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【読み方解説あり】キャッシュフロー計算書の役割を見てみよう。オリエンタルランドの財務諸表から何が分かる3つの内容

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【公式】東京ディズニーランド | 東京ディズニーランド

 

今回はオリエンタルランドのキャッシュフロー計算書(CF)。CF計算書は、「利益がどのようにお金に変わり、何にどれだけ投資し、どれだけのお金が余ってBSに計上されているか。」ということがよく分かる財務諸表です。今回はここから何が分かるのかを見てきたいと思います。

 

結論からお伝えすると、今回のオリエンタルランドのキャッシュフロー計算書からは「①本業でとてつもなく儲けている」「②施設改修にいかに多額の資金を使っているか。」「③インバウンド需要も見込んでいるよう」「④自社のビジネスモデルを理解した資金調達方法を取っている」という4つのことが分かります。

 

まず初めにざっくりとその表を見てみましょう。キャッシュフロー計算書をみるとこのような感じです。

 キャッシュフロー計算書はザックリ見ることが効果的

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一見なかなかハードですが、大きく分けると事業で稼いだお金を現金に換算する「営業活動によるキャッシュフロー」、固定資産やソフトウェアに投資した金額を示す「投資活動によるキャッシュフロー」借入によるお金の増減を示す「財務活動によるキャッシュフロー」の3つに分かれます。

 

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このように「キャッシュフロー計算書は3つの区分に分かれているんだな」ということが分かれば、キャッシュフロー計算書の見方はかなり簡単になります。

 

グラフ化をすると感覚的に構造がつかめる

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これはオリエンタルランドの最新のキャッシュフロー計算書をグラフ化したもの。営業活動によるCF(キャッシュフロー)、投資活動によるCF、財務活動によるCFの3つに分かれていることが確認できると思います。

 

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読み方のイメージは上記のような感じです。

 「営業活動によるCFで多額の現金を稼ぎ、投資活動によるCFで固定資産などに投資を行い、財務活動によるCFで借入を返し、まだお金が残っている為保有現金が増えた。」という事になります。

 

では、改めてオリエンタルランドのキャッシュフロー計算書を見てみましょう。

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営業活動CFが非常に大きいですね。詳細を見てみましょう。

営業活動によるキャッシュフロー

オリエンタルランドがいかに本業で稼いでいるかが分かる。

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少々ややこしい図になってしまいました。一番左がPLの税引き前純利益を示しています。ここから、営業活動によるキャッシュフローでは「現金が出ていかない収益や費用」を消していく作業を行い、最後に利息の受け取りや法人税の支払いをして、事業で得た現金が確定します。

 

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上記のような流れです。では改めて営業活動によるキャッシュフローを見てみましょう。

 

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例えば、減価償却費などは「建物などの資産をたくさん保有していると計上される、現金が出ていかない費用」です(減価償却の詳しい考え方は省きます。)

オリエンタルランドはこの減価償却費が多額に計上されているため、得た現金に比べて利益が圧縮されている状態です。これを足し戻すため、純利益から現金が増えています。

 

この辺りのキャッシュフロー計算書の考え方は大手資格学校でも訳の分からない理屈で説明されて、専門家でも混乱することが多いのですが、

要は

・「純利益を小計にかけて、純利益を実際に稼いだ現金に修正する

・「小計からは実際に稼いだお金から利息や税などの支払いをして、最終的な手元に残る額を計上する

という作業をやっているのです。

 

なので、実際にオリエンタルランドが実際に稼いだ現金は一番右側になります。

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https://www.tokyodisneyresort.jp/tdl/

ここからは、「オリエンタルランドは本業でしっかりと現金を稼いでおり、利益と大きくずれる要因は減価償却費と法人税の支払い」であるという事になります。

 

次に投資活動によるキャッシュフローです。

投資活動によるキャッシュフロー

パーク内の改修作業やインバウンド対策などもうかがえる。

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オリエンタルランドが「何にお金を投資したのか?」が記されています。定期預金の額が物凄い(2400億程度)ですね。

銀行からは担保の意味あいで預金しているとしてもかなり多額ですので少し判断がつきがたいところではありますが、毎年多額の定期預金を出し入れしているので、投資のための現金を保管しておいて利息を得ているということなのかもしれません。

 

その十分の一ほどとはいえ、有価証券にも投資していますので、変動幅の少ない定期預金で少額でも利息を得るという方針なのであれば納得感があります。

 

他は有形固定資産でしょう。551億円の投資がなされています。今回の投資はテーマパーク、ホテル、モノレールなどの改修費用のようです。また、全体的に見ると多額ではありませんが3年前から「無形固定資産」への投資も行われています。

これはスマホのアプリに対する投資のようです。

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http://www.olc.co.jp/ja/ir/library/presentations/main/00/teaserItems1/0/file/irp2019_02.pdf

このようなアプリの導入を行い、電子マネーでの決済も可能にしています。ゲストの利便性を向上させる意味合いが大きいのでしょうが、ここにはインバウンドの需要もしっかり取り込もうとする意図もうかがえます。

その意味で、キャッシュフロー計算書の投資活動によるキャッシュフローをよく見ていると、「オリエンタルランドが今何を重要視しているのか」ということが分かります。

 

最後に財務活動によるキャッシュフローを見てみましょう。

財務活動によるキャッシュフロー

自社の資金の回収構造に沿った資金調達を行っていることも分かる

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ここは配当金と自己株式の取得が大きいですね。また、長期借入金(1年以内に返さなくていい借り入れ)の調達も安定しています。配当金の支払いは徐々に増加し続けています。

 

ただ、自己株式もあるにもかかわらずこの配当金が増加し続けているのは少し疑問です。有価証券報告書を読む限り、その自己株式は自社の制度に利用されているのかもしれません。 

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他に特徴的なものとしては短期借入金での資金調達が存在しないことでしょうか。ディズニーランドなどでは投資額を回収するのは投資して数年かけて回収するという仕組みです。それを考えれば、短期借入金で資金調達し、投資を行い、回収が始まるタイミングでもう返し始めなければなりません。

 

そうするとオリエンタルランドがいかに大企業とはいえ資金の循環が滞り始める可能性があるので、このような資金調達方法を取っているのではないかと思います。

 

以上、簡単にキャッシュフロー計算書についてみていきました。ここでも原則としては大きなところから見ていくとオリエンタルランドがどのようにお金を集め、何に投資しているのかが分かります。

 

次はオリエンタルランドの最後の記事。BSを見てオリエンタルランドの資産形成の特徴を見ていきたいと思います。それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました。

 

オリエンタルランドのビジネスモデル、PLについての記事は

 

www.finance-seisekihyo.com

 

 

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