Finance Records

財務諸表や決算書は企業の成績表!!さまざまな分析を通して財務の面白さをお伝えします。

ディズニーランド・ディズニーシーの儲け方。テーマパークの利益の源泉とは??

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http://www.olc.co.jp/ja/ir/library/presentations/2017/main/02/teaserItems1/00/tableContents/02/multiFileUpload5_0/link/p2018-04.pdf)

 

上記は18/03のオリエンタルランドのPLです。売り上げは伸びても、利益が若干減少しています。この理由は来場者数が減少し、テーマパーク事業の飲食とグッズ販売が減少したことにあると思われます。

 

今回はなぜそういった事が分かるのか?を見ていきたいと思います。それを通してしっかりと利益を残すにはどの事業が最適なのか知ることが大事ということを、ディズニーランドとディズニーシーの財務諸表を通して見ていきましょう。

 損益構造と売上の分類を確認

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 オリエンタルランドのPLをグラフ化し、損益構造にしたものが上の図です。税引き後利益でも17%もありますので十分な利益率ですが、その利益の源泉は何でしょうか?それを調べる準備として、まず売上を確認してみましょう。

 

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売上は若干ですが増加し続けています。オリエンタルランドにはテーマパーク、ホテル、その他の事業の3つに分かれていますので、その各事業別の売上も確認します。

 

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事業別にみるとテーマパーク事業の売上が最も大きいですのでここを重点的に見てみます。テーマパーク事業の売上はアトラクション・ショー、商品販売、飲食販売、その他の4つに分かれていますので確認します。

 

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アトラクション・ショーの売上が最も大きいです。しかもアトラクション・ショーの売上は伸び続けています。売上に最も貢献するのはこのアトラクション・ショーの売上のようですね。

 

商品販売や飲食は売上が伸び悩んでいることから、売上をさらに伸ばすためにはグッズ販売などのスペースを減らして、入場できるキャパを大きくするか、新しいアトラクションを投入するのが効果的かもしれません。

 

では、このようにアトラクション・ショーの売上を伸ばすことを最優先に事業計画を立てていけばいいのでしょうか??

売上には費用が掛かるという視点は非常に重要

 ここで、売上をみるという視点を変えて、売上と費用の関係から探っていきましょう。

 

改めて損益構造を確認すると、売上に対して最も大きな率は売上原価ですのでここを探っていきましょう。

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テーマパーク事業の売上原価は、有価証券報告書の【売上原価明細書】という所で確認ができます。この数字をグラフ化してみましょう。http://file.swcms.net/file/olc/dam/jcr:b64f8dae-a66b-464e-b8a6-feedae4c43c7/S100D2P0.pdf

 

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商品販売と飲食の販売の売上原価は分けられていますが、その他の原価は詳しく分ける事は難しかったので、パークの運営や諸々のものをまとめて計上しています。

 

重要なのはこの売上と売上原価の関係です。

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ディズニーランドとディズニーシー等のテーマパーク事業ですが、なんと、普通にランドやシーを運営しているだけでは赤字です。テーマパーク事業の売上を最優先する施策は、実際は売上を伸ばせば伸ばすほど利益が出ない構造になっています逆にグッズ販売や飲食の販売の利益率がかなり高いので利益を維持しているという事ですね。

 

テーマパーク事業は多額の投資を必要とするので、チケット収入などのみでは黒字化は難しいのでしょう。その点から考えると、オリエンタルランドは、食品販売や飲食販売を増やしていく事が望ましいでしょう。

 

とはいえ、ゲスト一人が使うお金はある程度決まっています。次の図をご覧ください。

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ゲスト一人当たりが使うお金の平均は直近では11,614円。その内訳は、チケット収入で46%、グッズ販売で34%、飲食の販売で20%です。過去5年分の内訳を載せていますが、この構造は大きくは変化していません。

という事は、実際に商品販売や飲食販売を増やそうと思うと入場者数を増やすしか現実的な方法がないという事になります

入場者を増やす際にネックになってくるのはパーク内の「混雑感」

しかし、前回の記事でも触れましたがオリエンタルランドが考慮する課題は来場者数の増加に伴うパーク内の「混雑感」。オリエンタルランドはこの混雑感も解消しなければなりません。来場者数を増やして、かつ混雑感を緩和するための方策としてはやはり「パークの拡張」が最善手なのではないでしょうか。

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http://www.olc.co.jp/ja/ir/library/presentations/main/02/teaserItems1/00/tableContents/02/multiFileUpload3_1/link/sp2019_02.pdf

 

そう考えれば、ディズニーシーの拡張プロジェクトは納得感が出てきますね。拡張と共に新しいキャラクターのグッズ販売やレストランの設置などが見込まれるでしょうから、利益率は更に改善されて行くと思われます。

 

このように売上と費用の関係を見ていく事は、ただ売上のみを見るのとは違い、「何が利益を生むのか?」という視点をもたらしてくれます

 

オリエンタルランドの場合は、「アトラクションはゲストに場の魅力を感じてもらう為のもので、本当に利益を生んでいるのはグッズや飲食の売上」だという事ですね。

  

このような多額の投資が必要なビジネスは、「しっかりと投資をして集客が見込めるようにブランディングを行い、利益は別の所で回収する」という方法が機能することが重要と言えそうです。

 

売上と費用の関係を把握しておくことの重要さが少しでも伝われば幸いです。次の記事ではキャッシュフローについて見ていきたいと思います。

 

(余談)キャッシュフローを見る理由とは

 

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http://www.olc.co.jp/recruit/newgraduate/s/company/businessmodel/

前回この画像をご覧いただきましたが、このビジネスモデルにおいては残った利益は再投資に回されるという話でした。

実は、キャッシュフロー計算書(CF)は、この「利益がどのようにお金に変わり、何にどれだけ投資し、どれだけのお金が余ってBSに計上されているか。」ということがよく分かる財務諸表です

 

こちらもグラフで把握していきますが、PLの純利益はキャッシュフロー計算書の営業活動CFというものを上昇させる要素となります。

 

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何がどのようになってこのような動きをたどるのか。ご興味ある方はご覧いただければと思います。

 

オリエンタルランド関連の記事はこちら

 

www.finance-seisekihyo.com