Finance Records

上手く行っている企業は何が違うのか?目標に届かなかった理由は何だったのか?様々な企業を記録し、財務分析を発信します。

無印良品の強みは大企業ならではの強みと無印独自の世界感の抱き合わせ!売上からわかるあれやこれや。

今回は無印良品を運営する「良品計画」について見ていきたいと思います。

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https://ryohin-keikaku.jp/

無印と言えばその独特の世界観が特徴的ですが、企業としてはその世界観を構築する為に、非常に合理的に動いている企業であるように見えます。

 

実際に無印良品の財務諸表を使って、どのような企業であるかについて見ていきたいと思います。

 

無印の事業と儲かっているかを簡単に確認。

 

無印は皆さん充分ご存知だと思いますが、食品や生活雑貨、衣類を販売している企業です。

 

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単純に質のいいモノを販売するというのではなく、「ライフスタイル」を売るという目的の下、一つの世界観を構築している企業と言っていいでしょう。

売り場も上の写真のように世界観が統一されており心地いいですよね。

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こんな風に一つの世界観を作り上げ、ライフスタイルを提供している無印良品の企業成績はどのようなものなのでしょうか?

 

企業としての良品計画は、「9期連続増収、8期連続増益」の優良企業

 

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良品計画の直近の決算書ベースの売上と営業利益はこのような感じになります。現在発表になっている最新の決算書は9カ月分ですが、このペースで行くと2018/2月期より増収増益は充分に可能でしょう。そして営業利益率は10%程度で、小売業にしてはかなり高い水準です。(例えば、生活雑貨などを販売している100均のキャンドゥは営業利益率3%前後です。)

 

また、この成長はここ数年に限られたものではなく、売上は9期、営業利益は8期連続で増収増益を達成している、「経営が上手な企業」である印象を受けます。

 

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計画比がほぼほぼ100%ってどういう事なんでしょうね(笑)凄いの一言なんですが、今回はそんな無印良品の、特に売上について深掘りしてみたいと思います。

 

無印の売上をいろんな角度から見てみよう

 では、そんな増収増益を続けている無印良品、売上はどのような売上が多いのでしょうか?

 

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めちゃくちゃ単純化すると、販売形態はこのような感じになります。基本は店舗販売、一部はネット。そしてホテルやキャンプ場なども運営しています。

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https://ssl4.eir-parts.net/doc/7453/ir_material_for_fiscal_ym1/47535/00.pdf

このようにして見ると、無印良品だけではなく、複数の販売チャネルを使って顧客に商品やサービスを提供していますね。

 

この販売チャネル、どこでどれだけ売上を上げているのでしょうか?無印の開示するデータブックに基づくと、このようになります。 

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基本的に無印良品などの店舗での販売が圧倒的に多いですね。また、海外での販売も20%近くになっており、海外売り上げの比率も高めであることが確認できます。

 

が、今回は海外売上の分析は置いて、売上の中身について見ていきましょう。その中身ですが、衣類と生活雑貨がメインになっています。

 

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表がややこしくなるので詳細は割愛しますが、さらに細かく見ると、現在の売上の中心は衣類の「レディース衣類」と「インナーウェア」、そして生活雑貨の「家具」と「化粧品」で、近年売上が伸びてきているのは「メンズ衣類」と「化粧品」、「バッグ」などのようです。

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無印の衣類も化粧品もバッグもそんなに高価ではないですし、家具も比較的お手頃のものが揃っていますよね。無印はお手頃な「日用品」が比較的多く購入されているようなイメージで間違いないでしょう。そのような良品計画が2018年にとっていた戦略とはどのようなものなのでしょうか。

無印良品の戦略は「適価」での提供

 

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最も分かりやすく、かつインパクトのあった戦略は恐らくこの商品の「適価」でしょう。これを見ると、2015年下期の値上げの結果値下げが乱発。2016年~2018年にかけては価格見直しが相次いでいます。注目は、「利益率重視ではなく圧倒的な販売数量で差益高を確保する」と記載されている所。これは大手の小売業がよく採用する戦略です。

 

少々概略的に会計的な話をさせて頂くと、大企業が物を作る際にかかる費用は意外と人件費などの「固定費」と呼ばれるものが多くなります。これはいくら物を作っても一定額かかる費用なので、逆に言うと作れば作るほど同じ費用でたくさんのものが作れるので費用が安くなっていきます。

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以前マクドナルドがハンバーガーを100円にして販売したのも同じ戦略ですね。しかし、これは多くの物を作るからこそ費用が抑えられているというだけですので、その作った商品をしっかりと売り切れる販売力が必要になってくる戦略でもあるのです。

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そして、2018年下期も同様に価格を見直し、客数一人当たりの買い上げ点数と販売数量を増やすことを目標にしています。先ほどの固定費の概念が分かっていれば「大量製造でコストを下げる戦略」というのは、決して大企業にとって無理をする戦略ではないのだということがお分かりになるかと思います。また、価格を見直すのは「衣服や食器など」である点を心の片隅に留めておいていただけると無印の細やかな判断が浮き彫りになると思います。

 

売上の公式を分解

では、その戦略が売上とどのように結びついているのかを簡単に確認してみましょう。

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無印良品の売上の公式は基本的にこのように分解できますが、もう少し分解すると、購入単価は買上点数と販売数量まで分解可能です。

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無印の目指している戦略とは、非常に簡単に言うと1品の単価を下げてトータルで儲かるようにしようというものです。

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上記のような関係ですね。値下げの結果、無印のこのような狙いは上手くいったのでしょうか?前年対比の来場者数と客単価を確認してみましょう。

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まず来場者数(購入した客数)。前年と比べると、来場者数は常に多くなっています。特に衣類を購入する人数の増加が目立ちますね。

 

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次に購入単価。ここは値下げの影響からか、前年比を下回ることが多いです。しかし、思ったより大幅な単価下落にはなっていませんでした。これは単純に一点あたりの購入数が増加しているからでしょう。

 

私が無印が面白いと思うのは、このような安価さで勝負する一方、無印の文化や世界観を抱き合わせで販売した点にあると思います。これによって、実際であればどこで購入しても大きな差が出ないような日用品を、「せっかくなら無印で買おうかな」と思わせることに成功したのではないでしょうか。

 

無印にはもちろん熱心なファンもいていますし、製品の良さだけではなく、世界観の抱き合わせ販売は非常に有効に機能していると思います。その結果として、無印の売上は伸びていますので、現時点ではこの無印の戦略は功を奏しているということができます。

 

 

最後に

 

さて、最後に簡単にこの戦略の裏側を少し分析してみたいと思います。

無印はたびたび値下げを発表してニュースにも取り上げられたりしていますが、食品はあまり値下げがない印象です。

(日経のこの記事も、食材の値下げはぱっと見では確認することができませんでした。「https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31601760R10C18A6H53A00/」)

 

これは、恐らく食品の販売数量が相対的に少ない事に由来しています。

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在庫を見ると、衣類や生活雑貨に比べて食品の額は明らかに小さいのがお分かりになると思います。これは販売量がまだ少ないということでもあります。

当然、売上の規模も生活雑貨や衣服に比べてそこまで大きいものではありません。

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このような販売量が少ない状況で値下げをすると、簡単に赤字になってしまうのです。しかし、量を販売することによるスケールメリットを生かしてコストダウンを行ってきている無印良品は食材も今後値下げを行うようにしたいのではないでしょうか?

 

その兆候かどうかは分かりませんが、良品計画は1年前に初となる食の専門売り場をオープン。盛況が続いているようです。

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今後もしかすると、無印は食材もどんどん販売量を増やし、コストを抑えての提供も見据えているのかもしれませんね。

 

以上、無印の売上から分かる色々な事でした。

ここまで読んでくださってありがとうございました!

 

上記の決算書のスライドは良品計画の

https://ssl4.eir-parts.net/doc/7453/ir_material_for_fiscal_ym1/54024/00.pdf

 https://ssl4.eir-parts.net/doc/7453/ir_material_for_fiscal_ym1/41338/00.pdf

を参照しています。