Finance Records

財務諸表や決算書は企業の成績表!!さまざまな分析を通して財務の面白さをお伝えします。

ディズニーランドやシーは入場料では儲けていない??高い利益を上げるオリエンタルランドの戦略を分析!

今回はディズニーランドを運営しているオリエンタルランドについて確認していきます。

オリエンタルランドはとにかく高利益率。売上を伸ばしながら、高い利益率を維持している企業です。

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これだけ右肩上がりに伸びている利益率はなかなかお目にかかれません。このような企業の財務には強い企業、強い経営のヒントが隠れている場合があります。

 

今回は、オリエンタルランドの財務諸表を参考に、「テーマパークの経営」について見ていきたいと思います。

 

テーマパーク事業の特徴とオリエンタルランド

 

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https://www.tokyodisneyresort.jp/tdl/

オリエンタルランドはディズニーランドを運営しています。一度は行った方も多いのではないでしょうか。イベントもアトラクションも多く、施設も世界観が作りこまれていてとっても楽しいですよね。

 

そして、先ほど確認したように、企業としてもオリエンタルランドは非常に高い利益率を誇っています。では、ディズニーランドやディズニーシーはなぜこのような高収益を実現できているのでしょうか。

 

 

理由の一つとして、「参入障壁が異常に高い」ということがあります。そして参入障壁の高さは、更に設備投資額の大きさとブランドの2つに分けられます。

 

参入障壁1:テーマパークの設備投資額は多額にのぼる

 

ディズニーランドは楽しいですが、運営する側の企業としてみると、このような施設の投資は非常に高額になります。

例えば、ディズニーランドの新アトラクションである「ソアリン:ファンタスティック・フライト」。こちらは海外で人気のアトラクションのようですが、投資額としては180億円を予定しているようです。

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http://www.olc.co.jp/ja/ir/latest/main/00/teaserItems2/00/linkList/01/link/p2019-04.pdf

 

この一例を確認するだけでも分かる通り、テーマパーク事業の投資は非常に高額になります。しかも、テーマパークはアトラクションが一つあればいいというものでもありません。

 

ディズニーランドだけでなくUSJを見ればお分かりのように、これらのテーマパークが人を引き付けるためにはこのような投資を継続して行っていかなければなりません

 

実際、オリエンタルランドもディズニーランドとディズニーシーをより魅力的なものとする為に、継続して投資を行っていますし、中長期目標を策定してからは2014年を境に投資額が増加し続けています。

 

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このように、テーマパーク事業は非常に投資額が多額にのぼるのです。まずここが障壁となり、大資本を持つ企業以外テーマパークを始めるという選択肢すら得ることができません。

 

参入障壁2:仮にお金を持っていても顧客体験を高められそうなブランドが世界に少ない。

 

とは言え、この金額は大企業であれば出せない額ではありません。例えばTOYOTAの直近の現金保有額は3兆2939億2700万。出そうと思えば出せる会社は日本においても存在するのです。

 

しかし、実際にはこの投資額と同じ金額を投資してもお客さんは集まらない可能性の方が高いでしょう。お客さんがテーマパークに求める物とは「ワクワクや非日常」。その為には、ただテーマパークでジェットコースターに乗るのではなく、「ミッキーやディズニーキャラクター達との体験」が必要不可欠になってきます。

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https://www.tokyodisneyresort.jp/

このような体験をする為には、我々お客は初めにそのキャラクター達を知り、好きになっている必要があります。小さいころからミッキーやシンデレラを見て、そのキャラクターを知っているからこそテーマパークはさらに楽しくなるのです。(余談ですが、このキャラクターから始める流れは非常に大事だと思います。例えば今時代の中心にいる西野さんも絵本を作って、ブランド化する為に様々な手を打って、展示会を開いて、美術館をつくって…という流れを持っていますが、その元は「キャラクター」です。)

 

しかし、そのようなブランドともいえるようなキャラクターやアニメが世界にいくつもあるものでしょうか。通常ありませんし、育てるのは非常に大変。時間もお金もかかります。また、既にあったとしても、それは世界で既に認知されているものですので、その権利を購入しようとすると金額は非常に多額になる事は容易に想像できます。

 

テーマパークの経営は継続的な投資が必要なうえに、そもそも投資以外にも、世界観を作りこむためのブランドになり得るキャラクターが必要。でもそのキャラクターは世界を見渡しても簡単には見つからない。そしてそもそもですが、日本は国土が狭い為行こうと思えばディズニーランドに皆行くことができます。このような背景が、資本を持っていても参入障壁が異常に高い現在の日本のテーマパーク事情です。

 

参入障壁が高いという事は、他にライバルが少ないという事。その為、差別化が際立ち、利益率が高くなるという流れになっていきます。では、そんなオリエンタルランドの損益構造を確認していきましょう。

 

オリエンタルランドの損益構造を確認

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オリエンタルランドの損益構造は上記のようになります。売上の内、約62%が原価。そして13%が販売費や管理費になります。他は利益になります。非常に優秀な損益構造ですね。

 

ちなみに、売上の内訳を確認すると、オリエンタルランドの収入は「テーマパークの収入」「ミラコスタなどのホテルの収入」「モノレールなどのその他の収入」の3つに分かれていることが分かります。

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この中で売上の中心になっているものは「テーマパーク事業」の売り上げ。当然ですが、オリエンタルランドは「ディズニーランドやディズニーシーに来てもらう」というのがメインの収入になっています

 

そのテーマパークの収入は、更にアトラクションなどのチケット収入、商品販売、飲食販売、その他の4つに分かれています。

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オリエンタルランドの価格設定の面白い所が、この売上の最も大きい部分である「アトラクション」で利益を取ることを狙っていないように見えるところです。多少ぶれはありますが、テーマパーク事業の売上原価は有価証券報告書に開示されています。そこで、テーマパーク事業の売上と、それにかかる売上原価を対応させてみると、先ほどの「アトラクションでは利益を取らない」という戦略が浮かび上がってきます。

 

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これによると、アトラクションやその他事業は、利益は出てこないという結果になります。通常あれだけのアトラクションを作っていたらそこで利益を取ろうという発想になってきませんか?しかし、オリエンタルランドはテーマパークは利益が出ない価格設定にしている事が分かります。

 

では、代わりに何で利益を上げているのかというと、グッズや飲食の販売ですね。こちらは利益率が非常に高いです。

 

このように見てみると、ディズニーランドやディズニーシーは「集客装置」。そして商品や飲食の価値を上げるための「世界観を提供する装置」になっている事が分かります。

 

そう言ってしまうと非常に冷たいように感じてしまいますが、実際には「お客さんにより快適にランドやシーで過ごしてもらう」工夫と言ってもいいのではないでしょうか。

 

お客さんの平均滞留時間という視点で見てみると、緩やかにですが上昇し続けています。

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楽しくなければ帰るでしょうから、この平均滞留時間の上昇は、お客さんが楽しく過ごしている事を示す指標の一つと言ってもいいのではないかと思います。

 

ご存知の方も多いでしょうが、ディズニーは近年チケットの値段改定をたびたび行っていますよね。その裏にはこのように、お客さんをしっかり満足させているというデータがあります。そしてその結果、オリエンタルランドは高い利益率を誇っているという訳です。

 

まとめると、オリエンタルランドの利益率の高さはその参入障壁の高さ、そして、「テーマパーク自体では利益を取らない」というような戦略に裏打ちされたものだという事ですね。

 

では、オリエンタルランドは高い利益率を誇った結果、資産構成はどのように変化しているのでしょうか?これは財務諸表のBS(貸借対照表)から確認できるのですが…

長くなるのでまた次回の記事にしたいと思います!