Finance Records

上手く行っている企業は何が違うのか?目標に届かなかった理由は何だったのか?様々な企業を記録し、財務分析を発信します。

NETFLIXの2018年の投資額は1兆円超え!その投資はどんな影響を与えている?

 

今回はNETFLIXについて書いていきたいと思います。

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https://twitter.com/netflixjp

日本のコンテンツで言うと「テラスハウス」などが有名ですね。近年かなり耳にすることが多くなったNETFLIXという企業ですが、財務諸表はかなり面白いのでご紹介していければと思います。

 

NETFLIXは日本企業ではあまり見ないレベルで投資意欲が高い。

 まず最初に驚くのが、NETFLIXの投資意欲の高さです。日本企業が見るとある意味「常識外れ」だと思うようなレベルでの投資が続いています。NETFLIXは近年の成長が著しいですが、背景には明らかにこのような投資があるではないでしょうか。

 

これを確認するために財務諸表の中のキャッシュ・フロー計算書を確認していきましょう。キャッシュ・フロー計算書は、現金の流れを追う為の財務諸表。表示の方法は、損益計算書の「税引き後当期純利益」から始まり、そこから様々な調整を加えて現金の動きまで戻すという方法を取っています。その過程で企業の投資額などを確認できます。

 

なのでまず、税引き後の純利益の推移から見てみましょう。

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黄色はその年の通算です。利益は毎年指数関数的に増加しています。2018年の4期目(10~12月)は利益が出ていませんが、基本的には毎期毎期利益が少しずつ積みあがっています。日本企業にはこの得た利益の中から投資を行うという企業も多いです。ですが、

NETFLIXのコンテンツへの投資額はこの稼いだ純利益を大幅に上回っています

 

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右が先ほどの税引き後の純利益。対して左が、NETFLIXがコンテンツに投資した金額です。一瞬「見間違いかな?」と思うくらい、NETFLIXはストリーミングコンテンツに投資していることがお分かりになると思います

 

2018年12月年間の累計投資額は何と1兆4478億2150万7千円。とんでもない額を投資している事が数字の上からでも分かります。

 

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https://www.netflix.com/jp/browse/genre/839338

日本のNETFLIXを見ると、テラスハウス、あいのりやバキといった、日本の人気コンテンツもNETFLIXのオリジナルコンテンツとして配信されています。

このような人気コンテンツを押さえるという行動を世界規模でやっている為、このような大規模なコンテンツ投資額になっているのでしょう。

 

ちなみに、日本の有料放送の企業と言えばスカパーですが、同じように比較してみると。NETFLIXの投資額の大きさがさらに浮き彫りになります。

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https://www.skyperfectv.co.jp/

スカパーは2018年の年間の投資額が272億1300万円。スカパーはテレビの有料コンテンツ以外にも衛星事業にも投資している額を含めているにも関わらずこの違いですので、いかにNETFLIXが大規模な投資を続けているのかがお分かりになるかと思います。

 

このコンテンツへの投資が影響する先は?

 では、この大規模な投資はNETFLIXの業績にどのように影響しているのでしょうか。

 

予想がつく方も大勢いらっしゃると思いますが、これはNETFLIXの有料会員数の増加に大きな影響を及ぼします。

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上の図のように毎年有料会員数は順調に増加しています。特筆すべきは2017Q2以降、国際有料会員数が国内有料会員数を上回り、その後も成長が衰えていないということでしょう。

 

これはNETFLIXが各国の嗜好性に合わせたコンテンツを配信しているという所からも来ているはずです。皆さんも海外旅行などに行った際、他国のテレビ番組を見て「これ何が面白いんだろう?」と思った経験はないでしょうか。

 

何に面白さを感じるのか、それは国民性が大きく表れると思います。NETFLIXはアメリカの企業ですが、アメリカのコンテンツのみを提供してしてもここまで国際有料会員数は伸びなかったと思います。

 

そんなコンテンツと有料会員数の関係。データを使ってもう少し深掘りしてみましょう。

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図の中にあるRの二乗というのは重回帰分析という分析方法の結果ですが、この数値が0.7~1.0の結果となって返ってくる時は「強い相関関係」があると言われています。つまりNETFLIXのコンテンツ投資と有料会員数には強い相関関係があるということです。

 

少なくとも、NETFLIXが成長しているここ数年においては、「NETFLIXが多額の投資を行って各国の嗜好性に合わせた人気コンテンツを配信しているからこそ、有料会員は大きく伸びている」という結果になっていると考えて間違いないと思います。

 

ちなみに、NETFLIXは売上を比較的簡単に分解できる企業です。

動画配信の企業なので、売上の最小単位は「一人当たりの平均支払金額(以後ARPUと言います。)×有料会員数」となります。

 

有料会員数はコンテンツの投資と相関関係にありましたが、ARPUについてはどうでしょうか。

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重回帰分析の結果は0.57。統計学の世界では「相関関係にある」というデータですが、先ほどの有料会員数と比べるとばらつきが大きいのがお分かりになるかと思います。

 

NETFLIXはここ1年で値上げを行っており、その結果がこの指標に反映されている事を加味すると、私は「コンテンツへの投資とARPUの改善に大きな相関関係はない」と思います。

 

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また、ARPUの継続的な推移を見ていても、3か月間に顧客がNETFLIXに支払う金額を示すARPUは微増という状況です。

 

この結果から、読み取れることは、顧客は「コンテンツが面白いものが多いから、値上げも受け入れる」という姿勢な方がほとんどなのではないかということ。

 

これはNETFLIXの値段設定が3種類というシンプルな設定が大きく影響しているとは思いますが、コンテンツを投資し続けても、「顧客一人が支払う金額はそこまで大きく増えない」という部分はNETFLIXを理解するにあたって非常に重要なポイントになるのではないでしょうか。

 

逆の見方をしますと、これは顧客が自分でNETFLIXに対して追加的なお金を支払う場面がほとんどない事を意味していますので、NETFLIXが今後何か新しいサービスを提供して、ARPUを上げるような施策を考えることは充分にあり得ると思います。

 

とはいえ現在の所、NETFLIXのCEOはオリジナルコンテンツに投資する治う姿勢を打ち出していますので、NETFLIXの方向性は当面はこのままではないでしょうか。

 

しかし、コンテンツに重点的に投資するというこの方法は当然メリットとデメリットがあります。次回の記事では、NETFLIXのPLとBSを基に、その問題点について少し見ていきたいと思います。

 

それでは、ここまで読んでいただいてありがとうございました。