Finance Records

上手く行っている企業は何が違うのか?目標に届かなかった理由は何だったのか?様々な企業を記録し、財務分析を発信します。

「仕組みを変えれば世界はもっと良くなる」。ラクスルのビジネスモデルは学べるところがてんこ盛り!

今回は、2018年にIPOしたラクスルについて取り上げてみたいと思います。

ラクスルのビジネスモデルは、簡単に言ってしまうと、古い業界を「ITの力で効率的に」というものです。

 

古い取引の流れを、自社を経由することによって徹底的に効率化するというものなのですが、ITが入ってきている今だからこそ、このような「仕組みを変える」ビジネスが機能しているのかもしれません。

このビジネスモデルで事業を回した結果、ラクスルの財務諸表はどうなっているのか?について見ていきたいと思います。

 

ラクスルのビジネスモデルは、「古い業界の仕組みをITで効率化」

 

ラクスルのメイン事業は印刷産業です。

市場規模は大きいものの、大手2社が売上の大部分を取るという形になっていました。しかし、印刷事業はまず設備投資費用が高く(1機で数億円することも)、かつ顧客の要望する印刷が複雑であれば持つ機械だけでは対応できないことも。

 

その為、大手の受注は下請けに丸投げされる場合があり、業界全体として無駄が生じているようです。

 旧来の印刷業とは

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印刷業は、上図のように、基本的に大手に仕事が集まってしまいます。小規模な企業は自社の顧客だけでなく、大手の業務委託を請け負って事業を成立させている構図があるようです。

 

印刷業は機械への投資が非常に大きい固定費中心の事業です。固定費とは、売上があってもなくても掛かってしまう費用です。印刷機が動いていない時間はコスト以外の何物でもないので、機械はできるだけ動かして売上を上げたいのです。

 

ラクスルの提案する印刷業

 そのような意味で、印刷業は、製造キャパをどこにどう売るのかが経営を改善する鍵になっており、ラクスルはここに目を付けたのだと思います。

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ラクスルを使うユーザーのメリットは「印刷代が安い」ことに尽きると思いますが、この仕組みだとなぜ印刷代が安くできるのでしょうか?

 

それは、ラクスルが「サプライヤーのネットワーク化」と呼ぶこの仕組みにあると思います。

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(出典:https://ssl4.eir-parts.net/doc/4384/tdnet/1595219/00.pdf) 

 ラクスルは自社での印刷はほぼ行いません。印刷機を4台所有してはいますが、関連企業に貸し出ししています。

 

ラクスルがやることは、まずユーザーをHP上で集客。そして、受注した印刷を提携先企業に配分する事です。

 

なので、ラクスルは大規模な設備投資をする必要がありません。また、集客がHPというネット上の媒体である為、多くのフローを自動化でき、多額の人件費を必要としない点もコスト削減に一役買っています。

 

また、提携先の企業は、機械を運用していない余剰キャパシティを使って受注するという方式です。本来であれば動かしていなかった時間帯に売上を上げられることから、提携先も比較的安価で受注することができるという仕組みになっています

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(出典:https://ssl4.eir-parts.net/doc/4384/tdnet/1595219/00.pdf)

 このような仕組みであれば、印刷という、顧客に提供するサービスのクオリティを落とすことなく、仕組みでコストをカットしていく事ができます。

この仕組みは確かにユーザー、印刷業者、ラクスル全員にとってウィンウィンだと思います。

  

また、ラクスルが手掛けるトラック事業の「ハコベル」も基本的に同じ仕組みとなっています。ということは、ラクスルは、今後同じような「旧態依然とした業界」に似たようなアプローチを仕掛けることができます。   

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(出典:https://ssl4.eir-parts.net/doc/4384/ir_material_for_fiscal_ym/57268/00.pdf)

 ラクスルのビジネスモデルでは業績はどのように??

 

 このようなビジネスモデルで事業を回した場合、企業の業績はどのようになるのでしょうか?確認していきましょう。

 ラクスルの売上は成長中

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まず売上高ですが、基本的に伸び続けています。印刷事業が現在大きな収入源になっていますね。ラクスルの提供するサービスは顧客に受け入れられて伸びていっていると考えていいのではないでしょうか。次に、売上から、事業によって得られる利益である営業利益までの損益構造を見てみましょう。

 しかし、意外と費用が掛かっている

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ここは少し意外でしたが、売上が伸びているとは言っても、売上原価と販管費という費用がかなり掛かっており、事業から得られる利益である営業利益は1%しか残っていません。

 

この費用の中身は一体何かを確認しておきましょう。

費用の中身は仕入と人件費、広告費

 

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これは私が作成した利益までの図解になります。青が売上、黄色が費用、緑が利益です。

このように見ると、75%あった売上原価の大半(69%)はメーカーへの仕入れ代で、その他は経費と労務費でした。自動化に成功している為、労務費が非常に低い点が注目されますね。

 

そして、次に確認するべきは25%残った粗利が一体何に使われているのか。これは、各事業を回すための人権費、そしてユーザーを増やすための広告宣伝費、そしてその他の費用です。各事業の人件費と広告宣伝費が大きいようですね。

 

このように見てみると、ラクスルのビジネスモデルは「余剰キャパシティの有効活用」を狙う、きれいにデザインされた事業であるものの、利益が充分に創出されるのはもう少し規模がスケールしているからの話になるのではないでしょうか。

 

ラクスルの重要指標を確認

 さて、ラクスルのビジネスモデルと財務諸表について見ていきました。ビジネスモデルの図に落とし込むとこのような内訳になるかと思います。ビジネスモデルと売上費用が対応していることがお分かりになるでしょうか。

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緑で色付けした部分はラクスルの重要指標になります。プラットフォーム事業であるラクスルが、まずやるべきことはユーザー数の増加。その為に広告宣伝費は欠かせません。

 

そして、顧客から得られる売上の管理。ラクスルでは売上を分解して、「顧客数×ARPU(顧客一人分の売上です)」で管理しています。

 

そして提携先の企業の余剰キャパシティを埋めるために最適配分を行う事業の振り分け。ここは基本的に自動化されているようですね。

 

これらの数値をチェックし続けていると、ラクスルの今後を予測する一助になるかもしれません。次回の記事で確認してみたいと思います。

 

 

以上、ラクスルのビジネスモデルから財務分析を試みてみましたがいかがでしたでしょうか。今後続けていくとさらに理解しやすい内容になるかもしれませんので、楽しみにお待ちいただければと思います。

 

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました!