メルカリが2018年7~9月の成績を発表したので纏めたいと思います。
(出典:https://www.mercari.com/jp/)
売上は毎期上昇も、営業利益は出ない状況
簡単に過去からの流れを振り返っておきましょう。メルカリは、年々売上高は上昇し続けています。しかし、営業損益が赤字なので、売上高が上がっても利益が出ていない状態にあるようです。
この場合には売上が上がっているからといって安心していいわけではありません。また、利益が出ていないからといってもう駄目だというわけでもありません。
何をどのように見るのか。それは、「この赤字が将来の利益につながっていくものなのか?」という事を確認していく事が重要であると言えます。
その為には、細かく分解してその中身を知っていく必要があるのです。
売上を分解して原因分析
では早速今期の成績を分解していきましょう。売上から原価を引いた売上総利益は充分な利益が出ているにもかかわらず、販管費が今期も多額に計上されており、25億円の赤字を計上しています。
簡単に解説するとこのような感じです。売上総利益が充分にとれているという事は、メルカリのビジネスモデル自体の付加価値は充分にあると言えます。しかし、事業運営に必要な販管費が非常に多額。
この内容が非常に重要です。何にお金を使っているのか?そのお金は将来の売上の為に必要な投資なのか?を判断していかなくてはなりません。
お金を何に使っているかを確認
①優秀な人材確保
まず一つ目の要因には優秀な人材の積極採用があげられています。ちなみにメルカリの平均給与は500万程度のようですので、この数値に単純に当てはめると年間で67億8500万円の現金が出ていく事になります。
3か月間でいうと17億円近い額ですね。10月に新たに採用したようなので、7~9月の今期の成績には反映されていませんが、恐らく次の決算書でもこの販管費は増加するだろうと予想することができます。
②広告費にも多額を投資
販管費のうち、国内事業の内訳がのっていました。全体で80億円。その内、広告代に28億円、ポイント費用に15億円、支払手数料で10億、人件費に10億円あてられています。
これらの費用のうち、広告宣伝費は新規顧客開拓のため、ポイント費用は既存顧客の取引活性化のための費用だという事が出来ます。
メルカリの場合は人件費も将来の売上の為といえるでしょう。つまり、販管費からは、メルカリがもっともっと売上を伸ばしていくぞという意思があることがうかがえます。
では、その結果は効果があったのでしょうか?なかったのでしょうか??
広告費の効果はこんなところに
まずはどんなユーザーがいるのかを示すカテゴリー別の取引分類。
2014年~2015年は取引の4割近くを女性ユーザーが占めていましたが、2019年1Q(2018年7~9月)では女性ユーザーの割合が24%まで減少しています。
全体の取引総額は年々上昇しているため、これは、他の層がメルカリのサービスに流入してきたからだと言えそうです。これは広告を打ち続けている成果だと言えるでしょう。
また、メルカリは「使いやすさ」「出品しやすさ」を非常に重要視する企業です。本などをバーコードを読み取ることで簡単に出品できるという機能を付与したところ、バーコード出品が大きく増える結果となっています。
今期はクルマ関連を強化していく??
そして今期、メルカリが今後どの分野を強化していくのか?という方向性を示す一つの象徴的な出来事がありました。マイケルという企業の買収です。
マイケルとは「クルマ好き」たちの日本最大のコミュニティCARTUNEを運営している企業。ここのIDとメルカリを紐づけて、そのコミュニティでの売買を活性化させようとしているようです。
コミュニティを覗いてみたところ、「かっこいい・・・!」という車が何台もありました。クルマ専門のmixiっぽい雰囲気。そしてその中にパーツのレビューもたくさん書き込まれていました。
ここに紐づけて、「評価は高いけど自分はもう持っているから誰かいる?」「前これ欲しいって言ってませんでしたっけ?」という流れを作るのでしょうか。上手く導線を作ると非常に活性化しそうな分野ですね。このコミュニティ自体も利用率は非常に高くなっているようです。
趣味ってその趣味を持つ人と共有したいですもんね。趣味のコミュニティで、しかも話が盛り上がっている際に自分の欲しいものを購入できるのであればいいですね。
国内事業と海外事業の成績をザックリ計算
今回は国内事業について重点的に見てきたので、国内事業のおさらいをして終了しましょう。メルカリの国内事業は2018年7~9月は売上97億円。営業利益は14億円となっています。
売上97億円に対する販管費ももう一度見ておきましょう。約80億円の販管費が使われています。
のこりの3億は売上原価という事になりそうです。(システム運営の費用や人件費、配送料がここに当たります。)
このデータを基に日本国内の表を作ってみるとこのような感じです。
国内事業単体では利益は出ている
国内事業ではこれだけ広告を打っても利益が出ていますし、
拡大をストップして広告費を止めるとすると、それ以上の利益が入ってきます。国内事業は完全に黒字化が進んでいる。でも拡大のためにまだまだ投資をやめないよという段階でしょう。
海外事業は相変わらず大赤字
さて、ここまで分かると他事業の進捗も見えてきます。
思いっきり赤字ですね!
この結果がどうなのか?次回の記事で見ていきたいと思います!
次回記事については
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