Finance Records

財務諸表や決算書は企業の成績表!!さまざまな分析を通して財務の面白さをお伝えします。

儲かったお金はどこに行った?ディズニーのキャッシュフローを覗いてみよう

f:id:parrrrrao:20181226175144p:plain

The Walt Disney Company

 今回は、ディズニーのキャッシュフローを覗いてみます。実はディズニーは儲かっているにもかかわらず、BSを見ると現金はそんなに増えていません。儲かったお金はどこに行ったのでしょうか??これはキャッシュフローを覗くと一発で理解できるのです。

 

ちなみにディズニーはテーマパーク事業だけでなく複数の事業を持つコングロマリットな企業群です。実際、子会社を含むディズニーの売上を確認すると、どれか一つの事業に偏るというよりは、メディア事業とテーマパーク事業を主体として、映画事業も個人消費の事業も売上をしっかりと上げることができています。

導入:ディズニーはどの事業も儲かっている

f:id:parrrrrao:20190101225836p:plain

そして、それは営業利益(事業を行った結果得られた利益)においても同様で、各事業赤字事業というものが存在せず利益に貢献しています。

 

f:id:parrrrrao:20190101225855p:plain

そして、各事業変動があるとはいえ、高い営業利益率を誇っています。

f:id:parrrrrao:20190101225905p:plain

このような利益構造をしているディズニーランドですが、儲かっているものの、ディズニーはBSを見る限り企業の現金は利益額ほどには増えていってはいません。

 

だが現金はあまり増えていない

f:id:parrrrrao:20190101225916p:plain

儲かったお金はいったいどこに行ったのでしょうか?

 

現金はどのような理由で利益ほどには増えていないのでしょうか。その理由は、ディズニーの「キャッシュフロー計算書(以下CF)」を見れば分かります。

ディズニーは儲かったお金で投資と財務返済を行っている

f:id:parrrrrao:20190101225928p:plain

営業活動CFが「今期事業で稼いだお金」投資活動CFが「事業の投資の為に使ったお金」財務活動CFが「借入の返済や配当金への支払いのお金」です。

 

このように図で見ると、「ディズニーは事業でお金を稼いだのは確かだが、稼いだお金を事業への投資や借金返済や配当金に使った」というように見えます。

 

これが正しいのかどうか、詳しく見てみましょう。

営業活動CFは事業が儲かりまくっている

f:id:parrrrrao:20190101225938p:plain

一番左が純利益で、一番右が事業で稼いだお金です。一番左と一番右が最も多額であることがお分かりになるでしょうか。これは実質営業活動CFは「純粋に事業で稼いだお金が大半である」という事ができます。

ちなみに一番増えているものはDepreciation、すなわち減価償却です。これはテーマパーク事業などの大きな投資の場合、多額に計上される傾向にあります。

 

次に投資活動によるCFを見てみましょう。

投資活動CFはテーマパークへの投資

f:id:parrrrrao:20190101225949p:plain

一番左の投資額が最も多額ですが、これは[Investments in Park…]すなわち、「テーマパークへの投資」です。単位は100万円ですので、年間の投資額は4911億円です。実はこの額は非常に圧倒的。

 

東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドの今年のテーマパークへの投資額はいくらかご存知でしょうか。

 

 

 

 

答えは234億円ディズニーはテーマパーク事業等への投資にオリエンタルランドの25倍近くの投資額です。

f:id:parrrrrao:20190101230034p:plain

このように図示するとその投資額の違いがお分かりになるかもしれません。

 そして、このように世界と比較すると日本で一番の企業でも世界一の企業と比べると全く歯が立っていないことが分かります。

 

企業がお金を稼ぐためには投資をし続けなくてはいけませんので、この投資額の差は世界との違いといえるかもしれません。ディズニーとオリエンタルランドの差は人口と土地の差でもありますが、ディズニーの投資額は現在オリエンタルランドが保有する現金全額分です。この差は大きいといえます。

 

 

さて、最後に財務活動CFを見てみましょう。ここには借入金の入金、返済や配当金の支払いなどが含まれています。ディズニーの財務活動CFを見てみましょう。

財務活動CFを見ると、資金調達コストが明らかに

f:id:parrrrrao:20190101230124p:plain

最も大きい額はRepurchases of common stock、すなわち「株式の買戻し」。株主への還元として自己株買いを行っているのでしょう。その次に大きいDividendsは「配当」。株主への配当です。

 

合計すると6700億。借入金等の支払いは純額で2800億円ですので、額としては非常に多額です。テーマパークへの投資も4900億円でしたので、実はディズニーは株主への還元にテーマパークへの投資以上に資金を費やしています。

企業は通常資金調達の方法として「銀行から借りる」「投資家から調達する」「自分で稼ぐ」の3つがありますが、「投資家から調達」という方法は実は調達するコストがかかります。

 

その代わり、投資家は企業が事業規模を最大化させる方が自身の取り分が大きくなるので不確実な投資を許容する傾向にあります。不確実性のある投資とはM&Aなどは代表的かもしれません。

不確実性のある投資をしていることはディズニーの財務諸表(BS)からも分かる

f:id:parrrrrao:20190101230141p:plain

上記はディズニーの資産ですが、色付けしたものはGoodWill、すなわち「のれん」が資産全体の32%も占めています。のれんとは企業が「M&A」した際に計上されるもの。

 

ディズニーは他企業をM&Aして成長してきた企業でもあるといえます(主にメディア事業)このような投資はリスクを伴うため、銀行からの借入だけでなく投資家からの調達を行っているのかもしれません。その代わり資金調達したリターンをしっかり支払っている。という構図になるのです。

 

纏めると、「ディズニーは事業でしっかり儲け、その儲けたお金をテーマパーク等への投資に回し、銀行への借金の返済よりは投資家への還元に多額の資金を投じている為見た目の現金はあまり増えていない」という事になります。

 

キャッシュフロー計算書はこのように、「儲けたお金をどのように使っているのか」が分かります。そして、日本企業と世界企業ではお金の使い方が違うようにも感じます。

 

皆さんはどう思われたでしょうか。このようなお金の使い方は参考にした方がいいのかもしれませんね。

 

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました!

 

ディズニーの財務諸表の関連記事はこちら

 

www.finance-seisekihyo.com

 

 

www.finance-seisekihyo.com

 

 

www.finance-seisekihyo.com