CMでもおなじみのメルカリ
今回は、「メルカリはのビジネスモデル」「メルカリの儲かる仕組みは使いやすさの追求」について書いています。
メルカリは継続してもらって初めて儲かるようになる
まずメルカリのビジネスモデルをざっくり見ておきましょう。
メルカリは何度か継続して使ってもらって初めて利益が出る仕組みになっています。
例えば1億円のCMを打って、10万人の新規ユーザーを獲得できたとします。
1億円÷10万人で計算すると、「1000円払って1ユーザーを獲得した」という事もできます。メルカリはこのユーザーから1000円以上の手数料を取らないと儲けが出ません。
その新規ユーザーが、1000円の商品をメルカリ内で出品し、売却できたとすると、メルカリの取り分はその内の10%なので100円です。
この場合、メルカリは「1000円払って獲得したユーザーから、100円しか獲得できていない」ことを意味します。これはメルカリにとっては商売になりません。
しかし、このユーザーが、続けて2000円、3000円の商品を出品して次々と売却してくれるとどうでしょうか。メルカリは1000円払って獲得した顧客から、200円、300円と手数料を貰っていく事ができ、しかもその間にその顧客に対して払うコストは0です。
このように、一度使ってくれたユーザーが継続して使い続けてくれる状態になって初めて、メルカリは利益を出すことができるようになります。
まず取引総額を確認。
メルカリの主力事業であるアプリ業界は、「Winner takes All(強者がより大きなシェアを取る)」が起こりやすいと言われています。
基本的にアプリは一つ便利なものがあればそれ以外使わない傾向にあります。その一つに選ばれれば、より大きなシェアを取っていくという図式です。
このような企業で重要視するべき額は、どれだけ使われているかを示す数値でもある「取引総額」です。
では、メルカリの取引総額を見てみましょう。
上が年間、下が四半期ごとの取扱総額(GMV)です。
この額を見ると、年々その伸びは増加しています。前期1年は取扱総額3704億円、四半期の取扱総額は1026億円。日割り計算すると、概算ですが1日で約10億円以上の額がメルカリ上で取引されている事になります。
1日で10億円以上の金額が取引されるマーケットと考えると、メルカリの凄さが少し実感できますね。
国内メルカリ事業からみる「儲けの仕組み」とは?
メルカリの取扱高が伸びている事が分かった所で、次に事業内容を確認していきます。
現在メルカリは「国内事業」「グローバル事業」「エコシステム」の3つにセグメントしています。現在実際に活動しているのは「国内事業」と「グローバル事業」の2部門です。
先ほど確認した3704億円の取扱総額のうち、「国内事業」の取扱総額は3468億円で全体の90%以上です。国内事業が現在のメルカリの事業の殆どを支えていることが分かります。
では、その国内事業の決算書の数値を見ていきたいと思います。
左のグラフが取扱総額で3468億になります。そして同じ図の中にある赤い折れ線グラフは「月一以上メルカリを利用した事があるユーザーの数」です。
この月一ユーザー数は非常に大事です。メルカリにとってはここの数値が増えれば増えるほど「儲かる仕組み」が上手く回り始めることを意味します。メルカリは今CMを大々的に売って新しいユーザーを集めていますが、この月一ユーザー数の増加は「CMを打たなくても利用してくれるユーザー」に転換することを意味するからです。
「簡単さ」は、メルカリが成長していく為の生命線
実際に、決算書を見てもこの継続利用者の数値が上昇するにつれ、売上だけでなくその事業でのもうけを示す「営業利益」も上昇していっています。
この、「メルカリは1度使ってくれたユーザーが今後も使い続けてくれるかどうかが勝負」という事が理解できると、メルカリの取っている戦略がかなり理解できるようになってきます。
使いやすくて思わず継続して利用し続けてしまう仕組みこそ、今のメルカリの「儲かる仕組み」を支えているのです。
例えば本やDVDはバーコードを読み取らせることで簡単に出品ができ、スマホ本体の売買の際にはデータ流出のリスクを抑えるために検品サポートを行ったりしています。これも使いやすさを高める為でしょう。
いずれにしても、これらはひとえに「場の魅力」を高めてメルカリを何度も利用してもらうための企業努力と考えると様々なことが繋がってくるのではないでしょうか。そしてその結果か否か、国内では取引総額の前年比大幅増という結果をもたらしています。
ユーザーの使いやすさの追求が企業の成長につながる。メルカリのビジネスモデルにはそんな一面もあり、素敵だなと思わせてくれますね。
それでは、ここまで読んでいただいてありがとうございました!
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