Finance Records

上手く行っている企業は何が違うのか?目標に届かなかった理由は何だったのか?様々な企業を記録し、財務分析を発信します。

メルカリの株価下落の理由を(勝手に)分析。

 

メルカリについていろいろな記事を書きましたが、最後に一つ、メルカリの株価が下がった理由の一つと予測される部分を書いておきましょう。

 結論から申し上げると、上場に伴う見かけの営業CFの悪化とそれに伴うFCFの悪化。そして海外メルカリの不振にあると思います。

 

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メルカリは上場時と比べ、最初の決算の発表から目に見えて株価が下がっています。この理由をいくつか検討しておきましょう。

上場前のメルカリのお金が貯まる仕組み

  基本的に企業は大きくなればなるほど、お金が厳しくなっていきます。

逆じゃないの??と思われる方も多いかと思いますが、会社が大きくなればなるほどお金が様々なものに変化し、資金繰りはタイトになるのです。 

しかし、メルカリは手数料以外にもお金が貯まる仕組みを持っていました。

 

取引時のモノの流れとお金の流れに注目

 

メルカリは売買が完了した場合、まず購入者がお金を入金し、販売者が商品を発送します。

 

その商品を受け取り、相互評価をすることによってメルカリは売り手に代金を振り込む。この時の相互評価制度によって信用社会が作られる土台となるという話はお伝えしました。

 

 実は、この仕組みにはもう一つ重要な役割がある事はお気づきでしょうか。

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取引は①出品②購入支払③支払通知完了④配送⑤評価・売上金入金という流れです。

基本的にはお互い安心して取引できる仕組みとして実装されていますが、よく見てみると印をつけた支払と売上金の間に期間がある事が分かります。

 

 メルカリのポイントはメルカリにとっても消費者にとっても便利なものだった

CF計算書を読むと、このお金は営業CFに計上されていて、事業で儲けたお金の欄に計上されていました。 上場前、メルカリはこの間に保有していたお金は自由に使うことができていたと推察されます。最長1年間寝かされているキャッシュがメルカリの中にある。これは企業からすると夢のような話です。

加えて、以前メルカリはこの売掛金を会社内に保有させたまま、最長1年間そのままにすることができていました。利用者の目線でいうと、現金を出して買うより、この売上金を使って購入した方が精神的な障壁が低かったのです。

そしてユーザーはその売上金を使って、またメルカリ内で商品を購入するという循環が生まれていました。

 上場のタイミングで問題に

 が、実はこの部分で上場時に国側と揉めることとなりました。

このお金の流れが「資金移動業者にあたるのではないか?」と指摘を受けました。

資金移動業者であれば預かっているお金を国に預けなければなりません。

結局のところ、メルカリは本人確認の仕組みを取り入れ、売上金は1年から90日に保有期間を短縮して上場に乗り出しました。

 

CF計算書から見るメルカリの問題点

数字を絡めてもう少し具体的にお話させていただきます。

メルカリは、米国メルカリに資金投入を続けている影響もあり赤字がずっと続いている状態にあります。

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赤字なのですから、お金はなくなっていっていると思われるかもしれません。

しかし、メルカリの財務諸表を見ると、お金自体は増えていっています。

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企業はお金を稼ぐことによって企業価値が上がるものですから、このように現金が増えていっているのに株価が下落する理由は考慮しなければなりません。

  

 財務諸表から見る株価下落の仮説

財務諸表を読んでいくと、2つの仮説が立ちます。

 

  仮説①海外事業の赤字幅がひどすぎる

 まず想定できるのはこちらの理由です。

前の記事でも書きましたが、国内メルカリは黒字化していますが、海外メルカリは大幅な赤字を計上しています。

 

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この赤字が一向に改善されていないことから、「メルカリでもアメリカで勝つのは難しいのではないか…」と思われてしまった可能性があります。これについては前回の記事をご覧いただけるといいかと思います。

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仮説②FCF(フリーキャッシュフロー)が想定以上に悪化した。

私の勝手な推測ですが、こちらが結構大きな要因なのではないかと思います。

FCFとは、Amazonも最重要視している指標の一つで、「事業で稼いだお金から投資に回したお金を引いて残ったお金」を示します。

 企業というのは永続的に成長しなければならないため、投資をするのは当たり前。会社の本業でお金を稼ぐのはもっと当たり前。そんな、非常に分かりやすい考え方です。

 

この額が、メルカリは大幅に悪化しているのです。

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こちらは3年分のFCFの表。大幅に悪化しており、今期はマイナスになってしまっています。この原因とは何でしょうか。

  

 FCFの悪化の原因とは

 

 この理由を考えるために、3年分の資金の流れをキャッシュフロー計算書を使って見てみます。

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営業CFは「本業で儲けたお金」投資CFは「将来の為に今投資しているお金」財務CFは「銀行や投資家から調達したお金」が計上されます。3年通して見てみると、営業CFが毎年減少し、今期はマイナスを計上しています。

さらに 2018年分の計算書をみると、現預金の大幅な増加は、財務CF、すなわち「銀行や投資家からの調達」で増えたという事が分かります。

 現金の増加は本業が成長しているという要因のものではない。このことが現金が増えているにも拘らず株価が減少している一因にもなっていそうです。

その原因は海外事業の赤字と上場時の制度変更にあった

なぜこのようなことが起こったのか。

1つには、仮説①の海外事業の大幅な赤字があります。しかし、これは解消される可能性が残されていますし、赤字であっても2016年と2017年は営業CFは黒字です。

 

上場時の変更によって数値が悪化

  ここで決定的な要因になったものの一つには、先ほど書いた「ユーザーの売上の保有期間を1年から90日に変更した」ことが挙げられるのではないでしょうか。

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営業CF内にあるこの「未払金の増減額」は、ユーザーの売上を保有していた額の伸びの増減額です。売上とともに伸び続けるはずのこの額が、2018年6月、すなわち上場後に保有期間を90日に変更してから大幅に減少しています。

 

自由に使えるお金が増えなかったという事で、未払金の減少は営業CFがマイナスになってしまいました。これがFCFにマイナスの影響を与え、結果として株価が悪化してしまったのではないかと推察されます。

 

まとめ

では、メルカリはヤバいのか。私はそんなことは無いと思っています。

 

現預金はこの企業の規模感に比べて非常に多額を保有していますし、国内メルカリ事業は既に高収益の体質に移りつつあります。

 

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ユーザーの売上金を保有する道は閉ざされてしまいましたので、最も効果的な改善策は海外事業。特に米国メルカリですね。

結局この事業を早期に黒字化することが最も早い道ではないかと思います。ここに勝算があるのかは前回の記事で書いているので割愛しますが、メルカリはFCFの改善。ひいては海外メルカリ事業の黒字化まで試行錯誤を繰り返していく事になるでしょう。

 

追記:海外メルカリが日本と異なる市場だという事については

 

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 をご覧ください。 

個人的には非常に期待している会社ですので、今後の行方を見守っていきたいと思います。

 

メルカリの他記事については

 

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 等をご覧ください。

 

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