Finance Records

財務諸表や決算書は企業の成績表!!さまざまな分析を通して財務の面白さをお伝えします。

上場以来初の減益は特に問題ではないのではないか。ZOZOの財務諸表から見る、ZOZOSUITの失敗と今後について。

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https://twitter.com/yousuck2020/

www.asahi.com

 

ZOZOの決算が発表され、前澤社長がツイッターで謝罪し、新聞も速報で上場以来初の減益を報じています。とは言っても、これだけの情報では詳細は分かりませんので、今後数回に分けて今期の決算を分析してみたいと思います。

 

上場以来初の減益と、今期の成績の実際

 

まず、減益としているのは何かというと、営業利益で、下記の図の部分の事ですf:id:parrrrrao:20190204111904p:plain

(https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/ja/wp-content/uploads/2019/01/20190131_FY20183Q_JP.pdf


従来の目標は1年で400億だったのですが、9カ月終わった状態で現在の利益206億円。このマイナスがあと3カ月ではカバーしきれないという事で、ZOZOは業績の下方修正を行いました。

 

これが「上場以来初の減益」の原因です。

…逆に言えば、これだけの話なのです。

 

ZOZOは企業として業績が悪化しているのでしょうか。
3ヶ月毎の業績を確認していってみましょう。
 

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(https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/ja/wp-content/uploads/2019/01/20190131_FY20183Q_JP.pdf
赤で囲んでいるのが直近3カ月の成績です。ご覧頂きたいのが、この最新の業績だけでなく、「時系列で何が起きているのか」という事。


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(https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/ja/wp-content/uploads/2019/01/20190131_FY20183Q_JP.pdf
前年同期比の時系列を見ると、「商品取扱高が増加し、販売費が減少し、営業利益が増加」しています。つまり、時系列で見ていくと、売上が大きく、費用が小さくなっている為、ZOZOの業績は回復傾向にあるという事です。

 

このことから、私自身の意見としては、「上場後初の減益といっても大したことないんじゃないか」と思ってしまいます。

 

とはいえ、ZOZOの肝いりの事業であるPB事業は今期明らかに想定を下回っていたので、その点を見ていきましょう。

  

PB事業は、今期は失敗だったのは間違いない

 

まず、ZOZOの各事業の売上を、グラフ化しておきましょう。

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ゾゾスーツを利用したPB(プライベートブランド)事業は、あまりうまく立ち上がっておらず、受託ショップの売上が伸びていることが分かりますね。ZOZOの強みはあくまでもZOZOTOWNであることは明白です。

 

ちなみに、当初のPB事業の売上目標と現在の売上を比べてみましょう。
 

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 順調に進んでいれば、PB事業は5つある事業のうち、No.2に躍り出る予定であったことが分かりますね。しかし、まったく立ち上がっていないことから、いかにZOZOといえども、「ユーザーにとって手間のかかること(ZOZOSUITで身体データを計測する)」を強いることは難しいのだということが分かります。


ZOZOの強みはあくまで「ユーザー目線」の延長線上にあることがよく分かる事例になったと思います。

また、もう一つデータを追加してみましょう。
 

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https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/ja/wp-content/uploads/2018/10/20181031_slide.pdf

これは前期にZOZOが出した資料の一つ。ビジネススーツが遅れてしまい、売上計上が翌期に持ち越した旨の記述がみられます。


ということは、今期にこの10億円分の売上が計上されているはずです。
この売上は今期注文が入ったものではないため、この売上を分けて、ZOZOのPB事業の結果を見てみましょう。

 

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するとこのようになります。Q2とQ3で、注文ベースの売上はほとんど変わっていないことになります。このことから、PB事業が明らかに頭打ちの感があることが分かります。なので、ZOZOとしてはPB事業のZOZOSUITを取りやめ、ビックデータを駆使してZOZOSUIT無しでも購入可能という方策に切り替えたのだと思います。

 

このような状況から、ZOZOはどのような打ち手を売ったのでしょうか?

 

それを見るために、今期ZOZOが出してきたZOZOARIGATOという施策について見ていきたいと思います。ZOZOARIGATOは、簡単に言ってしまえば月額500円又は年3000円支払うと、ZOZOで販売している商品は常時10%OFF(新規は30%OFF)で購入可能だというサービスです。

PB事業とZOZOARIGATOは繋がっている?

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https://corp.zozo.com/news/20181225-6741/

私は、このサービスのミソは、新規登録者は30%OFFになっている所、月額500円のサブスクリプションモデルになっている所だと思っています。


そして、この新規会員30%OFFと、ZOZOのPB事業は繋がっているのではないかと思います。どういう事かというと、ZOZOのPB事業の商品は、今後は「服にあまり興味がない層」にまで広がると、非常に強いのではないか、そして、30%OFFの施策は、そのような層をZOZOTOWNに取り込むためにいい一手ではないかという事です。

 

30%OFFに魅力を感じてZOZOを利用するユーザーの層は幅広いでしょうが、現在のZOZOのユーザーの平均購入単価が年々減少し、現在4,759円であることを考えると、「洋服のサイズ感にとことんこだわるファッションフリーク」のような層はそんなに多くないのではないでしょうか。

 

 

むしろ、「今まであまり知らなかったけど、安くなるなら買ってみるか」と思うユーザーが多いと思います。そして、そんなユーザーの中には「サイズ選びなんかめんどくさいと思う層」も入ってくるはずです。


実際にはビッグデータを用いたパターンオーダーのサイズ感は2~3cmズレがある為、こだわる方には使い物にならないでしょう。しかし、そんなにこだわりを持たない層の方が日本には多いと考える方が自然です。そのようなユーザーを獲得するために30%オフを考え付いたのだとしたら、非常に効果が見込める一手になるのではないかと思います。

 

サブスクリプションモデルは結構絶妙な値段設定だと思う件

 

次にサブスクモデルになっている事です。サブスクリプションとは、月額でユーザーに支払ってもらう代わりに、サービスを提供するというモデル。

 

今回のZOZOARIGATOは月額500円となっていますね。一見すると非常に軽いですし、ユーザーは10%OFF分で簡単に元が取れるように見えます。f:id:parrrrrao:20190204112520p:plain


https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/ja/wp-content/uploads/2019/01/20190131_FY20183Q_JP.pdf
しかし、現在のZOZOはライトユーザーの増加に伴って、アクティブ会員の年会購入点数は46,009円となっています。単純に10%OFFすると4,600円。ZOZOに入る金額は、トータル6,000円。

 

このように、10%OFFは決してZOZOからすると無理な施策とは言えないものとなっています。恐らくZOZOに痛手が出るとすれば、大物を購入されてその一回でZOZOARIGATOを退会される事でしょう。

 

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https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/ja/wp-content/uploads/2019/01/20190131_slide_jp.pdf

そうならないように、会員限定のサービスを今後も拡充していく予定のようですし、「まあ500円だしいいか」と思わせる程度の金額になっているので、このようなやり方を取るユーザーは全体的に見て少ないのではないかと予想されます。
そして、ここに入るのが当たり前になってしまうと、ZOZOは非常に強いですね。

 

このことから、ZOZOARIGATOはPB事業と高い親和性を持つし、そもそも継続利用してもらうとZOZOにメリットが大きくなるという仕組みなのかなと思います。私は今後数年に渡って効果を及ぼすいい戦略なのではないかと思います。今後Amazon辺りも参入してきそうな分野ですし、負けないように頑張ってもらいたいですね。

 

次回は、売上や費用などの関係についてしっかりと見ていきたいと思います。

 

ZOZOTOWNの過去記事については

 

www.finance-seisekihyo.com

 

 

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 などをご覧ください。