Finance Records

上手く行っている企業は何が違うのか?目標に届かなかった理由は何だったのか?様々な企業を記録し、財務分析を発信します。

成長企業のBS,CFを見てみよう。成長する企業は強みへの投資が違う。

今回は成長企業であるFarfetchのBS,CFを見てみましょう。Farfetchは売上がすでに3カ月で144億円ありますが、拡大の為の投資を続けている成長企業です。

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  現在は未だに多額の赤字を計上していますが、このような成長企業の投資額や資産性はどのようなものでしょうか。

 

BSが急拡大している

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https://www.businessoffashion.com/articles/fashion-tech/chanel-strikes-farfetch-deal-to-augment-boutiques

シャネルも投資するFarfetchはBSが急拡大しています。実際の数字を見てみましょう。

f:id:parrrrrao:20190115104448p:plainFarfetchは、9カ月で保有している資産が二倍以上に増加しています。そして、今回の増加の原因は明らかに純資産と流動資産です。

 純資産の増加要因は何かというと、基本的には「増資を行う」「自社で儲ける」のどちらか。Farfetchは自社で儲けるという段階にはない為、「増資を行う」という打ち手を取ったものだと思われます。実際に確認してみましょう。

 

純資産の中身を確認すると、増資であることが分かる

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図の「accumulated loss」は累積の損失です。9カ月で158億円損失が拡大していますので、やはり自社で儲けで純資産が増加している訳ではありませんでした

 

これに対して、この9カ月で大きく伸びているのが「merger reserve」です。これは「合併の為の準備金」。9カ月で854億円調達している事を示しています。合併の為に株主から追加増資を行ったのではないでしょうか。

そうであるならば、今後数年のうちにFarfetchは何かのM&Aを仕掛けるのかもしれません。

 

増資はBSの流動資産に連動している

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 増資は流動資産に連動していますので、流動資産の中身を確認してみましょう。

下から2つ目の「cash and cash equivalents」は現金です。9カ月ではここが718億円増えていますので、先ほどの合併準備金とほぼ連動します。合併はまだ行われおらず、準備のために現金が増えていっている状態でしょう。

 

その結果、2018/9/30時点ではFarfetchは現金を1137億円近く保有しています。

 

BSと一緒にCFを調べるとより詳細な情報に

 現金の増加要因は合併の準備金がほとんどであるということが分かりました。合わせてCFも見てみましょう。CF計算書は図示すると非常に分かりやすいです。

 

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営業活動CFはマイナスですね。そして、財務活動CFが激増しています。

 

この図を見ると、Farfetchは、「営業活動では赤字を計上し、投資によって更にお金を使っているものの、株主からの資金調達によって現金保有額が大きく伸びている」という事になります。

ちなみに、財務活動CFの内容は「株式発行による収入」です。先ほどの合併の為の準備金は、株式発行によって調達されている事になります。

 

このように、BSはCFと一緒に分析することによってより正確なデータとなります。気になる企業を見つけてBSをご覧になられる際には、「BSとセットでCFを見る」という事を意識するとより正確な情報を得られるかもしれません。

 

 固定資産には企業の特徴が出る

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https://retailinasia.com/in-shops/farfetchs-store-of-the-future/

 最後に固定資産を見ておきます。

 

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個人的にはFarfetchは服を売る企業というより「データ分析の企業」だと思っています。そのデータ分析に必要な投資はここに計上され、直近の投資はCF計算書の「投資活動CF」に計上されています。確認していきましょう。

 

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固定資産はまずCFから見ていきたいと思います。

 

これを見ると、「payment for intangible assets(無形固定資産への投資)」が34億円で最も多額です。これは、ZOZOがZOZOSUITを開発するために投じた額である45億円に匹敵します。

なり多額であるということが分かりますね。同時に「payments for property,plant and equipment(土地や建物への投資)」にも19億円以上投資している事になります。

 

今期のFarfetchは無形固定資産以外にも、有形固定資産にも多額の投資をしているようです。なお、無形固定資産は、間違いなくデータ分析の為の投資の事でしょう。

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https://www.thedrum.com/news/2017/04/18/farfetch-has-created-operating-system-bricks-and-mortar-retail-its-new-store-the

 (投資の一例は「Farfetch Store of the Future」)

 

Farfetchが特徴的なのは、このデータ分析を実店舗でも行うためにデータ分析の投資を進めている点にあります。このような毎期の投資をし続けた結果として、ちゃんとBSに投資額が計上されます。確認してみましょう。f:id:parrrrrao:20190115105202p:plain

固定資産の64%を占めるのが、「intangible assets」すなわち「無形固定資産」です。無形固定資産とは、建物や土地のように目に見えない資産で、デジタルなものであったり、特許権などであったりを指します。

 

先ほど、今期のFarfetchは無形固定資産だけでなく有形固定資産にも多額の投資をしているといいましたが、トータルで見ると、やはり無形固定資産、データ分析などの投資額が多額であることが分かります。

 

このように、成長企業は自社の強みになり得る分野に対して投資額が多額になっている傾向があります。逆に中途半端な企業は伸び悩んでいる印象。そして、このような事はBSとCFを一緒にみるとより分かりやすくなるかと思います。

 

皆さんはどのように思われたでしょうか。気になる企業を分析してみてくださいね。

 

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