前回の続きで、就活性の為の決算書の使い方、考え方編②です。
前回売上の構造を分解を分解してみました。これができたら次は「他社との比較」と「過去との比較」です。
②他社との比較をする
自社の過去の分析と他社の比較はどちらが先でも構いません。
この時に使うのが各社HPに載っている決算説明書という書類と、エクセルで記載されている財務データです。
決算説明書は「投資家に企業の状況を分かりやすく伝える」ためのスライドが載っており、普通の有価証券報告書や決算短信よりも必要な情報が分かりやすく載っています。
決算書にはこのように数値を表にしてまとめてくれています。
この表を見比べて、「どこに差があるか」を探してみてください。
その際には①の売上高の式を念頭に入れると探しやすいです。
③過去の決算書と比べる。
①②を通して1つでも気になる差があれば、それを過去の数値と比較してみましょう。
私の場合は比較した結果「座席稼働率」に目を付けたのですが、
ANAとJALを比較しても、ANAはJALに一度も勝てておりません。
ANAはJALに完勝したいはずなので、この数値は改善したいはずです。
また、座席稼働率と最も相関関係があるデータはどのようなものでしょう?
当たり前といえば当たり前なのですが、それは「値段」です。
つまり、値段が下がれば下がるほど座席稼働率は上がり、安さをアピールしているピーチなどは座席稼働率90%近くを誇ります。
では、単純に安ければいいのかというと、企業の経営は単純に値下げをしてしまうと命取りになってしまいます。
では他に必要なものは何かと考えました。そして私は、自分自身が飛行機に乗った経験を踏まえてみても「差別化」がより必要になるのではないかと考えました。
食事も出てきませんし、値段の割に違いが見出しづらいのが国内線です。ではどのように差別化を行うべきか。その際にはターゲットを絞る必要があります。
この視点でANAの取り組みを探すと、今年新しく行っている取り組みがこちら。
自動で荷物を預けることのできるサービスです。書かれている言葉を読むと「忙しいあなたの時間短縮に。」そしてイメージ画像にはスーツ姿の男性。このような新サービスからも、ANAのターゲットとなっている客層はビジネスマンだという事が分かりますね。
売上をどうやって分解できるかを考えれば、企業の取り組みの意図も見えてきます。このような取り組みを踏まえて、私は「座席稼働率を高める提案は、このサービスと相乗効果もあるので企業の売上を後押しするし、面接官の受けもいいのではないか。」と考えました。
結果としてビジネスマンの「数時間まとまった集中できる場の提供」という提案となりました。
同じことを何回か書いてしまっていますが、
決算書を使うと、自分で根拠をもって企業の問題を解決する方法を考えられるようになります。そしてその結論が稚拙かどうかはあまり関係がないのです。
就活生がこのような提案をすることによって、面接官は自社のことをよく研究している。そして自分の頭で考えることができる。と感じる就活生を大事にしたいと思うと思います。
今回はANAについて研究してみました。
次回からは別の企業を取り上げて、
もう少し「就活性の為の決算書の使い方」を考えてみたいと思います。