Finance Records

財務諸表や決算書は企業の成績表!!さまざまな分析を通して財務の面白さをお伝えします。

ビジネスモデルは数値に表れる。and factoryの財務諸表からわかるビジネスモデル

 今回は、とんでもない成長率を誇るand factoryの財務諸表を使って、財務的な側面からこのビジネスモデルの仕組みを見ていきましょう。

一つ特徴的な部分を申し上げると、超効率的に利益を挙げられている」という事になります。これはビジネスモデルがそのようになっているという事です。

 

先出ししておくと、and factoryのビジネスモデルは、知ってもらう為の「広告宣伝」と、「ヒト」に対しての投資が必要のようです。これは財務諸表から確認できます。

 

詳しく見ていきましょう。

 and factoryの全体像を確認

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これは前回ご覧頂いた、and factory の売上とその成長率です。これだけ激しく成長している場合、それに比例する形で投資が行われており、営業利益などがマイナスになるパターンが非常に多いです。

しかし、and factoryの18年Q4の損益構造を見てみると、この段階でしっかりと利益を出すことに成功しており、税引き後純利益はなんと15%を確保しています。

 

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非常に高収益な体質になっていることが分かります。

自社物件の販売も要因なのですが、IPOしたばかりでこれだけの利益が上がっている事を考えれば、and factoryのビジネスモデルは、非常に高収益な体質になりやすいものではないかと思います。

 

さて、全体像が分かったところで、and factoryを売上、売上原価、販管費に分解していきましょう。

売上モデルの把握のためにはKPIが鍵

 and factoryは、マンガやゲームのコンテンツを提供する「アプリ事業」と、データに関連する事業である「IOT事業」の2つに分かれます。

その中でも、アプリ事業のマンガコンテンツについて、詳細なKPIが設定されているので確認していきましょう。

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KPIとは、非常に簡単に言えば、ビジネスを推進していく「指標」です。

財務数値としての売上を最大化させるために、必要な指針はMAUとARPUだと定義し、それを挙げていく為には「高品質なUI/UX」と「付加価値の高いコンテンツ提供」が必要だと定義されています。

 

つまり、

(売上)and factoryのマンガアプリの収入は、アプリ内で販売されている電子マンガのダウンロード課金及びアドネットワーク(簡単に言えば広告収入です)を通じて得られる。

 ↓↑

(KPI)この収入を上げるためには、「一カ月にアプリを利用したユーザー(MAU)」と、「電子マンガダウンロードや広告収入で、1ユーザーから得た収入(ARPU)」を改善する事が必要。

 ↓↑

(価値創造)その為に、and factoryとしては「高品質なUI/UX」「付加価値の高いコンテンツの提供」を重視。

  

となります。その為、KPIは企業が何を重要視しており、その結果売上につながっているのかを測るという上で非常に有用な指標となり得るのです。

 

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上記は実際のKPI。このデータだけでは継続率などの詳細は分かりませんが、MAUは3カ月で330万人。利用者は右肩上がりで増加傾向にあります。また、ARPU(1ユーザー当たりの収益)は、2017年3月を基点として、2018年11月では183%増になっています。

 

このことから、and factoryの高品質なUI/UXや提供されるマンガは、ユーザーから評価されているものと思われます。ちなみに、and factoryは今後、さらに付加価値の高いコンテンツを提供し、利用者数を増やしていくための打ち手として、大企業とコラボして新しいコンテンツを提供するようです。

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これもマンガアプリのKPIを上昇させるために必要な打ち手だと推察されますね。

 

ちなみに、同じアプリ事業でも、ゲーム事業は展開方法が異なっています。おそらくですが、データを駆使して顧客の性質を特定し、その顧客に基づいて市場を開拓しているのではないでしょうか。この事はand factoryの大きな強みになるかと思います。

 

さて、売上の分析のみでかなりの文字数になってしまいました。この売上に必要な、売上原価や販管費などを確認していきましょう。 

売上原価、販管費などの費用を確認

 

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これらの中身を確認していきましょう。数字で確認する前に、and factoryの投資のイメージを確認しておきます。

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上記の図は売上を上げるためにand factoryが必要としている投資額です。

 

アプリ事業は「広告費」と新領域で基礎をつくる為の「開発人件費」、IOT事業は「AND HOSTEL(スマホでデバイスを一元管理できるホステル)」や、新規事業の展開規模拡大の為の費用が掛かるとされています。

このような費用が売上原価又は販管費に計上されているのでしょうか。

 

では、売上原価を見てみましょう。

売上原価は2つの事業に分けて確認

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アプリ事業は労務費が60%を占めています。これは開発の人件費でしょう。次にIOT事業。こちらは売上原価比率で労務費はそんなに多くありません。ホステル販売費用が全体の半分近くを占めています。

 

現在人のリソースはアプリ事業に多く注ぎ込まれているようです。これは、IOT事業がまだ立ち上がり切っていないという事も関係しそうですが、そもそも事業としてヒトを必要としていないモデルである様にも見えます。

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しかし、このモデルの左下を見るとユーザーの「データ提供」の文字。これは居住データなどを採集し、分析を行っていくのでしょう。AIやビッグデータとの掛け合わせでしょうが、and factoryは非常に重要なデータを手にするつもりのようです。これに対する人件費は今後かかっていく事になるかもしれません。

 

続いて、販管費を見てみましょう。

販管費は広告費が4割を占める

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販管費は非常に分かりやすいです。人件費と広告宣伝費が大半を占めています。この人件費は本社の従業員や、間接部門などのものでしょう。

 

and factoryの資源は「ヒト」と「情報」である。

 

以上、and factoryの費用の中身を見てみると、そのほとんどが各種事業の人件費や経費、そして広告宣伝費用であることが分かります。

ホステル売却の為の投資を除き、大きな投資を必要とせず、必要なのは人件費と広告宣伝費。このような企業の資源は「人」と「情報」なのでしょう。一つヒントとなるものを挙げられるとすると、このような企業を運営しようと思うと、人にしっかりと投資することが必要不可欠なのではないでしょうか。

今後突き抜けられるように、これからの成長に期待したいと思います。

 

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(注)本記事のスライドは

http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS03752/930c328c/b901/4842/98cf/91fada61ea80/140120190110458498.pdf

http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS03752/97df0ebb/5566/4243/86d0/00b8e0bb0775/S100ENZA.pdf

http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS03752/bb97552e/873a/45fe/9df6/20d2a726755f/140120181015417929.pdf

を参照しています。