TOKYO BASEのビジョンを達成するために社員の行動レベルでは何を求められているのか。そこには、数値管理を非常に上手く利用した取り組みが行われておりました。
会社のビジョンに対して、社員が求められているもの
日本初のファッションスタイルを世界へ。
その為に社員が求められていること。
それは、結果をだせ!利益を上げろ!!
ということだと思います。
ただし、もちろん押し売りをしてでも売上を取れ!と言っている訳ではありません。
社長のインタビューやブログ、TOKYO BASEのHPなどを拝見すると、
共通して出てくるものは「ファンビジネスであれ」「顧客を感動させろ」というメッセージ。
その為に各店舗に権限を委譲し、オーナーシップを持つことを求めています。
しかし、オーナーシップを持て、というのは企業であればよく聞くこと。
ここでTOKYO BASEが特殊であるのは、従来は本社で管理する数値を実際に各店舗の店長に任せてしまっているということです。
TOKYO BASEは 何を数値で管理しているのか?
他社と異なり、営業利益と粗利率、在庫回転率に重点を置いているようです。
利益はお客さんが納得し、商品を適正な値段で買ってくれて初めて出てくるもの。
そして利益を出し続けようとすると、最も重要なことは定期的に買ってくれるお客さんを増やす。すなわちファンを増やすことが求められます。
売上をデータとして収集するだけでは「ファンを増やそう」という視点まではなかなか辿り着かないので、利益で管理することは非常に重要かと思います。
また、在庫回転率は「全体的に仕入れた商品がうまく売れているか?」が分かるようになります。売れていなければ、それは自身がいいと思っても、顧客目線、相手目線が出来ていなかった。ということですね。
これに加えて、個人的に重要だと思ったのが
TOKYO BASEが採用している「ピッカー制度(店舗主導の商品選定制度)[i]」
今のセレクトショップって、だいたい同じようなものが並んでいると思いませんか?
私がこの前シャツを買いに行った時、どこもバンドカラーシャツでびっくりしました。細かいシルエットの違いはあるのでしょうが、バンドカカラーが流行っているからか?と邪推してしまうような商品も正直ありましたね。
ただ、これは本社がデータ管理をして売り出そうとすると、どうしてもあり得る側面かもしれません。データや数値は非常に重要ですが、うまく使わないと独自性が薄れるという側面をもっています。
TOKYO BASEは現場のピックを増やし、 このようなデータのみの分析による弊害を打破しようとしているのではないでしょうか。
TOKYO BASEはピッカー制度や利益管理、商品回転率の管理によって各店舗の店長が数値管理を行い、それに応じて自身の裁量によって商品を仕入れ、その商品を販売していくことで数値に反映されていく…
という循環を狙っているのかなと思います。
こうしてみると、TOKYO BASEでは、ビジョン達成の為に、店長が大きなファクターになっていることが分かります。
販売員に求められていることは?
また、販売員は
「自分は、会社の利益の何%を担う人間なのか」
を把握することが推奨されているようです。
これは、会社の売上や利益を社員数で割ると簡単に求められます。
一人当たりの平均売上高や平均利益率が出ると、自分が会社にどれだけ貢献しているのかが分かりますね。
この数値はなかなか厳しい結果が出る一面もあるので、もしかすると企業として管理をしているのではないかもしれませんが、
「会社の数値を自分事として見る」ためには非常にいい方法ではないかと思います。
まとめ
TOKYO BASEは、「アジアのLVMHになる」というビジョンの元、全社的にはM&Aを推し進めコングロマリット化を行い、
現場レベルにおいては店長に権限を委譲し、社員一人一人にも会社の数値を意識させるという、「ビジョンに到達するまでの数値の使い方が非常に上手な会社」という印象を受けました。
ただ良い商品を出せば売れる!という時代ではないと言われている中において、
現場を一つの会社のように見立てて一店舗一店舗が自分主導で経営していくような感覚は、今の時代に合う一つの形なのかもしれませんね。
ここまで読んでいただいてありがとうございました!
次からは別の企業の分析をしてみたいと思います!!次回もよろしくお願いします!
[i] 残念ながらピッカー制度は有価証券報告書に少しだけ載っているだけで、調べても詳しいことはわかりませんでしたが、現場が売れないと判断する商品を無理やり売っているという状況を少なくするための制度かな?と推察します。