Finance Records

上手く行っている企業は何が違うのか?目標に届かなかった理由は何だったのか?様々な企業を記録し、財務分析を発信します。

ZOZOの前澤社長の1億円のお年玉はほんとにお年玉?それとも広告なの??

昨年日本を騒がせたZOZOの前澤社長。年を明けてももガッツリ騒がれていますね。
 

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https://twitter.com/yousuck2020/status/1081544630754103296

 この効果はすさまじく、400万近くのフォロワーを獲得されたそうです。寄せられたツイートを見ると、「お年玉ありがとう」や「家族のために使います」といった声の一方、「広告じゃないか」というような声も上がっています。

 

そこで今回は、このお年玉はお年玉なのか広告なのかを考えてみました。

ZOZOの有価証券報告書から、①ZOZOは、100億円売り上げたら利益はどれくらい出るのか?②前澤社長はZOZOからどれくらい配当を得ているか?の二つを計算して考えています。

結果として、私自身は「ホントにお年玉なんじゃないか」と結論付けました。(ほんとは期間を区切らないと費用などは出ませんのでコラム的にお読みください)

 以下、その思考過程を書いていきますね。

まず全体の流れを

 

まずZOZOが売上を上げてから社長に配当されるまでのお金の流れはこのような感じです。
 

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このように見ると、配当は最後に支払われていることが分かりますね。
ですので100億の売上でどれだけの利益が残るのかから見ていきましょう。
 

100億円からZOZOが得られる売り上げは

 

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一番右側が最新の情報です。黄色のテイクレートがZOZOの販売手数料。現在は29.76%のようです。
100億円売上を上げると、ZOZOは29億7600万の売上になります。今回はざっくりと30億円の売上が上がった。という事にしたいと思います。
 

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100億円売り上げるのにZOZOがかける費用は

次に商品の販売に必要な費用ですが、直近の数値では取扱高に対して29%かかっています。
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 https://corp.zozo.com/ir-info/financial-highlights/

その内、プロモーション関連費用はゾゾスーツの無料配布分であるという記載があります。ゾゾスーツ配布分は新春のセールに大きな影響を及ぼしていないと推察されますので差し引いておきましょう(取扱高比5%分)。なので費用は24%ですね。100億円の売上に対して24億円の費用が掛かります。残った利益は6億円です。
 

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税金を支払って利益が確定する

 

次に法人税の支払い。こちらもザックリでいいかと思います。利益に30%の法人税がかかるという計算で十分でしょう。
 

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このように計算していくと、今回の100億円売上では、利益は4億円近く出ているという事ですね。もちろんセールは数日間の事でしょうから、人件費は1か月分もかかりませんし法人税も確定しません。

ですが、最終的に今回のセールで残る利益はこのような形に落ち着いていくのではないでしょうか。

 

利益からどれくらいの配当を貰えるのかは「有価証券報告書」を見てみよう

 

では、次にこれだけの利益を出すと前澤社長にはどれくらいの配当金が配られるのか(現実には配当は年2回で支払われる期間が決まっているので、今回100億売り上げたから配当が支払われるわけではありませんが。)について見ていきたいと思います。
 
これは企業の「有価証券報告書」から推測することができます。
 

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https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/wp-content/uploads/2018/06/1803_yuho.pdf
有価証券報告書はこの期は92頁あります。めちゃくちゃ多いですね。しかし、量が多い分この中にはその企業の「大株主の状況」や「配当の政策」などの情報も書かれています。

 

有価証券報告書の配当政策には「配当性向」が載っている

 

利益からいくらの配当が支払われるのかについては、「配当政策」を見てみましょう。
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非常に見づらく申し訳ありませんが、配当性向40%を基準にという記述があります。これは税引後利益の内、約40%を配当として株主還元しますよという事です。

今回は利益を4.2億円稼いでいますので、トータルでは1.68億配当に回ります。
 

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社長がいくら配当されているのかは、「大株主の状況」を

 

さて、このトータルの配当の内、社長に回る配当は一体いくらでしょうか?有価証券報告書の「大株主の状況」から社長の保有株式数を見てみましょう。
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https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/wp-content/uploads/2018/06/1803_yuho.pdf


前澤社長は創業社長であるため個人で株式を37.94%保有しています。1.68億の内、37.94%が支払われるので、約6400万円ほどが配当として支払われます。この時、配当は源泉徴収と言って税が引かれた額が実際に振り込まれるのでその分も考慮しなくてはなりません。

 

現在配当金は20.42%の源泉税がかかります。なので、6400万の内、実際に手元に入ってくるのはその内の80%ほどではないでしょうか。
 

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これで社長の配当報酬までたどり着きました。約5000万が配当として支払われるようです。手に入る数値だけで計算しているのでブレはあるでしょうが、ざっくりこのような形になってくると思います。

 一度全体の流れを確認しましょう。

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100億円売上をあげて受け取れるであろう手取りは5120万。これは売り上げた額の0.5%です。社長は100億円突破の記念として総額一億円の現金プレゼントを行っていますが、100億円売り上げても、社長には1億円は入ってこない計算になります。


この事象だけ切り取ると、もう完全に赤字ですよね。
 

ZOZOの前澤社長の1億円のお年玉はお年玉なのか?広告なのか??

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https://twitter.com/yousuck2020/status/1081544630754103296


さて本題です。一億円のキャンペーンを「フォロワーを買った」とか「広告だろう」というツイートも見かけますが、この1億円はそもそも社長個人での支払いのようです。話題性はあるものの「これでZOZOで買い物をして」というツイートは当然一切ない。ZOZOへの会員登録が条件だというせこい事も一切していない。広告というにはZOZOでの販売への導線があまりに薄い印象があります。

 

広告ではないならマーケティング?

マーケティングでしょうか。マーケティングだとすると、今後一年間でZOZOは新商品や新サービスを数多く展開していく勝負の一年に位置付けているかもしれません。
前澤社長自身で新サービスをツイートする機会は多いですし、「新しいサービスの認知度を高める」という方向性でフォロワー数を増やすのであれば理解できますね。

 

とは言え、マーケティングかどうかは正直分かりません。田端さんもいらっしゃいますし、可能性があるとしたらここかも。ただ、「認知されることが今後どのように収益化してくるのか」を分析するには知識が少なすぎますので、これ以上分析できないところが歯がゆいですね。(詳しい方がいらっしゃれば教えて頂けるとありがたいです。)

 

(追記)友人に聞くと「オンワード撤退のマイナスイメージ払拭説」が最も多かったです。実際にZOZOに不当に(と私には見えます)マイナスイメージが付きやすい報道が目立ったので、これはあり得ますね。

実際に何もしなければユーザー離れが起こったのかはもう分かりませんが、その芽を払拭したのであればお見事です。ただ、構造的な問題は何も変わらないので、問題が実際にあるのであれば顕在化するか、できた時間で解決するかするでしょう。

 

 ただし、これで社長が直接儲けるという事はまずない。

 一番薄い線が「これによって社長自身が儲ける」という線ですなぜなら今回社長が出した額は1億円。
儲けるという事はこの1億円は「投資」だという事ですが、だとすると前澤社長は投資の回収の為に、今より配当を1億円以上増やさないといけません。そのためには、社長が配当として受け取れるのは、売上の0.5%なので、今期の損益構造を維持しても新たに200億円の売上が必要です。
100万円を100人に配って、200億の売上を増やすことがどうやってできるのでしょうか?
社長がいかに凄腕でも、フォロワーに配るよりほかに使った方が単純に売上は伸ばせると思います。

 

今回の出来事は、単純にお年玉と受け取った方がみんなハッピー。

 

以上、今回の出来事を素直に見ていくと、単純に前澤社長の「感謝の気持ち」としてお祭りに参加できた事をありがたく受け取った方が皆ハッピーなんじゃないかなと思います。

こういうような行動を見ていると、「社長はお金のために働いている訳じゃないんだろうなあ」といった印象を抱きます。このような方の下で働いている社員さんは非常に羨ましい。入ったら入ったで苦労もあるのでしょうが(笑)

 

今回はコラム的に前澤社長のお年玉について考察してみましたがいかがでしたでしょうか。いろんな意見あると思いますので、ご意見ご感想あればお待ちしております。
色々教えてくださいませ。