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財務諸表や決算書は企業の成績表!!さまざまな分析を通して財務の面白さをお伝えします。

「マクドナルド」という事業はどうやって儲けているのか。マクドナルドの財務諸表を分析!

今回はマクドナルドの事業がどうやって儲けているのかを調べましょう。

「マクドナルド」という事業が儲かっているのか?ということを知るためには「営業利益」という利益を見るのがおすすめです。

詳しくは前回の記事に書いていますので興味ある方はご参照ください。

「儲かっているか」を知るためには売上だけ見てはダメ。企業分析、経営分析の為に利益の役割を理解しよう。 - Finance Records

 

 

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現在発表されているマクドナルドの財務諸表を見てみると、2015年末に出した赤字から一転、V字回復して、今期マクドナルドは事業が儲かっているということができます。

 

営業利益に至るまでには「売上原価」と「販管費」という区分けをされた費用を売上からマイナスする必要があります。

それらの費用の詳細を、マクドナルドの財務諸表を通して確認していきましょう。

 

マクドナルドの売上の種類は2つある。

 

マクドナルドの財務諸表を確認すると、売上高には2種類あることが分かります。

「直営店の売り上げ」と「FC(フランチャイズ)の売り上げ」ですね。

この2つは売上の方法が異なり、直営店はユーザーの買った商品の金額がそのまま売上になり、FC店は売上の内、一定割合のロイヤリティーを徴収しています。

 

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売上の内訳はこのような感じです。フランチャイズの収入はロイヤリティーであるにもかかわらず30%近くを占めていることが分かります。これはかなり大きい数字ですね。

 

ちなみに、数字で言うと直営店の売上は1915億9400万円、フランチャイズ収入は806億6200万円の合計2722億5600万円です。

 

では、マクドナルドにとっては直営店を増やしていく方が経営的においしいのでしょうか? 

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実はそうでもありません。マクドナルドの損益構造(収益と費用の差し引きを可視化したもの)を作成すると、直営店は売上原価(ハンバーガーを売るのにかかる費用)が大きくかかっているのに対し、FC店の売上原価(フランチャイズ収入を得るために掛かる費用)はかなり抑えられています。

 

そして、「ハンバーガーを販売した際に残る利益」である売上総利益を見てみると、FC店から得られる利益の方が、マクドナルドとしては利幅が大きいということが分かります。ハンバーガーの販売という非常にシンプルなビジネスであっても、業態の選択によって儲け幅は大きく変わってくることがよく分かる結果だと思います。

 

もう少し売上原価について見てみましょう。マクドナルドは直営店の売上原価が非常に大きいです。これは事業内容を考えると納得がいきます。マクドナルドは安い金額でハンバーガーを提供していますが、パテには肉が使われていますし、サラダやピクルスも挟まれています。値段設定を考えると、必然的にマクドナルドは売上原価が高くなるビジネスだということになります。

 

ちなみにマクドナルドでは、直営店とFC店の売上原価を分けて表示してくれていますので、「ハンバーガー一個作るのに、大体いくらかかるのか?」ということまで分かります。確認してみましょう。

 

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この中の直営店の比率を見てみると、材料費は36%、労務費は27%その他経費が27%です。これは、仮に100円のハンバーガーを作るとすると、「原材料は36円、人件費は27円、その他の店舗賃借料や光熱費など経費で23円」かかり、合計86円の原価がかかっているということを教えてくれます。 

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図にするとこんな感じです。それにしても、人件費がここまで圧縮されるとは…マクドナルドはどれだけ食材を大量に仕入れディスカウントし、スタッフがどれだけ効率的に動いているのだろうかとちょっとビックリする結果ですね。

 

フランチャイズ収入原価は内訳が計上されていませんが、フランチャイズ収入を得るための原価なので、賃借料やFC店に指導に行く社員の給料、教育費等々が計上されているのではないでしょうか。(恐らく、土地などの賃借料が大きいと思います。)

 

以上がマクドナルドの売上原価です。

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https://ircms.irstreet.com/contents/data_file.php?template=1547&brand=74&data=176215&filename=pdf_file1.pdf

要するに、このような店舗への費用、ハンバーガー代、スタッフ代が売上原価ということです。

 

各数字には意味があり、その意味を読み解くとただの数字の羅列ではないということがお伝えできていれば非常に嬉しいです。

 

 

 販管費にはCM代の他に色々な情報が載っている 

次は販管費を見てみましょう。ここには店舗運営の費用だけでなく、店舗に来てもらうまでの費用。例えば、CMなどの広告宣伝費も計上されています。

 

それだけではありません。この販管費、実は様々な情報が載っています。

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このオレンジ色の部分ですね。

  

残念ながら今期の有価証券報告書はまだ開示されていませんので、(もう開示されてもいいころなんですけどね…)前期分から逆算した数字を載せています。

 

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これによるとCMなどの広告もかかっていますが、それ以上に目立つのは人件費に関係する費用です。これは販管費の42%を占めます。

 

意外と、というと失礼ですが、マクドナルドはCM等の広告よりも人に対する投資が非常に多いようです。

 

マクドナルドの人件費を少しだけ深掘り

 人件費についてマクドナルドの決算説明書を見てみると、マクドナルドは現在広告に大きくお金をかけるよりも、顧客に対していい体験をしてもらうことを重視しており、経営の重要戦略の一つにも挙げていました。

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http://www.mcd-holdings.co.jp/content/dam/web/mcd-holdings/images/pdf/mcdh190212_1.pdf

 

では、実際にどれくらい違うのでしょうか?これは、赤字計上される前のマクドナルドの販管費と比較するととても面白いことになります。

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2013年末のマクドナルドの販管費と比べると、CM費用は減少した代わりに人件費が大きく上昇しています。2013年当時は2018年末よりも多くの従業員を抱えていたにもかかわらず、給与や賞与は40億近く少ないという結果になっています。

 

完全に結果論ですが、この2013年度末当時は利益が出ていたものの、業績は完全に下降気味。そこから海外の食品加工業者のニュースがきっかけで業績が急速に悪化。その後、マクドナルドは様々な打ち手を打ち業績は急速に回復していますが、その中の一つである「ヒトに投資する」という戦略を取りましたが、これはマクドナルドの財務諸表内にもしっかりと表れています。

 

営業利益は、「『マクドナルド』という事業を運営してえた儲け」です。販管費を見てみると、マクドナルドは広告ではなく、顧客に接点がある部分への投資を増やすことによって儲けが増えたということが分かるかと思います。

 

終わりに

 

さて、マクドナルドの財務諸表を使って、「マクドナルド」という事業で得た利益まで見てきましたがいかがでしたでしょうか。

 

マクドナルドの店舗の改装やスタッフへの投資は、そのまま顧客満足に繋がっているかのような結果になっていましたね。このように、数字を追うことによって企業の打ち手や戦略が読み取れるのは会計の面白さかもしれません。

次の記事では、マクドナルドのBSについて書いてみたいと思います!

 

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