Finance Records

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「ZOZO離れ」って実際どうなの?ZOZOはお客さんの層が変わってる?

今回の記事は、「データを基にしたZOZO離れの姿」について書いています。

結論から申し上げると、ZOZOは自社の環境の変化に対応した手を打っているように思います。その際、問われるのは出店側のブランドの姿勢です。

 

 

なぜZOZOの社長は「本業に集中する」といったのか。大手がZOZOから離れていくというリスクは当然予想できたはずなのに、なぜ「ZOZOARIGATO」などの施策を推し進めているのか?そもそも、ZOZOはヤバいのか?

 

考えていきたいと思います。

  

そもそも、ZOZOの何がヤバいと言われているのでしょう?

 

ZOZO考察第二弾 

 今回は、「ZOZOARIGATOによって、オンワードなどの大手が出店を停止したからヤバい」という話についてです。

これによって「大手が離れていき、結果としてZOZOがヤバい事になっていく。」という流れが起きるのかどうかという事です。ここに関しては、正直断言はできません。

 

とはいえ、なぜこのような政策を取ったか?という事についての推測は立つのでお伝えしていきたいと思います。

 

まず前提として共有させていただきたいのは、「ZOZOは基本的にマーケットプレイスである」という事です。

マーケットプレイスとは、ZOZO自体が商品を売るのではなく、ZOZOがブランドとユーザーが交わる場を作り、そこで販売された金額から手数料をとる、というモデルです。

 

ユーザーは便利で使いやすいサイトに集まってくるのですが、ZOZOは「圧倒的な出店ブランド数によってユーザーが比較検討できる」という魅力があると言われています。

 

これは恐らく、半分正しく、半分間違いです。

こちらも、成長率分析を使って、2007年から現在までのブランド出店数とユーザー数の増加数を見ていきましょう。

 

ZOZOが魅力的なのはブランド数が多いからという「だけ」ではない

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2007年を起点にして成長率を見ていくと、ある一定期間まではブランド数の増加に伴ってユーザー数が増えているものの、基本的にはそれよりはるかに速いペースでユーザー数が増えていることが分かります。

実際、ZOZOは一度利用したユーザーがそのまま使い続ける率はかなり高いです。これはブランドがある程度出揃っているという理由だけではなく、サイトが使いやすく商品もすぐ届くというZOZO独自の利便性によって、「買い物するならZOZOで」と思うユーザーが多い可能性があるという事です。

 

データを見ると、ZOZOの顧客層は変わってきている

 そして、これだけユーザーが増加している事を考えると、当然ユーザーは多様化してきますZOZOは決算発表ごとにユーザーの性質を記載してくれていますが、そのデータも2007年からはもちろん、2015年から見てもかなり変わってきています。

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https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/wp-content/uploads/2017/02/ir20080514-1.pdf

例えば上記は2007年のデータ。男性と女性が半々で、平均年齢は27.4歳です。

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https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/wp-content/uploads/2015/07/140120150730464371.pdf

これは2015年のデータ。女性が6割に増えて、平均年齢は32.3歳に増加しています。

女性の割合が増加していますが、基本的に顧客属性は似たようなものになっているような印象があります。

しかし、2015年中旬あたりからZOZOのユーザーは急速に増加します。

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顧客層をもう少し読み進めていきましょう。

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https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/wp-content/uploads/2016/07/J_2017_1Q_web.pdf

2016年です。たった一年ですが、女性比率が60%⇒67%に増加していることが分かります。これは大きな変化です。

ここからZOZOはユーザーがさらに増加しているのですが、2018年末を示す今期の決算書ではどう変化しているのでしょうか。

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https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/ja/wp-content/uploads/2018/10/J_2019_2Q__.pdf

意外なことに、ここにはあまり大きな変化はありませんでした。

依然として女性のみが増えていると比率に変動があるはずなので、「2016年を境にまず女性ユーザーが急速に増えたが、そこからは男性ユーザーも同程度増えてきている」という結論になります。

 

 

このように、男女ともに急速に新規ユーザーが増えていく事によって、当然のことながら、ZOZOは「感度の高いユーザーだけでなく、服にそこそこの興味がある大衆のもの」に変化してきています

 

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実際、ZOZOで買い物された際に一度に出荷する単価は年々明らかに減少傾向にあります。これは、ZOZOは「ライトユーザーの増加」であると説明しています。

 

実際、ユーザー数は先ほど確認したように増加していますし、ライトユーザーの増加が増加したことにより、出荷単価が減少しているというのは正しいのではないかと思いますね。

 

ZOZOの「常連さん」にも変化の傾向が

 また、ZOZOを使い続けている、いわゆる「常連さん」である、「既存アクティブ会員の年間購入金額、年間購入点数」も面白いデータになります。

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既存アクティブ会員は、会員登録から1年以上経過しているアクティブ会員です。これが、以前は増加し続けていたのですが、2017年9月から減少に転じ、いまだに減少が続いています。ユーザーが急激に増加したのは2016年からですので、増えたユーザーが既存会員に代わり購入額や購入点数の減少をもたらしているのでしょう。

 

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そして、これは最新の2018年12月のデータ。ユーザーの急激な増加が始まった時から2年近くがたちますが、年間購入金額や点数の下落に歯止めがきいていない状況です。

 

このことから、「ZOZOを使い始めて、使い続けているユーザー」も「感度の高いユーザーだけでなく、服にそこそこの興味があるユーザー」になり、ZOZOは大衆のものになったのではないかと言えます。つまり、ZOZOは「今までとは異なるユーザーが利用するようになった」、そして、「ZOZOもそれに伴い施策を変えてきている。」という、かなり激しい環境の変化の中にいるのではないでしょうか。

 

我々も現在のZOZOのユーザーを定義しておきましょう。

 

先ほどの顧客属性を基にZOZOの開示データを読むと、顧客の定義が可能となります。ZOZOのメインのユーザーは「首都圏の30代前半の女性(一部男性)で、1年で12~13回程度商品を購入する層(一回当たりは、約3500~5000円程度の商品を1、2個購入する)」ですね。

 

ZOZOが自社のこのような顧客の変化に気づいていないはずはないと思いませんか?

ZOZOの施策は、この顧客層の変化に対応しているように見える

 このような状況下にあると理解すると、ZOZOARIGATOをスタートした理由、複数ブランドが取り扱いを停止した理由が見えてきます。

 

まず、ZOZOのユーザーはだんだんと購入単価が下がっている事から、「安く買える」という事は強烈な訴求効果を及ぼすと思います。もともと安い価格帯を提供するブランドは、ZOZOでユーザーの目に触れるようになり、しかもZOZOが安い値段で提供してくれるため、ZOZOに出店するインセンティブは強烈でしょう。

 

それに対して、出店停止をしているオンワードなどは、高価格帯の商品が多い印象があります。このような企業はZOZOを自社の販路の一つとしていた。しかし、そこの価格帯は既にZOZOのメインのユーザーではないのです。実際、今期発表されている資料によると、販売見送り中のショップの取扱高は、全体の1.1%に満たないようです。

 

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https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/ja/wp-content/uploads/2019/01/20190131_slide_jp.pdf

 

このような事から、ZOZO離れと騒がれている実態は、「出店停止中の企業は、提供する商品が、ZOZOのユーザーと合わなくなってきていた」という事ではないでしょうか。そして、ZOZOの今のユーザーに向けた施策が、自社の求める部分と合わないのでしょう。

 

そのように考えると、これらの流れに乗って、「ZOZOには最新の商品を流さない」という選択をしたブランドは、ZOZOの現在の顧客層に対して適切なアプローチを行っているといえます。

 

今期の最新の服じゃないと買わない!というようなユーザーはもうZOZOのメインユーザーではなく、「少し前の商品であっても、ストレスなく着れて、そこそこいい商品でかつ安い」ことを喜ぶユーザーが今のZOZOのメインユーザーである可能性があるからです

 

このように考えれば、実はZOZOARIGATOという施策は今のZOZOのユーザーに対してど真ん中の施策のように思えます。また、大コケしたと言われているZOZOのプライベートブランドも、ビッグデータによって、身長と体重などからぴったりのサイズを提供するというものですが、そのサイズは2~3cmほど誤差があるそう。

 

ファッションにこだわる層はその2~3cmのブレが許せないのですが、あまり気にしない層であれば「試着をせずにそこそこぴったりのサイズ」を教えてくれるのであれば、そちらの方が顧客ニーズに沿っているでしょう。

 

この事から、ZOZOは「ヤバいヤバい」と言われていますが、実際はさほどヤバくはなく、むしろ現在の自社のユーザーに対して適切な対応をとっているのかなと思います。これはある意味ZOZOからのメッセージ。対応を迫られているのはブランド側であり、ZOZOを責めている場合ではないように思うのです。

 

皆さんはどう思われますか?

よかったら、一度考えて見て頂けると楽しいかもしれません。

 

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