Finance Records

財務諸表や決算書は企業の成績表!!さまざまな分析を通して財務の面白さをお伝えします。

大阪王将のイートアンドは仕入状況を変えて粗利を増やすべき?ビジネスモデルと財務を分析!

今回は大阪王将を運営するイートアンドについて見ていきたいと思います。

大阪王将って上場してたんですね。全く知りませんでした(笑)

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https://www.eat-and.jp/company/business/

ちなみに大阪王将は餃子の王将とは全くの別会社。創業者同士が親族関係で、大阪王将がのれん分けによって餃子の王将から独立してからは資本関係も全くありません。

 

一度大阪王将が餃子の王将のお膝元である京都に出店した時に、「王将という名を使うな」という裁判沙汰になったのは非常に有名ですね。その裁判を経てイートアンドの王将は「大阪王将」の名前に落ち着きました。

 

ちなみに、財務状況という意味では餃子の王将を率いる王将フードサービスが圧勝しています。

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今回は、こんな状況の中、王将フードサービスに挑むイートアンドの施策と、財務内容を取り上げてみたいと思います。

   

まず、イートアンドが何を売っているのかを確認します。売上の内容は、大阪王将のような店舗で飲食をしてもらう「外食事業」、そして、冷凍食品を販売する「食品事業」の2つです。

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外食事業は大阪王将の他にラーメン、そしてカフェなどの運営を行っています。

食品事業は冷凍食品などの販売がメインです。

 

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以上の外食と食品の売上がほぼ半々という様相を見せています。

 

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いずれにしても、イートアンドの事業のメインは「食」であることは間違いありません。では、「食」という最もマクロな視点からイートアンドを取り巻く環境を見てみましょう。

 

飲食業界を取り巻く環境を分析

 

まずは先ほど確認したようにイートアンドは王将フードサービスに業績でかなり差をつけられています。それによって何が起こるのかというと、利益率の低下です。

王将が出しているデータによると、イートアンドは王将のライバル店の平均よりも低い利益率に落ち込んでしまっている事がよく分かります。

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http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS00845/7ecfe89a/bbbc/477c/873f/c7d96fc6af7e/20190523190126992s.pdf

基本的に、餃子は「外食」や「おつまみ」として消費されることが多い。このような業態では、ライバルが無数に存在します。

 

特にイートアンドはシェアのトップに位置している訳でもなくライバル企業も非常に多い点は要注意です。

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ラーメン店を運営している影響だけでなく、このようにトップシェアではない場合には利益率は下がってしまう傾向にあります。

 

次は日本の人口です。日本は少子高齢化が叫ばれていますが、実際にここからの人口は減少の一途。

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また、景気の動向が緩やかに低迷。今後消費税増税を控えている事から、外食を控える動きも多くなってきています。

 

対して冷凍食品などの「食品」事業はどうでしょうか。こちらは人口の減少は免れないものの、近年は単身世帯の増加傾向にあります。これに伴い、「外食よりお金がかからないけど、手軽においしく食べられる」という冷凍食品は一定の需要が見込まれています。

 

また、家族を持つ世帯も共働きの割合が増加傾向。これにより、「料理をする」という時間的な負担を解消する冷凍食品は大きな需要があるように思われます。

 

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https://www.eat-and.jp/company/ir/upload_file/m004-m004_01/20190321.pdf

このような環境下にあるイートアンドですが、一体どのような戦略を取っているのでしょうか?確認していきたいと思います。

 

イートアンドの戦略を確認

 

さて、イートアンドの戦略を見ていく事にしたいと思います。

 

まず来店してもらう為に、様々な方法で認知度を高めていきます。

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https://www.eat-and.jp/company/ir/upload_file/m004-m004_01/20180508-1--.pdf

 

TVやWebへの露出も積極的。

 

 

その他にも艦これとのコラボ。

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 (https://www.eat-and.jp/company/ir/upload_file/m004-m004_01/20180508-1--.pdf

 

 

 

商品コラボも他企業と積極的に行っています。

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https://www.eat-and.jp/company/ir/upload_file/m004-m004_01/20180508-1--.pdf

 

 

 

商品を認知してもらい店舗に来店してもらうと、目玉商品が待っています。

大阪王将の餃子はもちろん、「感動商品」として、定期的に目玉商品を提供しているようです。

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https://www.eat-and.jp/company/ir/upload_file/m004-m004_01/20180508-1--.pdf

しかし、ご存知のようにイートアンドには「餃子の王将」という超強力なライバルが存在します。

 

その為、イートアンドは店舗などに来店してもらって事業が終了ではありません。大阪王将の味を気に入ってもらったら、本命商品として、冷凍食品の販売を設定しているのです。

 

冷凍食品がなぜ本命かというと、製造後販売を業者に任せられる為販売のキャパが増える事。そして調理などの工程を自社で行う必要がない為、人件費や光熱費がかからず利益率が高くなるからです。

 

実際に、事業別の利益率を見てみると商品事業の方が、営業利益という事業単位で見たときの利益率が高いことが分かります。

 

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このように、最終的には利益率の高い食品事業にまでもっていく、非常にベーシックな戦略を取っているように見えます。

 

では、トップシェアを他社に握られているという環境の下、上記のようなビジネスモデルを取っているイートアンドの経営成績と、今後の経営課題を見ていきたいと思います。

 

イートアンドは売上原価の割合を下げることが重要課題

 

では財務内容の分析を行っていきます。まず売上の内容を確認していきましょう。

先ほど見たようにイートアンドは外食事業と食品事業の2つが主流。そのどちらとも、売上は増加し続けています。

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この売上を確認するときに、見逃してはならないのがFCです。大阪王将は基本的にFC店が大きく、現在も直営店の10倍近い数があります。

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ここの契約内容を確認してみると、基本的には加盟店にはノウハウの提供だけでなく、製品の販売・食材の販売を行っている事が分かります。

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https://resource.ufocatch.com/pdf/edinet/ED2019062600739)

 

つまり、イートアンドとFC店は食材の売買を行う関係性だったのです。

 

契約時点で加盟金や保証金は入りますが、月ごとに安定的に入る収入はFC店の売上の最大3%。そして、イートアンドの求める条件をクリアすると、店舗運営指導料が0%となって、ロイヤリティ収入は最大1%にまで下がるようです。

 

FC店のロイヤリティとして考えると高くはないのですが、上述したようにイートアンドはFC店に食材を売買しているので、 共存共栄の関係を保つための契約内容であるように思います。

 

 

つまり、FC店は事業規模を急速に拡大させる方法として有用です。そのFC店が減少しているのは少々気にかかりますね。

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しかも、数値変動を見る限りFC店を買い戻しているのでしょうが、出店数自体がそんなに伸びていないことを見る限り、今後外食事業で大きな売上の伸びは期待できそうにはありません。

 

財務的な面で言うと、売上は客数と客単価とリピートの頻度によって決定されますが、店舗が伸びないという事は、この客数は自然と上限が決まってしまうという事でもあります。

 

そうなってくると、イートアンドが行わなければならないのは利益率の改善による利益の確保です。

 

しかし、イートアンドはここで大幅に利益を減らしてしまっています。この売上原価ですが、最新の2019年時点では約60%。これがどれだけ高いかというと、王将ホールディングスは30%です。

 

イートアンドの方が売上が小さい事を考えると、この差は取り戻せないほど大きいものになっています。

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ではなぜこの売上原価が高いのでしょうか。

 

ラーメン事業は原価が高いという影響もあるでしょうが、そもそも店舗数で考えても売上のメインは餃子のはずです。

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それにも関わらずこのような原価率の違いがあるのか。

現在イートアンドは売上原価の明細を開示していないのですが、遡ると2016年時点では開示していたので確認してみましょう。

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このような原価のデータの読み取り方は色々あると思うのですが、今回は「王将フードサービスに比べてどこの原価が高いか?」を知りたいので、対売上比に加工し、王将フードサービスの原価明細と比較してみましょう。

 

そのデータがこちらです。

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 このように見てみると、イートアンドの仕入れは明らかに提供する商品の仕入れでしょうね。

何でこんなに仕入部分が大きいんだろう?と思って色々探ると、こんな情報が。

 

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https://www.eat-and.jp/company/ir/upload_file/m005-m005_03/S100G82G.pdf

 

主力商品である餃子を自社工場で製造しているという一文があります。

逆に言うと、イートアンドは餃子などの主力産業以外は商品を仕入れしているのではないでしょうか。各社の取引規模から考えると、規模の経済性による強烈な値引きを行う力をイートアンドが持っている訳ではないように思います。

 

そうなってくると、後は効率性を改善していかなくてはなりません。

 

イートアンドも工場を新たに着工するなど、当然のように企業努力を繰り返しており、2016年当時からは原価率は下がり続けているのですが未だにその原価率は非常に高いです。

 

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 これをどこまで下げることができるのかが今後のイートアンドの重要な課題になってくるかと思います。

原価率が下がらないことには投資を継続できない

 なぜ原価率を下げて売上総利益を確保しなければならないのか?

 

それは、その中で人件費や広告宣伝費を稼がなくてはならないからです。イートアンドと王将の販管費を比べてみると、イートアンドは王将と掛けられる費用の額が全く異なることが分かります。

 

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人件費は直営店舗の数の違いが大きいですが、ここまで人件費を掛けられるのはやはり売上総利益を大きく稼いでいるからです。

 

飲食店は人に掛ける費用は非常に重要です。人のモチベーションが下がると業績が目に見えて下がってしまう為、ここに関してはしっかりと投資をすることが求められます。

 

また、当然宣伝をしっかりしなければ集客は落ちてしまうでしょう。

現状を見る限り、イートアンドと王将フードサービスの広告宣伝費も地代家賃も額が全く異なる事から、今後の売上の伸びも大きく異なってくる可能性があります。

 

売上が大きく伸びる絵図が描けない現在において、この投資の差は将来更に大きく影響してくると思います

 

もう一方の可能性としては食品事業が非常に重要

 

さて、大前提として、売上を増やして仕入の率を下げなければ非常に厳しいのですが、他には「食品事業」は将来性があるのでは?と思います。

 

序盤に確認したように日本の人口の減少は今後止まる事はありません。しかし、二つの層の人口が増加し続けています。

「老齢世帯」と「単独世帯」です。

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http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd141110.html

老齢世帯はあまり餃子は食べないかもしれません。

しかし、単独世帯の増加は若い世代が結婚をしないため増加し続けているという側面があります。

 

ここの層は食事を自分でつくらずにコンビニやファストフードで食事を済ませる層も多い。という事は、現在の働き盛りの人口が約7400万人なので、単独世帯の割合を素直に判断すると2600万人弱はいる計算になります。

 

その内の1%でも、今より多く500円の餃子を購入してくれる人が増えると売上は非常に大きいものになると思います。

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https://www.eat-and.jp/company/ir/upload_file/m004-m004_01/20180905.pdf

 

イートアンドの事業内容を総ざらいすると、既にその方向性で事業を拡大していました。この食事の部分をコンビニや他のファストフードからスイッチさせる施策を考えるのはかなり効果が高いのではないかと思います

 

以上、簡単ですが、本命商品として冷凍食品を持っているイートアンドは非常に面白いと思うので、今後は原価率を下げて広告宣伝などに回せる余力を確保し、「冷食の餃子地言えば大阪王将」という地位を確保してほしいですね。

 

次回はイートアンドのBSを見ながら投資と調達の関係について見ていきたいと思います。

 

 昼飯奢ってくれたら財務分析やるよの会

ご覧いただきありがとうございます!

名前の通りですが、お昼を奢ってくれたら御社の財務分析やることにしました(笑)

 

経営数字は企業の全体像ですが、普通士業だと「この経営指標が○○%ですね。」で終わるんですよね。でも経営指標なんて知っても何の意味もないです。

それじゃ会社の事業の事とかは分かりませんからね。

 

ただ、当然それだと企業が成長していかないんですよね。。。

数字をしっかり管理し、適切な財務戦略を立てればちゃんとやれば伸びる企業は

いっぱいありますよ。

 

知り合いの社長さんにも教えてあげてくださいね。

気になったら件名に「飯奢るから分析しろや」で連絡ください~

 

financerecords.management@gmail.com