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上手く行っている企業は何が違うのか?目標に届かなかった理由は何だったのか?様々な企業を記録し、財務分析を発信します。

このビジネスモデルで大丈夫?AIを使った人材教育を行うIPO企業のアルーを分析

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https://www.alue.co.jp/

今回は上場したばかりの企業である、人材教育の支援事業を手掛けているアルーについて見ていきたいと思います。

 

どのような事業が中心かというと、「教育にAIを掛け合わせて、個別最適された学習を加速させる」というもののよう。AI事業のIPOは、2018年は比較的多いを受けますね。

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アルーの分野は社会人の教育ですので、我々も将来関わってくるのでしょうか。どのような事業内容なのか確認していきたいと思います。

 

人材教育業界は全体的にあまり伸びていない

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まず業界でのポジションです。企業研修市場は年2%しか成長していないようです。意外と停滞している業界ですね。これに対してアルーの成長は年9%。

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市場の伸びに比べると確かに成長していますが、IPO段階でこの成長率は、他のIPO企業と比べると少々物足りない数字であるように思います。

 

さて、アルーの強みは「データ蓄積×カスタマイズ力」、「AI活用による個別最適化」と書かれています。「人材育成」に「AI」を掛け合わせて上場までのし上がってきた会社、というような形でしょうか。

アルーのビジネスモデルは「AIによるコンテンツのカスタマイズ」がキモ

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ちょっとすごいなと思ったのが主要取引先の一覧。伊藤忠や大阪ガス、KDDI、リクルートなど、日本の大手企業が名を連ねています。

 

大手企業がこぞって顧客になるようなアルーの強みは、いったいどこにあるのでしょうか。先ほど確認した強みには、「データ蓄積×カスタマイズ力」、「AI活用による個別最適化」などが上げられていましたが、詳しく見ていくことにしましょう。

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まず「データ×カスタマイズ」による最適化が強みとありますね。事業は「英会話」と「研修」の大きく2つに分かれています。

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研修は、通常研修実施→効果測定を繰り返していくものですが、アルーはまず、データ活用によって課題を特定→企業ごとに最適化して研修実施→データ蓄積→リピートしてくれればそのデータをさらに活用して…というスパイラルに乗せていくことができるということが強みなようです。

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学習分析や授業、課題特定、宿題などの分析は全てAI/ビッグデータによってフィードバック、最適化を繰り返していくようです。

 

機会に学習させる最適な情報が必要だという制限がありますが、繰り返せば繰り返すほど強くなっていくというのがAIの強さですので、それを活かした形であるといえるでしょう。

コンテンツの提供者は「ヒト」であることが今後どう出るか?

現在アルーは高いリピート率に支えられているようですので、このリピート率を保ったまま新規顧客を開拓し続けていくことができれば、どこかでブレイクスルーが起きるかもしれません。

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とはいえ、実際にアルーが提供している事業の事業系統図を確認すると分かるのですが、顧客に提供するコンテンツはAIによって改善していくのでしょうが、「研修」と「英会話」ともに、顧客に提供するのは最終的に人間であるというという点はネックになります。

 

というのも、最終的には教育は提供するコンテンツだけでなく、提供する人にも依存すると思います。売上原価の内訳を見ると、講師は外部の外注に頼っているようですが、多くの社員に影響力を与えるような教育者がこのような外注を継続的に受け入れてくれるのかどうかは疑問です。

 

その提供者を充実させていくのか、もしくは提供者を必要としない何らかのコンテンツ提供方法を構築するのか分かりませんが、この点をクリアしていかなければ、構造的な問題で大きくスケールしていくことが難しいのかもしれません。

 

アルーは、AIを使った技術で社会人教育のビジネスモデルを一新したというより、旧来と異なり、オーダーメイド型で各企業にコンテンツを配信できるという点で、従来の教育業界の企業と異なるのでしょう。

 

アルーは儲かっているのか?

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アルーの売上は新規顧客の増加と、以前の顧客のリピートで成り立っています。では、そんなアルーの財務成長性と損益構造を見ていきましょう。

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まず成長性。17年度末は19億円ほどの売り上げを記録しており、上場時点でのQ3の売上は16億円を達成しています。このまま成長を続けていけば、18年末の売上は、20億円は超えていくでしょう。また、事業として既に黒字化は達成されており、経常利益は上場時のQ3に1億6000万稼ぎ出すことに成功しています。

 

続いて、損益構造を見てみましょう。

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最終の当期純利益率は6%

これは教育業界の他企業と比べても多い額とは言えません。

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https://edtech-media.com/archives/16214

 

先ほど述べましたが、アルーの売上原価は、労務費や経費、外注費がほとんどです。販管費は給与が多額を占めています。このように、教育業界はいかに「AI」によってコンテンツが充実しているとしても、どうしても労働集約的な事業になりがちです。アルーも教育業界のビジネスモデルそのような意味で、売上原価や販管費は削減しにくいのかもしれません。

 

また、今期は特別損失で「英会話」事業のソフトウェアの減損損失を計上しています。減損損失は、その投資に価値がなく、投資額を回収できないという判断がなされたということです。

 

このように、頼みのAIもまだまだ発展途上。大きく伸びていく目はいまだに見えてこないのが実情ですが、これからの成長に期待していく分野なのかなと思います。

 

ビジネスモデルで革新的な部分が「コンテンツ改善がAIで最適化」というのみでは、成長が鈍い人材教育業界で成長していく形が見えづらい所ではありますが、今後どうなるか気を付けてみておきたいと思います。

 

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