Finance Records

財務諸表や決算書は企業の成績表!!さまざまな分析を通して財務の面白さをお伝えします。

企業の「競争の型」が違えば「戦略」が変わる。経営学から見るLINEの戦略

LINEの分析をもう少し進めておきましょう。というのも、LINEは最近様々な事業に異常なスピードで参入しています。

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(出典:http://official-blog.line.me/en/

10月初旬から振り返ってみても「LINE Token Economy」「LINEテイクアウト」「LINEチケット」「Clova Auto」「LIEほけん」「LINEスマート投資」「BITBOXでのLINEの仮想通貨LINK」「LINEキャリア」「LINE家計簿」などのサービスを提供しています。

 

なぜLINEはこのように多角的な事業を急激に増やしているのでしょう?そして、その影響はどのように財務に返ってくるのでしょうか?

 

個人的な話で恐縮ですが、現在財務の勉強と合わせて経営学の勉強も行っています。その中の1冊[i]に面白い記述を見かけました。それによれば、会社の戦略は、企業が持つ「競争の型」によって変わるということ。

 

まず企業の戦略は差別化をいかに考えるか、もしくは同じものを同業他社より安い金額で提供するコスト戦略のどちらを取るのかを考えるSCP戦略、差別化やコスト戦略より、勝負のカギになるのは人材や技術などの企業が持つ経営資源であるというRBV戦略、不確実な事業環境に素早く対応するためのリアルオプション戦略があります。

 

いかにしてコストダウン又は商品のブラッシュアップをするか?→SCP戦略

企業の持つ人材や技術を駆使していかに差別化(高機能化など)するか?→RBV戦略

不確実な事業環境にどのように対応するか?→リアル・オプション戦略

という事のようです。面白いですね。

 

これに対して、企業の競争の型も3つあり、業界構造があまり変わらない産業組織型、それよりは参入障壁は低いが、複数の企業で争うチェンバレン型。競争環境が不確実で前提条件や顧客の求めているものもすぐ変わるシュンペーター型にわかれるそう。

 

それぞれの戦略は、企業が「どの競争の型で勝負しているか?」によって有効か無効か変わるそうです。

 

つまり

産業組織型にはSCP戦略

チェンバレン型にはRBV戦略

シュンペーター型にはリアルオプション戦略

 

というように、機能する戦略が違うというという事らしいです。

 

その中でもLINEは競争環境が不確実な「シュンペーター型」に位置しているでしょう。この型の時、差別化やコスト戦略を取り入れることはミスマッチなのだそう。競争環境がコロコロ変わるのに、差別化に時間をかけても意味がないという事なのでしょう。その中で有効な戦略は「リアルオプション」。リアルオプションとは、小ロットでも良いのでとにかくまず始めてみて、その反応を見てブラッシュアップをしていくという発想です。

 

競争の型が違えば、求められる戦略も違う-至極当たり前のことですが、このように明快に指摘されるまでなかなか気づかないものですね。

 

全てのものがITやAIに置き換えられていくと言われている今、求められるのはこのような発想からの戦略構築なのかもしれません。

 

そして、LINEのこのような多くの事業に対する参入の背景には、実はこのような経営上の戦略が潜んでいるのかもしれません。この内容もこの本のごく一部の内容で、他も非常に示唆に富む内容も多いですので、ご興味あればこの本も読んでみてください。

 

では少し長くなってきましたので、次の記事でそのLINEの財務分析を行ってみたいと思います。

 

 

[i] 入山章栄「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」に記載されていう内容を参考にしました。