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上手く行っている企業は何が違うのか?目標に届かなかった理由は何だったのか?様々な企業を記録し、財務分析を発信します。

メルカリのビジネスモデルと収益コストをビジュアル化。見える化すると、課題はいまだにUSメルカリか。

今回はメルカリについて見ていきたいと思います。

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(https://itunes.apple.com/us/app/mercari-the-selling-app/id896130944?mt=8)

 

とは言え、決算説明自体ではメルカリの戦略の大きな部分は変わっているようには見えませんでした。 

なので今回は改めてメルカリのビジネスモデルの全体像と、そこにいくらかかるのか?などを確認した後、メルカリの現在の課題を見ていく事にしたいと思います。

 

メルカリのビジネスモデルを確認

 

メルカリのビジネスモデルは「マーケットプレイス」と呼ばれる形態です。ユーザーに買い場と売り場を提供し、そこで成立した取引に対して手数料を受け取るという仕組みになっています。

 

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メルカリ自体は自社で商品を仕入れ、販売することはありません。商品はユーザーに出品してもらうことになりますね。

そしてメルカリは出品者も購入者も業者ではない一般人が中心なので、多くの一般の出品者に、手軽に、簡単に商品を出品してもらい、メルカリに出品するメリットを感じてもらわなければなりません。

 

その為にメルカリは、下記の3つに重点を置いてサービスを磨いているようです。

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https://pdf.irpocket.com/C4385/y7if/MTwR/OR5J.pdf

この3つをどのように達成しているのでしょうか。具体的な方法について簡単に見ていきましょう。 

 

なぜ簡単さが大事なのか

使い方が簡単であるのは非常に重要な事なのですが、メルカリは使いやすさ、簡単さを追求するのに多くの労力をかけています。

その理由の背景には、購入者と出品者が消費者であるというメルカリの仕組みがあります

このようなプラットフォームは、購入者が出品者に変わる可能性がある為、使いやすければ使いやすいほど、通常のプラットフォームより成長が早いという特徴があるようです。

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https://pdf.irpocket.com/C4385/y7if/MTwR/OR5J.pdf

 

上記の図のように、出品数が拡大すると購入者が増え、購入数が増えると出品者が増えるという循環が起きるのですが、その際のメルカリの大きな特徴は図の右側にある通り、購入と出品が重複するユーザーが相当数いるということです。メルカリが簡単さを追求してきた成果と言えるのではないでしょうか。

 

購入者がメルカリ内で出品まで行ってくれると、メルカリにとっては商品が増え、取引量が増えていきます。そうすればメルカリは更に魅力的になっていきます。この循環を起こすためにメルカリはより簡単に利用できるようにサービスを磨き続けています。

 

安全安心へのメルカリのアプローチ

メルカリは一般人同士のユーザーが安全安心に利用してもらう為に、エスクロー方式による決済や、ユーザー同士の相互評価を採用しています。

 

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https://pdf.irpocket.com/C4385/BXIb/gsRg/NODl.pdf

エスクロー方式は、決済の順番を入れ替える方法です。

メルカリの場合は、出品者が一般人である為、悪く言うと商品に信頼がおけません。そもそも支払いをしたのに商品が届かないというリスクまであります。

 

その為、購入者は欲しい商品を購入した際、まずはそのお金をメルカリが預かります。そして届いた現物を確認したのち、「この商品で間違いない、大丈夫」となってから決済を行います。

 

現物が届かない、商品が説明されていたものと違うというような場合には、この時点で取引をキャンセルすることができます。このような「出品者が一般人だからこそ発生する不安」を解消する方法がエスクロー方式です。

  

これに加え、取引後に相互評価を行い、その評価を開示することで、ユーザーに「親切にすることのメリット」があるように設計されている点も非常に重要だと思います。  

 

楽しいの今後の本命はコミュニティ?

メルカリは、チャット機能やいいね、フォローによって楽しさを追求しようとしています。この向かう先は、つまるところコミュニティ化ではないでしょうか。

 

一例をあげるなら、筆者が今後のメルカリの方向性の本命なのではと思った施策が数か月前に行った「CARTUNE」というクルマ好きのコミュニティの買収です。

 

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CARTUNEのコミュニティ利用者は、単純にコミュニティでの交流も楽しめますし、商品を出品する際にはメルカリの配送のシステムやエスクロー方式を利用できます。このようにコミュニティをもって楽しさを追求し、コミュニティ内の売買はメルカリの仕組みを導入するのは面白いアイデアだと思います。

 

これがうまくいくのかはまだ不明ですが、これが上手くいった場合、メルカリは今後コミュニティの買収を一つの戦略として位置づけるのではないかと思います。

 

ビジネスモデルのまとめ。そしてそれにかかる費用を可視化

 さて、以上、メルカリのビジネスモデルにおいて3つの視点を確認していきました。

メルカリは簡単に利用でき、不安を解消し、“楽しい”という感覚も大事にしようとしていましたね。

 

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このようなサービスを構築しているメルカリですが、これを構築する為にどんな損益構造が必要なのでしょうか。事業で得られる利益を示す「営業利益」まで、その費用を確認してみましょう。

 

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国内メルカリは既に黒字化を達成できているものの、その他の事業である海外メルカリとメルペイなどではまだまだ赤字が大きいという状況です。

 

国内メルカリのコストが開示されているので確認してみると、売上原価には、メルカリのサービスを磨くための人材の人件費、そして働く為の場所、商品出品の発送料など。

販管費には広告宣伝費やポイント発行の費用、決済回収業者に支払う手数料などを含めた支払手数料やサービス開発部門以外の人件費が計上されています。

 

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https://pdf.irpocket.com/C4385/FMlK/oDqB/unqk.pdf

 

 

これらをビジネスモデルに落とし込むとこのようになります。

 

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青色部分が売上原価、ライムグリーンが販管費、オレンジ色が売上を示しています。

メルカリは現在、売上のほとんどを取引締結後の手数料に頼っています。他には、「後払いOK」の仕組みによる手数料も追加されましたね。

 

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メルカリは基本的にこのようなメルカリ内でのサービスの中でキャッシュポイントをつくっていくのでしょう。例えば、「プレミアムユーザーにはブランド品鑑定のサービスをつける。」などといったことも想定できますね。

 

他にはメルペイの購買データを利用した他社との協業、信用スコア、メルペイ内のキャッシュを利用したネット銀行などのようなサービスとして広がっていくのではないでしょうか。 

 

国内メルカリ以外赤字だけど大丈夫??

とは言え気になるのは、メルカリは上場後常に赤字である所。今回も国内メルカリが稼いだ営業利益を食いつぶし、60億円近い赤字を計上しています。

これは大丈夫なのでしょうか。

 

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結論から申し上げますと「現段階では」そんなに心配しなくてもいいのかなと思います。

というのも、メルカリは上場などに伴うキャッシュが潤沢にあるので、現在企業のキャッシュフローが回らなくなる心配がなさそうなのです。

 

メルカリの2期分のキャッシュの流れを可視化してみます。

 

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事業の赤字も計上されていますが、その影響はさほど大きくなく、上場や調達などによる資金調達の方が圧倒的に大きいことが分かります。

 

この状態になったら簡単には潰れません。つまり、メルカリの60億近い赤字は、額単体で見ると大きいのですが、メルカリが持っている現預金という視点で見てみるとそんなに大きなものではないということになります。

 

では一体何が問題になるのかというと、ハッキリと言えるのはアメリカメルカリの成長率です。

 

改めてメルカリのビジネスモデルと損益構造を確認すると、アメリカのメルカリはどうやら販管費に大きな金額をかけているようだということが分かります。

 

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販管費で大きく赤字になっていますよね。

これはアメリカのメルカリの役員に対するフィーであったり、広告です。

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https://pdf.irpocket.com/C4385/FMlK/oDqB/unqk.pdf

人材はただでさえフィーが物凄く上がっているアメリカの中でフェイスブック元幹部やグーグル、リンクトインやペイパルの出身を連れてきて相当優秀な経営陣の中で経営され、広告も今期積極的に投じているようです。

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https://pdf.irpocket.com/C4385/FMlK/oDqB/unqk.pdf

日本においてはTVCMが大きな影響力を持ちますが、アメリカはテレビだけではあまり効果がなかったそう。その為、様々な媒体をもってCMを行っています。恐らくコスト的には相当多額でしょう。

 

プロダクトを磨き、優秀な人材を登用し、宣伝も大きく行う。

このように、メルカリがやっている事は「アメリカで本気で勝つ」為の行動です。

 

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https://pdf.irpocket.com/C4385/FMlK/oDqB/unqk.pdf

 

その甲斐あってか、売上は伸び続けていますが、実際には全然足りていないと思います。メルカリに求められている成長率はもっと高いものなのではないでしょうか。

 

試しに「国内メルカリの損益構造と同構造になる為に必要な売上高は?」と考えると、今よりザックリ5~6倍の売上が必要になってきます。

 

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でも、メルカリがアメリカで成功したって言われるレベルって、まずはここなんじゃないのかなあと思うのです。アメリカ版メルカリは、そのレベルに行くまでの成長率にまでは達していないような気がしています。

 

その際に一つ気になるのはメルカリに対するアメリカ人の評価。

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https://pdf.irpocket.com/C4385/FMlK/oDqB/unqk.pdf

App storeの評価を見ると確かに高いのです。ただ、アップルストアに書き込みができるユーザーという時点でそのユーザーは相当生活水準が高いような気がします。アメリカの経済規模は大きく、中間層も多い為あまり気にしなくてもいいのかもしれません。

 

が、アメリカの他のサイトの評価を見てみると、意外と低いことが多く、そのコメントには詐欺まがいの事をされたというコメントもありました。(商品が入っていなかった、とか、より高く売れそうだという理由で成立した取引が解約されたというような事例)

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https://www.trustpilot.com/review/mercari.com

このような別のレビューサイトで評価がかなり低いのは、メルカリが今後顧客にしていかないといけない層はかなり癖が強いというか、強敵であるというか、少し難しい顧客を今後相手にしていく必要があるのかもしれません。

 

このサイトでいうと、レビューは397個しかないものの、気になるのはBADが65%もあります。このサイトの信頼性はどれだけあるのか不明ですが、やはり詐欺などは多少日本よりも多くなるだろうなという印象を抱きます。

 

費用的な所で言うと、アメリカは国土が大きいため、仮に送付後の詐欺によるキャンセルの割合が一定数膨らんでいった場合、メルカリの費用を圧迫するレベルにまでなるかもしれません。訴訟リスクも無視できないでしょう。

App storeでの評価は高いので、このままいっても問題ないようには見えますが、今後成長を加速させようとした場合にはこのような部分は無視できないかもしれません。

 

 

目標は高く、問題になりそうなリスクも大きいですが、今後もメルカリには頑張ってもらいたいですね。

それでは、このくらいにしたいと思います。

どうもありがとうございました!

 

メルペイなどの未来については

 

 

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 メルカリの過去記事は

 

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