良品計画の、「感じ良い暮らし」を実現するためにキーワードとなるのは
O2O、すなわちオンラインtoオフラインです。
「Amazonを負かした唯一の企業」などとして伝説化してきているアリババの元CEOであるジャック・マーは2016年に
「10年、20年後の未来に、「EC」がなくなり、代わりに「新しい小売」が出てくるだろう。これはオフライン、オンラインと物流の融合である。」
と指摘し、現在世界はAmazon Go等のように、新しい小売りの形がぽつりぽつりと出てき始めています。
しかし、あのような技術はなかなか実現できるものではありません。
良品計画はどのような形でO2Oを実現しているのでしょうか。
リリース後1,100万ダウンロードを突破したMUJIpassportがキーになります。
もともとソーシャルメディアの使い方が抜群に上手だった良品計画。
過去のインタビューなどを探ると、その根底には
「ソーシャルメディアを活用して「店舗送客」をしよう」という考えがありました。
その1例がこちら。
(2016/2/15 6:30情報元
日本経済新聞 電子版から引用)
各数値を把握しつなぎ合わせて、最終的に店舗で購入されるデータを算出しています。この精度をさらに高めるために、MUJIpassportは非常に効果的に機能しそうです。
これはそのMUJIpassportの一機能なのですが、店頭で買い物するだけでなく、ご意見投稿、店舗チェックインなどをしてもマイルサービスがたまるという仕組みになっており、この貯めたマイルごとにランク付けがなされます。
そしてランクに応じて特典を貰えるという仕組み。
つまり、良品計画は「ネットはリアル店舗への誘導の手段」そして、「リアル店舗にきたお客さんを楽しませて、またネットで拡散してもらう」
という、オフラインからオンラインへ、そしてオンラインからオフラインへ。
という循環を狙っているようです。
これは、店舗販売の伸びが減り、オンラインが非常に熱くなってきているアパレル業界と全く異なる取り組み。
これは、良品計画が「店舗が一番の広告である。」と考え、店舗を心地いい空間にしていく取り組みを続けていることに起因すると思います。
無印良品の店舗の雰囲気、音楽、店員さんのゆったりとした話し方、無印の店舗は心地いいと思うのは私だけではないはずです。
案外、日本版Amazon Goというか、新しい「ネットと店舗の融合」を見せてくれるのは、良品計画かもしれません。
それでは次回以降、決算説明書も踏まえながら良品計画の取り組みと財務的な数値を見ていきたいと思います。