Finance Records

財務諸表や決算書は企業の成績表!!さまざまな分析を通して財務の面白さをお伝えします。

ZOZOは巷で言われている部分とは別の部分がヤバいと思う。財務諸表を見ると、ある部分が怖いレベルで少なすぎ!

なんだかZOZOを取り巻くニュースがネガティブなものが多くなってきていますね。

個人的には少し騒ぎ過ぎじゃないかなあ…と思う一方、ZOZOの1ユーザーであった私も最近利用頻度が落ちてきていますので、何かが変わっていっているのかもしれません。

 

なぜZOZOの社長は「本業に集中する」といったのか。大手がZOZOから離れていくというリスクは当然予想できたはずなのに、なぜ「ZOZOARIGATO」などの施策を推し進めているのか?そもそも、ZOZOはヤバいのか?

 

2回に分けて考えていきたいと思います。今回は、「業績がヤバくなってきているのか?」という事について考えてみたいと思います。

 

ZOZOの業績ってヤバいの?

 そもそも、ZOZOの何がヤバいと言われているのでしょう?

ここを見ていく為に、まず大局的な見方をしてみましょう。ZOZOの財務諸表から得られるデータを基に、現在のZOZOの経営成績を見ていきます。

 

その為にまずは、企業として最も大事な部分。ZOZOは成長していっているのかについて見ていきます。ここの成長が止まっているのであれば、確かにZOZOはヤバいという事になります。

 

ZOZOの事業は成長しているか?

 

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ZOZOの売上は成長を続けていますね。ここがヤバいというわけではなさそうです。ちなみに、ZOZOの取り扱っている商品はファッションアイテムですので、秋~冬にかけて重衣料が売れる傾向にあります。その為、ファッション系を取り扱うZOZOのような企業の財務諸表を見るときは、「季節ごとに売上が成長しているのか?」を確認するのが正しいと思います。

 

今回は、1年を4つに区切った際の第三四半期(図の2018Q3です。)を色付けをしていますが、年々成長しているのがお分かりになるでしょうか?このように成長しているのは、企業にとって非常に重要な事となります。

 

では、やばいのは利益でしょうか?売上がいくら上がっていても、広告宣伝にお金を使いすぎて利益が残らないのであれば確かにヤバいということができるでしょう。

そこで、「事業を行った後に残る利益」と言われている、「営業利益」について見てみましょう。

 

ZOZOは事業から利益を確保できているか?

 

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営業利益ですが、今期(2018年3期)は過去最高益をたたき出しています。今期に限れば、業績はめちゃくちゃ良いのです。実は2018年の営業利益は売上が増加しているにもかかわらず落ち込んでいたのですが、これは「ZOZOSUIT」の無料配布に原因があると思われます。

 

 

成長率を調べると営業利益が落ち込む「原因」が分かる

これもZOZOの財務諸表から、「成長率」を考えてみると分かります。

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めちゃくちゃ見づらいのですが、これは2015年の1期を起点に、2018年3期まで(ざっと3年と9カ月)で、売上と、販管費のどの指標が伸びたのかを計算した数字になります。

 

細かい所は置いて、まず売上と販管費の関係を見てみましょう。

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このようにみると、ZOZOは2015年~2017年にかけては、基本的に販管費と売上高が比例しているのですが、2018年の1期、2期は販管費の伸びに対して、売上が全く付いていっていません。

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このような大きな変化に業績変化の原因が隠されている事は非常に多いです。では、2018年の1期2期に何があったのかという目をもって再び成長率を見てみましょう。

 

広告宣伝費と物流関連が原因だった

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売上に対して大きく増加しているのは物流関連費にかかる人件費、荷造り運賃、そしてプロモーションにかかる広告宣伝費になります。これらが販管費を激増させている原因ですね。

 

その内、プロモーションにかかる広告宣伝費は2018年の3期に大きく減少しています。ZOZOSUITは2018年から本格的にスタートし、大きな資金を投じておりましたが、1年も経たないうちに「中止」の判断をしました。この決断が販管費のプロモーションにかかる広告宣伝費に表れています。

 

他には物流関連費と荷造運賃です。荷造運賃、物流関連費は、拠点変更の費用も含まれていますが、商品単価の下落に伴い費用が増加している側面もあるようです。このように見ると、ZOZOSUITの無料配布を取りやめた後でも懸念されるのは、この物流関連費と荷造り運賃です。

 

とはいえ、広告宣伝を止めた後である2018年には売上と販管費の成長率が同程度まで戻っている事から、それすら「ヤバい」と言われる程の規模に膨れ上がっている訳ではありません。

 

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このように見ると、売上と費用のマネジメントという面から見ると、ZOZOはこれ以上ないくらいきれいに修正を行っているように見えます。ここはZOZOの経営陣がすごいの一言でしょう。

 

単純に、「すぐ止めたからだろ」ってツッコミも飛んできそうですが、この「止める」という選択肢がなかなか取れないと思います。

 

いずれにしても、ZOZOのプライベート事業は、急速に拡大する目は現状見えないとしても、迅速な打ち手によって営業利益は急速に回復させることができたという事になります。

なので、ZOZOのヤバい論は、少なくとも近年の業績を見た上での主張ではないという事になります。

 

とは言え、ほんとにヤバくなり得る部分が存在する。

 しかし、私自身は、「ZOZOさん、ここはヤバいんじゃないですか?」と思っているのは別の部分にあります。

 

それは保有現金の少なさ。そしてそれは、社長が「本業に集中する」と言った理由にも繋がってくると思います。

 

それを確認するために、今期発表されたバランスシートを見てみましょう。

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現金が前期末時点では245億円あったのですが、3期になると82億円にまで減少しています。もともとZOZOはこの期に配当が行われるため、現金は一気に減少しがちでした。

 

しかし、いくら何でもこの82億円は少なすぎるでしょう。しかも、ZOZOには、一年以内に返済しなければならない借入金である「短期借入金」が220億円残っています。借入実行日が5月だったので、返済期限は後3か月ほどではないでしょうか。

また、現在ZOZOの財務諸表を見ると、販管費は3カ月で200億近くかかります。

 

事業を回す費用が200億掛かる中で、現金保有は82億円、返済しなければならない金額は220億円というのは、めちゃくちゃ怖い資金繰りだなと思います。

 

現金が減った理由はBSを見れば分かる。

 なぜこのような事態が起こるかというと、「ツケ払い」と「プライベートブランドの在庫」です。

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これはZOZOの有価証券報告書のバランスシートですが、売掛金が253億から387億に激増しています。これは「ツケ払い」の影響でしょう。ツケ払いは、「購入する金額が多ければ大きいほど利用されやすい」という性質がある為、冬物が購入されるZOZOにおいては一気に資金繰りを悪化させる原因となっています。

 

このツケ払いは2ヶ月後に支払われるため、借入金の返済時点には回収されているとは言え、もし何かしらの要因でユーザーからこのツケ払いの回収が不可能になってしまった場合にはZOZOは一気に苦境に陥る可能性があります。

 

この「ZOZOの現金保有額の少なさ」は以前から指摘している所ですが、近年さらに顕著です(笑)現場は資金繰りに奔走している可能性も十分あります。

 

ZOZOの財務諸表を見る限り、私が思うZOZOのヤバいポイントですね。皆さんはどう思われるでしょうか。

 

次のヤバい論である、「ZOZO離れがヤバい」については次の記事で書きたいと思います。

 

今回の記事に関係するZOZOの記事はこちら

 

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