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2019年IPO企業の識学。コンサルティング企業を上場までもっていく、差別化された3つの強み。

今回は、2019年に上場したばかりの「識学」という企業についてご紹介していきたいと思います。要潤さんCMなどでご覧になられた方も多いかと思います。

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(株式会社識学TOP

 

この企業は、日本で開発された「識学」というマネジメントメソッドを商品として成長を続け、起業後わずか4年でIPOまで持ってきた企業です。

 

最初の決算の際には従業員わずか4名。そんなところから始まった企業がIPOまで持っていくにはどのような強みやビジネスモデルがあったのでしょうか?

 

今回の記事では、コンサルティングで上場した識学の強みについて見ていきたいと思います。 

識学は「圧倒的に強いコンテンツ」がある企業

 

まず、識学が上場できた背景には「圧倒的に強いコンテンツがあったこと」が大前提としてあると思います。識学によると、識学(以下、コンテンツとしての識学は「識学」とします。)は組織マネジメントの手法を体系化した「学問」なのだそう。

 

識学の現経営者である梶山社長も、もともとは別企業を経営し、組織マネジメントの悩みを抱えていたところに「識学」と出会い、「自分がしてきた経営のどこが間違っていたのかがすべてわかった」という程の衝撃を受けています。

 

経営者にここまでのインパクトを与えるマネジメント理論のおかげで、売上はものすごい勢いで成長し続けています。

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今期などはQ3(3~11月)の時点で昨年の売上を既に抜いていますね。

 

識学は体系化されたマネジメント理論

 

「識額」自体は日本で独自に開発されたマネジメント理論なのですが、学問という如く、その知識は体系化されています。 

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(識学とは? | 株式会社 識学)

 

ヒトにはそれまでの経験から、人によってとらえ方を変える「思考の癖」を持っているそう。この思考の癖を取り除き、思考の5段階にアプローチをかけることによって業績を伸ばすように働きかけるというもののようです。

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(https://global-assets.irdirect.jp/pdf/tdnet/batch/140120190221480427.pdf) 

売上の構図は非常にシンプル

 

そんな識学という企業。売上を上げる構図自体は非常にシンプルです。

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上記のように、社長に対してコンサルティングを行うマンツーマンのセッションがメイン。非常にシンプルでありながらマンパワーで収益を上げなければならない構造に見えます。

 

私自身、マンツーマンで行うコンサルティングは非常に労働集約的であり、どれだけの高額のフィーを取得しても上場まで持っていけるようなモデルなるのはかなり難しいと思っていましたので、この企業の出現はある意味衝撃的でした(笑)

 

しかし、その内容を見ると、なるほどなあと思わせる内容がかなり多いです。特に私の考える強みは3つ。順番に見ていきます。

 差別化された3つの強み

 ①コンサルティング後のサービス設計までしている。

 

 一つ目はそのサービス内容。コンサルティングは大きく分けて「状況把握→改善活動導入→改善活動定着→改善活動運営」の4つの流れになっています。そして、社長に対して行われるコンサルティングは2つ目のフェーズの改善活動導入のようです。

 

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(サービス&特徴|株式会社識学)

 この仕組みがいいなと思うのは、恐らくメインコンテンツであろうコンサルティングが「導入」として位置づけられている事。その後は顧問サービスや評価制度構築サービスという、コンサルティング後のサービスも充実しています。

 

コンサルティングなどでは、一度サービスを終えると「さようなら~」になる事が多いと思うのですが、識学はコンサルティング後の仕組みまでしっかりと構築しています。

識学と契約すると、離れにくい仕組みを構築しているということですね。

 

このように作ると、顧客がその企業から離れにくくなり、結果として集客コストが下がり、1社あたりの売上も大きくなっていく点は見すごせないと思います。

 

②従業員ではなく社長に対するコンサルなのでフィーが高い

 2つ目は、社長にターゲットを絞っている点。多くのビジネス研修の会社は従業員に対して研修を行っていますが、識学は企業経営者に対してマンツーマンで行うものです。

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(https://global-assets.irdirect.jp/pdf/tdnet/batch/140120190221480427.pdf)

企業の将来は経営者にかかっていると言っても過言ではないので、この社長が効果を実感できれば支払う金額も大きいものになるでしょう。

 

計算してみると1社あたりの売上も(だいたい)分かる

 

実際に計算してみましょう。

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2018年の売上を見ると、7億5500万の売上が上がっています。

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(https://global-assets.irdirect.jp/pdf/tdnet/batch/140120190221480427.pdf)

2017年時点の累計導入企業は204社。この企業の内、リピート率は約55%なので2018年に契約を継続した企業は112社、2018年に新規で導入した企業は308社。2018年にコンサルティングを提供した企業は大体420社程度になります。

 

売上が7億5500万円なので、1社あたりの売上にすると、約180万円近くになります。

恐らくこれより高額なコンサルティング企業も多くあるかと思いますが、識学も高値なコンサルティングの部類に入るでしょう。

 

あまり提供されていない強いコンテンツを、「社長向け」という高価格を狙える市場に提供すると、金額が高値でも受け入れられ、一気に伸びるということなのかもしれません。

 

③ 学問で属人性が低く、開発者以外もサービスを提供できる

 また、学問であるが故の再現性の高さも強みの一つだと思います。

というのは、私の知る限り、社長向けのコンサルティングは属人性が高いことが多いです。属人性が高いというのは、例えば大坂なおみ選手の元コーチであるサーシャさん。大坂選手が急激に伸びたのは、あの方の影響も大きいと言われていますよね。

 

しかし、だからと言ってサーシャさんの言動一挙手一投足マネをすれば、みんながサーシャさんのようなコーチをできる訳ではありません。サーシャさんの今までの経験や知識、性格、技能がないと、あのコーチングは再現できないのです。

 

コンサルティングも基本的には同じこと。社長向けのコンサルティングはご本人もすごい経歴の方が多く、今までの経験に基づいてコンサルティングを行われていることが多いはず。これを他に人間が再現することは容易ではありません。

 

では何が問題になるかというと、人間は疲れる生き物で、しかも時間が1日24時間しかありません。1人のコンサルがコンサルティングを行うことができる企業は限られてくるのです。

 

大体一人当たり、50~60社が限界なのではないでしょうか。

 

しかし、識学が2018年にコンサルを行った企業は推定400社ほど。これは、「識学」が学問であり、開発者以外も、学べば再現できるものだということを示しています。

 

もちろん、簡単に習得できるものではないのでしょうが、ここは識学が今後成長するにあたって大きな強みになり得る部分だと思います。

 

次回はビジネスモデルと損益構造

 

さて、識学の基本的な強みについて見ていきました。振り返ると、「①コンサルティング後のサービス設計までしている為1社当たりの売上が伸びやすい」「②従業員ではなく社長に対するコンサルなのでフィーが高い」「③学問である為属人性が低く、開発者以外にもサービスを提供できる」という3つが大きな強みであるということができると思います。

 

そんな識学ですが、上場した時点で営業利益は22%、税引き後利益でも14%と、既に多額の利益を創出することができています。

 

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どのようなビジネスモデルでこのような利益が残るのか?次回はその部分を中心に見て生きたと思います。

 

識学のビジネスモデルと財務についてはこちら

 

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