょうか。

 

ZOZO離れの影響、そしてZOZOの業績の全体像を確認しておきましょう。

 

ZOZO離れは結局起こっていなかった

 

ではまず、ZOZO離れって一体何だったのか?について見ておきたいと思います。

ZOZO離れはもともと、ZOZOARIGATOというZOZOの年中値引きの施策に反発した複数ブランドが「ZOZOへの出店を取りやめる!」といい始めたのが発端でした。

 

それをマスコミ各自が取り上げるようになり、ZOZOには大きな逆風が吹いているように見えました。これが実際にそうであればZOZOにとっては致命的。

 

なぜなら、ZOZOは前回の記事でも確認したように、自社で商品をほとんど持っていません。その為、ZOZOにとってはユーザーだけでなく、ブランドも重要な顧客になってきます。

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この両方のお客の内、片方のブランド側が減少してしまうと、「様々なブランドのアイテムを比較しながら検討できる」というZOZOの大きな魅力が減少し、結果的にユーザーがZOZOで買い物をしなくなる恐れがあります。

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では実際に、ZOZOからブランドは撤退してしまっているのでしょうか?

直近のブランド数はこのような感じです。

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ZOZO離れが最も騒がれていたタイミングでは純額で10ブランドが減っていますが、ZOZOARIGATOの取りやめの影響によってか、むしろ今期は取り扱いブランドは増加していっています。

 

また、風評被害によりZOZOで洋服を買う人数が極端に減ったのか?というと、実際には伸びてはいないものの、ほとんど減少しておらず、ここにもZOZO離れの影響はあまり見られません。

 

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では、ZOZO離れは結局回りが騒いでいただけで、ZOZOにとっては何の影響もなかったのでしょうか?

 

実際にはそんなことはありません。売上には影響が出ていないものの、利益面では大きなダメージが残っています。

 

取扱高は伸び続けているものの、利益がほとんど伸びなかった

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ZOZOはZOZOARIGATOの影響からか、FY2018Q4の取扱高は大きく上昇しています。しかし、実際にはZOZOはここで大きく利益を減少させてしまっています

 

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原因としては、大きくはZOZOスーツのプロモーション費用の増加、配送料の増加、そして人件費の増加が挙げられます。

 

 

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配送費は出荷されればされる程発生してしまう費用(ヤマト運輸に配送を委託しています)である為、増加はある意味やむを得ない部分ではあります。

 

これに対し、人件費や広告宣伝費は売上が上がっても上がらなくてもかかってしまう費用。

 

つまり、この部分に投資をするというのであれば、それ以上に売上をあげる必要があるのです。しかし、ZOZOの期待していたほどには売上が伸びませんでした。これによって、ZOZOは上場以来初の減益を経験します。

 

この辺りの詳しい内容と数値分析は過去記事をご参照ください。

www.finance-seisekihyo.com

 

 

ZOZOの目の見張る所は、このような結果を受けて「ZOZOSUITの出荷の取りやめ」「ZOZOARIGATOの停止」という、非常に素早い判断を行った点にあります。

 

では、その判断を行った後、ZOZOはどうなったのか。直近の決算書を見ていきたいと思います。

 

直近の決算書は悪くない結果に

 

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先ほどのグラフに今期の最新のデータを追加してみました。これによると、FY2019の取扱高は前年比で増加しています。

 

この結果自体は何ら問題が無いのですが、若干気になる点が。実は取扱高の前年比を見ると、取扱高の伸び率自体は徐々に鈍化傾向にあります。

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その原因は年間購入者数の伸び率の鈍化にあります。ZOZOの売上を分解すると、上記のように3つの要素に分解可能です。

 

今まで洋服という単一の商品を日本という限られた地域で販売することに注力してあり得ないほど伸びてきましたが、その取扱高に対するインパクトは年間購入者数の増加がかなりの部分を担ってきました。

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その購入者数が、ここ最近は若干伸び悩んでいるんですね。

 

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ZOZOの前澤社長の事ですから、これに関しては何かアッと驚くプロモーションを出してくるのでしょうが、ここの数字がどう増加するのか。どのような施策で増加するのか?という事は今後注視しておくべきかと思います。

 

ただ、今期特筆するべきところは、しっかりと利益を戻してきたこの点に尽きるのではないでしょうか。

 

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この営業利益が戻った理由については明白で、前期思いっきりお金をかけた「プロモーション費」をごっそりと削ったからです。

とはいっても、このプロモーション費はZOZOSUITの無料配布分だったので、止めたら当然プロモーション費は減少するのですが、結果的にこの早期の判断がZOZOの利益を確保させる結果につながっています。

 

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もう一年比べてみると分かるのですが、人件費と配送費もかなり抑えている事がよく分かる数字になっています。

 

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結果として、ZOZOはいったん削れる部分を大きく削った結果、今期のような営業利益率を叩き出すことに成功しました。

 

 

一度取り組んだ施策が想定通りにいかなかったと分かったとたんに撤退し、費用の支出を引き締めて、抑えられる限り出血を抑えて立て直す。

 

 

言うのは簡単ですが、これを行うのは非常に難しいと思います。

前澤社長のリーダーシップが光った結果なのではないでしょうか。

 

今後はZOZOMATや海外事業、MSPだが、今はその準備中??

 

さて、ZOZOの今後についても簡単に検討しておきましょう。

ZOZOは今発表している施策としても、ブランドのサイズをマルチサイズ化するMSP

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靴のZOZOSUIT版であるZOZOMAT

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そして、中国への越境ECなどを控えています。

 

マルチサイズもZOZOMATも、ユーザーだけでなく、ブランドに対してもメリットがある施策になっています。これはZOZOが今後ユーザーファーストという訳ではなく、ブランドと共存共栄を図っていこうとしている意思の表れでもあると思います。

 

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(画像はいずれも:

https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/ja/wp-content/uploads/2019/07/webup_ja_msp.pdf

 

個人的にはブランドの選定もかなりいいと思います。ぴったりサイズが一番カッコいいというのは幻想でしょうが、まずは自信にぴったりなサイズを持っておくのもいいなと思う層は多いはず。ただし、そう思うのはファッションに造詣が深いファッションフリークではないでしょう。

 

そう考えれば、これらのブランドはMSPを試しやすい上に知名度も高いという、この施策にぴったりな層だといえるのではないでしょうか。

単純に私も好きなブランドがあるので楽しみですしね。

 

これらの施策を考えると、ZOZOが物流に投資する意味も見えてくる

 

また、ZOZOMATや越境EC等が全て上手く行ったとすると、ZOZOは新規顧客や既存顧客のリピートを数多く獲得できる可能性を秘めています。

 

そのように考えれば、ZOZOはこれまでに比べて出荷量が増大するはずです。仮にすべてが上手く行っても、そのキャパシティを超えてしまうと何の意味もない。

 

そのような理由からか、ZOZOは今期ZOZOSUIT以上に大きな投資を予定しています。その投資の中身は“物流”です。

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恐らく次の施策からは出荷量が大幅に増大するだろうと見込んでいる証拠だと思うのですが、2020年までに大きな投資を予定している事がよく分かると思います。

 

上記の施策がしっかりと効果を出し、しかもその出荷量の負荷に耐えうるだけのZOZOの物流が整うと考えると、ZOZOは今後さらに楽しみな企業になってきますね

 

まとめ。今四半期のZOZOは明確に立て直し期。動きがあるとすれば今後

 

まとめます。

前期のZOZOはZOZOSUITやZOZOARIGATO等、大きな騒ぎを巻き起こした結果利益が大幅に減少してしまっていました。

その結果、ZOZOはいったん建て直しを迫られたと思います。そして、実際にその立て直しの影響は数字を見る限りかなり明確に反映されています。

 

今後のZOZOの施策としては、ZOZOMAT、海外事業、MSPの開始等がありますが、こちらのローンチはまだもう少しかかりそうです。

 

ただし、これらはZOZOとブランド側の共存共栄、また海外という新規顧客獲得の幅が大きいので、ハマる可能性は高い。一方、これまでより出荷量が増加する為、物流の強化が不可欠です。

 

恐らくそれを見越したうえでの物流への投資だと思われます。また、今後はZOZOフルフィルメントなど、他ブランドにZOZOの技術を提供していく事も予定している為、物流への投資は非常にいい投資になる可能性を秘めているのではないでしょうか。

 

今後のZOZOにますます期待したいと思います。

 

 

財務分析をする理由

 我々財務会計を担う人間は「社長が本業を通して顧客を幸せにすることに集中する」為の財務分野のパートナーであるべきだからです。

 

 私は資格として税理士を保有していますが、驚いたことがあります。

それは普通に税理士をしているだけではお金のこと、企業の財務の事は分からないという事実です。お金が増えても何で増えたのか分かりません。何で減ったのかも分かりません。

 

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事業の収益性を事前に評価し、リターンが得られるかどうかを判定するスキルも、自分から学んでいない限り、恐らく得てはいないでしょう。

 

ですが、税理士は社長に最も近い存在である士業であり、財務分野のパートナーになるべき存在。

 

だから私はいろんな企業の分析を行い、そのノウハウや分析スキルを自分の顧客に全力で注ぎます。

 

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企業ごとに財務モデルを組んで、経営者の望む利益を達成するにはどのような目標が最適かなどの視点はこれらの分析から学んでいます。

投資の際の意思決定において、「いい投資か悪い投資か事前に判断する」という思考も、これらの財務分析から身に付けた一つです。

 

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私は「社長は自身の事業を磨くことに集中でき、磨いた事業は社長の顧客を幸せにする。その為に私が社長の財務を担う」という関係性を提供します。

 

このブログでは財務分析に特化していますが、手元現金が増えていく為の財務戦略構築、銀行からの資金調達、資金繰りの管理などを行っています。

 

企業を発展させる鍵は社長にあります。財務は非常に強力ですが、社長は自身の企業の経営のキーとなる数点の指標を把握していればいい。

 

理解する必要もない100ある財務情報を聞くのはもうやめましょう。本質的に重要な数点のみ認識しましょう。そして社長は、自身の顧客を幸せにすることに集中してもらいたいと思います。

 

自分が愛する顧客を幸せにすることに集中できる環境を想像してみてください。

私は財務の面からそれをサポートしていきます。

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