メルカリ、財務諸表を見ると今期もまた赤字でした。その主な原因は海外事業だと思います。しかし、メルペイ事業もスタートしその内訳は見えにくいものになってしまっています。
質疑応答などの文章から推測すると、営業損失はこんな感じに振り分けられるのかな?と思います。
売上原価と販管費の詳細な数値はいくら予測しても推測の域を出ず、あまり意味がないので別の視点から考えてみましょう。メルペイはまだ事業は本格的にスタートしておらず、売上が立っていないため、この売上は全て海外事業分です。
この8億5200万の売上ですが、この売上は成長する見込みがあるのか?についてメルカリの具体的な施策と、現在の伸び率を見てみましょう。
メルカリのアメリカ事業は有望なのか?
(https://pdf.irpocket.com/C4385/xouG/iyVp/J29a.pdf)
まずはGMV(取引総額)の推移です。海外メルカリは多額の営業損失から見ても、明らかに投資の段階。この時の海外メルカリを見る視点で重要なのは「成長が加速してきたか?」という事です。
メルカリはその投資という点において、優秀な人材を確保する事に大きな価値観を置いています。では、その人材投資が本格的に始まったのはいつからなのでしょうか?元Facebookの幹部クラスを招へいしたのはマネジメント強化プロダクト見直し期と位置付けている直前から。
有能な人材のおかげで売り上げは上昇?
(https://pdf.irpocket.com/C4385/xouG/iyVp/J29a.pdf)
優秀な人材を獲得したことが功を奏したのか、GMV(流通総額)が上昇傾向にあります。メルカリはこれだけでは終わりません。様々な打ち手を行っているので見てみましょう。
2018年はメルカリのアメリカ事業の見直し期
(https://pdf.irpocket.com/C4385/xouG/iyVp/J29a.pdf)
経営体制強化とプロダクト強化と銘打って、様々な強化策を打ってきています。経営体制強化とGMVの関係を確認しておきましょう。
アメリカメルカリはいまだ「投資フェーズ」にある
(https://pdf.irpocket.com/C4385/xouG/iyVp/J29a.pdf)
メルカリは2014年にアメリカに進出しているので、「ここまで立ち上がらないのは失敗なのでは…」という声も聞こえてきますが、(中の人に知り合いがいるわけではないので調べた限りですが)このFY2018の規模の投資はいまだかつてなかったようですし、ここからの成長になお期待といえると思います。
とはいえアメリカはデカかった。
さて、成長に期待!(ドン!)で終わっても仕方がありませんので少し「アメリカって大変なんだなあ」と筆者が思ったデータを載せておきましょう。
ダウンロード数と流通量の関係に注目すると?
有価証券報告書と上場目論見書において、メルカリの累計ダウンロード数とそれに伴う流通総額がデータとしてありました。
ここで、国内と海外で同じダウンロード数の所に印をつけてみました。直近の所でいえばFY201Q3海外事業の3700万ダウンロードに対し、流通総額は60億円。日本で3800万ダウンロードを達成したFY2016Q1時点では流通総額は420億円になっています。
もう一つ見てみましょう。ダウンロード数がちょうど2800万で一致したFY2017Q4の海外事業とFY2016Q3の日本事業。ダウンロード数は同じでも海外の流通総額は30億円であるのに対し、日本では380億円です。
つまり、
ダウンロード数2800万時点
国内→流通総額380億
海外→流通総額30億
ダウンロード3700~3800万時点
国内→流通総額420億
海外→流通総額60億
とダウンロード数に比べて流通総額に大きな違いが見て取れます。
アメリカはダウンロードが伸びても流通量が伸びない世界
このように、アメリカと日本では同じダウンロード数でも流通総額に5~8倍ほど立ち上がりが遅いのです。
このように直近のダウンロード数自体は国内と海外では2倍程度に差が縮まっているのに対し、流通総額は一向に差が縮まっていないのが分かります。
しかもライバルも非常に多い
原因は様々でしょうがアメリカは日本に比べて土地が大きいので物流の問題が非常にシビアであるという事。後は単純にライバルが非常に多く、かつ強力であるという事があげられます。
(https://pdf.irpocket.com/C4385/xouG/iyVp/J29a.pdf)
ご存知の方も多いebayや、似たようなサービスを提供しているOfferUpやLetGoもいます。このあたりの企業はメルカリよりも多額の資金調達を行って事業拡大をもくろんでいます。なんとFacebookも参入しているようです。
現在のマーケティングの打ち手はオンライン広告+ラジオ・看板などのオフライン広告(クルマ社会なのでラジオの効果は大きいのでしょう。)のようですが、この打ち手で、メルカリはダウンロードしてもらう事はもちろん、流通総額を増やしていかなくてはなりません。
残念ながらダウンロード数は四半期の決算書では提示されませんので、この一年は取引総額をどのように増やすか?の打ち手について重点的に見ておくといいのではないでしょうか。
それでは、ここまでご覧いただいてありがとうございました。
メルカリの株価が上がってない理由という切り口で書いているのは
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