Finance Records

上手く行っている企業は何が違うのか?目標に届かなかった理由は何だったのか?様々な企業を記録し、財務分析を発信します。

意外と儲からないのかネット広告?IPO企業であるeMnet(イーエムネットジャパン)の財務諸表で分析!

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(株式会社イーエムネットジャパン | インターネット広告代理店

 今回は、新しい広告業である「インターネット広告事業」のIPO企業、eMnet Japanについて取り上げてみたいと思います。この企業は本社が韓国にあるようですね。

 

メディア系の事業って、テレビや、近年はYouTubeやTikTokまで、非常に儲かっている印象があるのですが、広告を提供する側の企業は儲かるのでしょうか?

 

見ていく事にしたいと思います。

 eMnetのビジネスモデルは非常にシンプル

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https://ssl4.eir-parts.net/doc/7036/tdnet/1630868/00.pdf

eMnetのビジネスモデルが上記になります。

 

メディアから広告枠を買い取って、広告主に対して広告の企画や、分析を行う事を事業としています。詳しい事業内容を見てみましょう。

 

事業内容はネット広告全般

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https://ssl4.eir-parts.net/doc/7036/tdnet/1630868/00.pdf

 サービス内容は検索連動型や、アクセス解析など複数ある様です。ただ、このような広告の企業は数多い事でしょう。

この企業は一体どのようなターゲットを狙っているのでしょうか?

 

ターゲット層は中小企業

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https://ssl4.eir-parts.net/doc/7036/tdnet/1630868/00.pdf

 eMnetは、中小企業へのネット広告に大きな参入余地がある!と考えているようです。大企業の広告費の内、16.1%がネット広告なのだから、中小企業もそれだけ変換できるだろう!と考えているように見えますね。

 

実際、ネットの広告の方が細かなターゲティングもでき、反応率なども可視化されやすいため、中小企業のネット広告へのシフトの必要性を喚起できれば成長の可能性は高いでしょう。

 

成長しているのか?強みはどこか?

 売上・経常利益は順調に成長中

 

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https://ssl4.eir-parts.net/doc/7036/tdnet/1630868/00.pdf

実際の成績を簡単に確認すると、上場前から既に利益を出すことには成功しています。そして、売上の平均成長率は11.5%で、今期の予想売上高は65億円。順調に成長しているように見えます。

 

では、eMnetの強みと、財務諸表を見ていきましょう。

 ぶっちゃけ強みはいまいちピンとこない

 

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https://ssl4.eir-parts.net/doc/7036/tdnet/1630868/00.pdf

eMnetは、自社の強みを「一気通貫の体制にある」としています。他企業は営業、運用、分析までが各自バラバラの体制を取っているが、当社は専任の担当が一気通貫のサービスを提供している、としています。

 

 

・・・正直、「うーん」といった感じですね。各自専門性の高い社員に分担してもらった方が高い効果を望めるような気もしてしまいます。

「広告効果を最大化できる」と謳うなら、IPO企業である「ピアラ」のように、KPI保証をしているくらいの方がインパクトがあるのですがどうでしょう。

 

このほかにも、強みは「教育体制」や、「大手パートナー企業からの認定」などを挙げています。

 

これだけでは、ガッツリすごい独自性や強みを要しているようにはあまり見えないことから、「社員の技術力の高さ」や「営業力」などが隠れた強みなのかもしれません。

 財務的にはどうなのか?

ビジネスモデルや強みについて見ていきました。このような企業は財務的にはどうでしょうか?eMnetの財務諸表を見ていきましょう。

売上原価と販管費で売上の97%を持っていく

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Q3の成績しかありませんので、これで見ていきたいと思います。

まず損益構造です。売上原価が非常に多額で、売上の85%を占めています。これは、eMnetが親会社が韓国にある事も大きいかもしれません。恐らくそこにロイヤリティなりを支払っていると思います。下記の図の赤で囲んだ部分ですね。

 

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https://ssl4.eir-parts.net/doc/7036/tdnet/1630868/00.pdf

また、販管費も12%計上されているので、この両費用でなんと売上の97%分になります。意外と広告事業は儲からないのでしょうか。

 

BSの中身は現金と掛けがほとんど

 BSも確認してみましょう。

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BSは右側の薄いブルーが「どうやって資金を調達したか」、薄い黄色が「その資金を何に使ったか」ということを表しています。eMnet の場合は、調達も投資も1年以内に返さないといけないことを示す「流動」資産と負債ばかりです。

 

「流動」系の勘定に大きな数字が集まっていると、日常の取引で使う現金や、掛け、有価証券などの項目が大きいことが多いです。

ただし、IPOしたてのeMnetのような企業ですと、有価証券はあまり見られません。

 

eMnetでも実際の額を確認しておきましょう。

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まず流動負債。こちらは事業を行っていくにあたって、後日まとめて支払いますよという支払手形やカケですね。

 

【補足】支払手形とビジネスモデル f:id:parrrrrao:20190206151625p:plain

https://ssl4.eir-parts.net/doc/7036/tdnet/1630868/00.pdf

ビジネスモデルの図に落とし込むと、ここの支払いに当たると思います。この支払が、即日払いではなく、数か月分まとめて支払うモデルになっていることが分かります。

 

次に「資金の移動先」を示すBSの左側の、流動資産を見てみましょう。

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現金と受取手形等が多いですね。受取手形は先ほどのものの全く逆

【補足】受取手形とビジネスモデルf:id:parrrrrao:20190206151705p:plain

https://ssl4.eir-parts.net/doc/7036/tdnet/1630868/00.pdf

赤で囲った部分の、「広告料だが、まだ現金を払ってもらっていない分」になります。BSの正体の大部分は、「現金と、取引中のツケ」という事になりそうです。

 

取り上げておいてなんですが、あまりこれといった特徴がない分析になってしまいました。驚きは、インターネット広告業は意外と利益率の低い業界である、という事でしょうか。

 

とはいえ、これはこの会社がそうだという事だけかもしれません。

そこで、次回は「ネット広告」というくくりで、2017年にIPOをはたしたfringe81と、今急速に成長中のVectorとを比較してみたいと思います。